54.グラハムハンコック

2016年6月12日 (日)

神々の魔術(上)(下)

著  者:グラハム・ハンコック  訳:大地舜
出版社:KADOKAWA
出版日:2016年2月29日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者は、1995年の「神々の指紋」以降、考古学の定説を覆す著作を精力的に出版している。その主張は多岐にわたるが「エジプト文明などの四大文明の前に、高度なテクノロジーを持った「超古代文明」が存在した」という確信がその中心となっている。

 本書では著者は、世界各地に残る「巨石遺跡」に焦点を当てる。トルコのギョベックリ・テペ遺跡、レバノンのバールベック、海を越えたペルーのサクサイワマン、そしてイースター島。

 ギョベックリ・テペ遺跡は、放射性炭素年代測定によって、紀元前9600年まで遡れることが分かっている。エジプト第一王朝よりも6000年も前。そしてそれは氷河期の終わりにあたる。地球規模の激変期の終わりに建設が始まったことになる。

 浮彫が施された列柱のうえに巨石が載せられている。規模はストーンヘンジの30倍はあると予想される。そんなものを建設するテクノロジーを持った文明が、今から11600年前に存在した。しかし問題はそこではない。その文明が「忽然と登場した」ことだ..。

 本書はこの後、「忽然と登場した」理由を解き明かしていく。そこにはあの「有名な大洪水」の論証がある。これは著者の新しい知見で、なかなか読み応えがあった。

 正直言ってよく分からないことが多いのだけれど、著者の一連の著作が好きだ。「神の刻印」「惑星の暗号」「天の鏡」「神々の世界」「異次元の刻印」すべて読んだ。批判が多く「トンデモ本」とも言われていることは知っている。私も、その指摘がまったく的外れではないのだろうとは思っている。

 ただ、お話として面白いし、一片の真実はあるように思う。主流派の学者は迷惑なことだろうけれど(あるいは完全に無視か)、「定説」と「真実」は、実はあまり強い結びつきはない。

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2008年11月 2日 (日)

異次元の刻印(上)(下)

著  者:グラハム・ハンコック  訳:川瀬勝
出版社:バジリコ
出版日:2008年9月21日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 ハンコック氏の著書は、人類の歴史についての主流とか定説になっている学説に、真っ向から反対するものばかりだ。それ故、著者の本は「トンデモ本」との評価を免れない。それでも、私が何冊もお付き合いしているのは、著者の主張に一片の真実がある可能性を感じるからだ。また、その主張を裏付けるための取材に見る、著者のバイタリティが敬服に値するからだ。
 その取材のあり方について、「都合の良いところだけのつまみ喰い」という批判があることはもちろん承知している。著者は記者であって、そのテーマを専門とする研究者ではないので、専門家からはイロイロと言いたいこともあるだろう。
 私自身も、これまでに展開された数多くの主張の中には、飛躍しすぎた論理展開など、ついて行けないこともあった。しかし、それでも著者の主張が全くのデタラメである、と論証するのは誰であっても難しい、とも私は思うのだ。

 さて、本書での著者の主張はおおむね次の通り。
 「先史時代の洞窟壁画に描かれた絵、アフリカやアマゾンのシャーマンが得る啓示、ヨーロッパ各地に残る妖精伝説、宗教家が受けたとされる天からの啓示、UFOに拉致されたと主張する人々が遭遇した場面、薬物の摂取によって見る幻覚、これらには多くの共通点がある。そしてこれらは、太古の昔に生物のDNAに組み込まれた暗号であるか、または、通常は脳が感知できない周波数で振動している次元に実在する現実である可能性を否定できない」。
 「先史時代、シャーマン、妖精、天からの啓示、UFO、薬物」これらのワードは、それだけで何となく胡散臭い。「トンデモ」な文脈で語られることが多く、科学者と呼ばれる人々は、道を誤りたくなければ公には口にしない類のものだろう。しかし「胡散臭い」という印象の他には、これらを完全に否定する要因がないのも事実。逆に、こういったワードについて、様々に語られている証言を一旦肯定した上で考察を進めたのが、著者の主張だ。

 同列に語ることに違和感や嫌悪感を覚える人がいるかもしれないが、著者の主張の一部は、量子物理学、宇宙物理学の分野と接近している。超ヒモ理論などで言われる多次元空間や並行世界、宇宙の大部分を占める「暗黒物質」。これらは多くの人が感覚的に理解できないし、目にすることもできない。なのに「トンデモ」とは言われない。
 先ごろノーベル賞を受賞した研究「対称性の破れ」だって、宇宙誕生のその瞬間の研究だけれど、これまでの知識の積み重ねがなければ、ビッグバンなんて考えは、完全に「トンデモ」視されているだろう。

 「胡散臭い」という心のカセを外すことさえできれば、説得力がある論理の展開だ。もし、読者がそのようなことができるのならオススメする。面白い読み物となるだろう。

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2004年6月 7日 (月)

