6.経済・実用書

2017年9月23日 (土)

正しい本の読み方

著  者:橋爪大三郎
出版社:講談社
出版日:2017年9月20日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 この本の一部分がネットで公開されていて、それを読んで興味が湧いたので購入して読んでみた。

 本書の構成は8つの章に分かれていて、「なぜ本を読むのか」「どんな本を選べばよいのか」という、「本を読む」の前段階のことから始まって、「どのように本を読めばよいのか」を経て、「何を学べばよいのか」「どのように覚えればよいのか」「なんの役に立つか」と続く。

 そしてそれでは終わらず、さらに「どのようにものごとを考えればよいのか」「情報があふれる現代で、学ぶとはどういうことか」と、かなり大きなテーマへと発展する。著者が考える「正しい本の読み方」は、ただ単に「本を読む」という行為だけでなく、その前後の知的活動全体を包含しているわけだ。

 私がネットで読んだのは「どのように本を読めば良いのか」の部分で、先の言い方では「ただ単に「本を読む」という行為」に当たる。なかなか共感することが多かった(だから購入したのだけれど)。例えば「すなおに読む」。感情や予断を排して読む、ということ。

 好きとか嫌いとか、賛成とか反対とか、そういう感情からはなかなか免れえない。だから読み終わってからなら感じてもいい。でも、読んでいる最中にそう思ってしまうと、予断が生まれる。著者が伝えたいことをくみ取れなくなる。「あぁ確かにそうだ」と思う。楽しむための読書なら「好き」ならいいけど「嫌い」と思いながら読んだのでは、ますます気に入らなくなるだけだ。

 一つ、私の一方的な思い違いがあった。特に意識せずに、私は小説などの文芸書を念頭に置いていたけれど、著者は学術書や哲学書、思想などを中心にしていた。文芸書に言及する時には「文芸書では」という断り書きが入る。だから論理とか定義とか前提とか構造とか、論理学的な視点からの解説が多い。ちょっと私と著者の間の「すれ違い」を感じた。

 著者の経歴を見れば「すれ違い」が予想できたかもしれない。東京工業大学名誉教授。著書に「はじめての構造主義」。哲学に造詣が深いらしく、例としてあがる著者が、マルクスとかサミュエルソンとかヘーゲルとか。文芸書では..であがるのはドストエフスキーとか。 

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2017年9月10日 (日)

会社でやる気を出してはいけない

著  者:スーザン・ファウラー 訳:遠藤康子
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2017年6月10日  初版第1刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 発行所のマルコ社さまから献本いただきました。感謝。

 最初に。いただいた本に対して申し訳ないけれど、タイトルの「会社でやる気を出してはいけない」は、本書の内容をまったく表していない。昨今は、内容が希薄な本を、センセーショナルなタイトルで売ろうとするケースが散見される。腹立たしいけれど、それは分からなくもない。普通に売って売れないのだから。しかし本書の場合は、内容は確かなものなので、こんなタイトルの付け方は逆効果だと思う。残念だ。

 本書のテーマは、リーダーによるモチベーションマネジメント。平たく言えば「どうすれば、自分のグループがヤル気に満ちた集団になれるか」ということ。著者はこれを「モチベーション・スペクトラム・モデル」というものを用いて、とても分かりやすく解説している。

 「モチベーションを引き出す」ということであれば、目標管理や競争を取り入れて、成果を出した人にはボーナスや昇給・昇進といった報酬を与える、こんなところがスタンダードなものかと思う。ただ、著者はこういう「アメとムチ」式の方法は、「モチベーションを引き出すファーストフード」と呼んで否定する。「おいしい(魅力的だ)し、その時は満足する(成果がでる)けれど、長期的には健康を害する(組織が停滞する)」

 そこで登場するのが「モチベーション・スペクトラム・モデル」。モチベーションの種類を「無関心」「外発的」「義務的」「協調的」「統合的」「内在的」の6つに分類する。そして概ねこの順番に推移する、とする。モチベーションの「ある/なし」ではなく、「どのようなモチベーションか」に注目する。