神々の世界 UNDERWORLD

著  者:グラハム・ハンコック (訳:大地舜)
出版社:小学館
出版日:2002年10月20日初版
評  価:☆☆☆(説明)

 太古の失われた文明の存在を主張するハンコック氏の2002年までのレポート。
 かねてから正統派の考古学に挑戦し、考古学者の反発を買っていたが、本書冒頭では反省の弁を述べている。「正統派の分析手法を軽視しすぎた。いかにその他の状況証拠が違う事実を指していても、炭素年代法で証明されない限り、受け入れられないのだ。」と。
 本書の主要なテーマは、海に没した太古の文明だ。太古とは17000年~7000年ぐらいのことを言っていて、約5000年前からとされるエジプトやメソポタミアを、さらに5000年以上遡ることになる。
 この時期は、氷河期の氷が溶け出し、120mも海面が上昇して世界の陸地2500万平方キロ(米国と南アメリカを合わせた広さ)が海に没した時期である。海岸部分が暮らしやすいことを考えれば、この海に没した部分に人が集まって住んでいた可能性は高い。
 もう1つの論旨は、世界中に残る洪水伝説が、何らかの真実を含んでいるのではないか、ということ。一般的には、伝説を歴史資料として見る向きは少ない。しかし、驚くほど類似した伝説が多いのは何故か?さらに、伝説を基にして海底を調査し、遺跡が発見されたとしたらどうか?インドでは実際にそれらしき物が見つかっている。
 さらに、中世の地図にその頃には存在しない島が描かれていたり、あるはずの海峡がなかったりするのは何故か?それが、1万年前の地形とぴったりあっているとしたら、1万前に誰かがその地形を記録したとは考えられないか?

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2004年3月24日 (水)

天の鏡 失われた文明を求めて

著  者:グラハム・ハンコック (訳:大地舜)
出版社:翔泳社
出版日:1999年3月5日
評  価:☆☆☆(説明)

 ハンコック氏のエジプトのピラミッドとスフィンクスに関する主張をさらに拡大して、地球上の他の巨石文明(アンコールワット、アステカ、マヤ、イースター島etc.)やナスカの地上絵などとの関連を論じた書。A4変形版のオールカラー320ページにもなる大書だ。
 著者がここで論じているのは、地球上の謎の巨石文明には、残された神話が似ている(海から白人の特徴を持った神が来て、その文明を作った。etc.)こと、春分秋分、夏至冬至など日の出日の入りなどの角度と深く関わっている、といった共通点があること。さらには、それぞれの年代が数千年単位で離れていて、直接の交渉がないため、共通の源流となる遥か昔の文明の存在が推測されることなどである。
 この本を読む限りは、確かに神話は酷似しており、各々の文明に天文学的な知識が反映されているのは偶然とは思えない。故に、何か共通の源流を有するのではないかという説には説得力もあるように思える。
 しかし、歳差運動から導かれる72という数はともかく、1.5倍した108や、4分の3した54という数までが、歳差運動を表しているとして、色々な文明を結びつけようというのはどうか。途端にこじ付けっぽくなってしまう。72=8×9で2の3乗×3の2乗なんだから、やろうと思えばほとんどの数が関連付けられるじゃないか。
 しかし、地球1周分の取材力はスゴイ。なんという行動力だろう。

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2004年2月28日 (土)

惑星の暗号

著  者:グラハム・ハンコック (訳:田中真知)
出版社:翔泳社
出版日:1998年11月10日発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「神の刻印」でアークについて、「神々の指紋」で失われた文明について、「創世の守護神」ではスフィンクスについての新説を唱えた著者。これまでは、全面的に信じるということはできなくても、面白く読むことはできたし、そうなのかもしれない、と思えた。
 けれども、この本はどうだろう。火星の表面に人面の構造物やピラミッドがあるという話から入っているのがいけないのかもしれない。マリナー9号が撮影した写真に写っているもののことで、確かにそのようなものが写っている。著者としては、NASAが言うような自然の産物ではない、と言いたいのだろう。
 しかし、そのために、どことどこの点を結ぶと19.5度の角度ができ、これは球の中で正四面体の底が接する緯度と同じで、地球上の2つのピラミッドと真南の線でできる角度と同じだとか、どことどこの点の距離は火星の直径の360分の1だとか、あれこれ説明している。これは素直に受け入れられない。それらが偶然ではない可能性は否定しないけれど、それだけは説得力がない。
 後半の天体衝突についてはまだ良かった。これは可能性も説得力もある(少なくとも私から見て)。光学的な観測では、真っ黒な彗星が接近してきた場合には発見は困難だろう。太陽の方向から近づいてきたとしたら、観測ができない。こうした彗星や小惑星の運動の可能性は排除できない。実際、過去には地球にも天体衝突があったようだし、1994年には木星に彗星が分裂して衝突することが実際に起きているのだから。

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