 「会議に出席するモチベーション」で例えるとこうなる。「無関心」は「何の意義も見出せない」、「外発的」は「昇給やイメージアップに役立つから」、「義務的」は「全員が出席することになっているから」、「協調的」は「お互いに得るものがあるから」、「統合的」は「会社や仕事の目的に適うから」、「内在的」は「楽しいから」。

 そして「義務的」までを「後ろ向き」、「協調的」以降を「前向き」のモチベーションと位置付ける。ここまでは単に分析と分類なので、実践的にはあまり役に立たない。本書のキモは、「後ろ向き」の人を、どうしたら「前向き」に移行できるか?を詳述していることにある。これは役に立つ。

 私は、人数が10人に満たない小さな組織だけれど、その責任者をしている。当然、メンバーのモチベーションについて考える。これまで「ファストフード」以外のことは実践はおろか思いつきもしなかった。いい本に出会ったと思う。 

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2017年6月15日 (木)

「超」入門 失敗の本質

著  者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2012年4月5日 第1刷 2012年7月1日 電子版 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 名著と言われる「失敗の本質」を解説した本。「失敗の本質」を、戦略論であり「日本人特有の文化論」でもあると捉えて、そこから抽出した「エッセンス(日本語に訳すと「本質」。つまり「失敗の本質」の本質)」を、今日的な事例も使って分かりやすく説明してある。

 抽出されたエッセンスは全部で23個。それを「戦略性」「思考法」「イノベーション」「型の伝承」「組織運営」「リーダーシップ」「日本的メンタリティ」の7つに分類して、それぞれに一章を割り当てて「失敗しないための処方箋」を描く。

 例えば第一章のタイトルは「なぜ「戦略」が曖昧なのか?」。著者は、「失敗の本質」を読んで最初に感じる点として、「日本軍の戦略があまりに曖昧だった」と言う。そして「目標達成につながらない「勝利」が多い」ことを指摘する。個々の戦闘、戦術では秀でた点もあって、勝利することも多いのだけれど、それが「戦争の勝利」につながらない。

 その原因は、グランドデザインがないこと、そのために目指すべき「指標」が間違っていること、とする。日本軍で言えば「戦争の勝利」をどのように描いていたのか不明だ。「どこかの戦場で大勝利すれば勝敗が決まる」という「決戦戦争」思想があったようだけれど、勇ましいだけで曖昧さは免れない。

 これを著者は現代的な事例に当てはめて見せる。例えば、インテルはマイクロプロセッサの事業展開にあたって「活用しやすさ」を指標と定め、マザーボードを開発した。日本企業を含む他の企業は「処理速度」を指標にして高速化を競った。市場シェアを見ると、どちらの指標が事業の成功につながったかは明らかだ。

 このような感じでとてもよく分かりやすい。「失敗の本質」を読んで、ここまで読み取れる人はそうはいないだろう。むしろ「失敗の本質」にはここまで書かれていない。上に「(失敗の本質」の)エッセンスを、今日的な事例も使って..」と書いたが、実体としては「今日的な事例を、(「失敗の本質」の)エッセンスを使って」分かりやすく説明した本だ。

 つまり主客が転倒しているのだけれど、これでいいのだ。実際のところ私たちにとって大事なのは、今日的な事例の方であり、それを今後の自分の判断に生かすことだから。 

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2017年5月24日 (水)

好調を続ける企業の経営者はいま、何を考えているのか?

著  者:鈴木博毅
出版社:秀和システム
出版日:2017年4月25日 第1版第1刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書は、著者が8つの超成長企業の経営者にしたインタビューをまとめたもの。「超成長企業」の意味するところは、過去5年間に売上高が2~5倍、経常利益についても同水準で増加している「一部上場企業」だ。一時期よりは持ち直してはいくけれど、まだまだ経営環境は厳しい。その中で伸び続けている企業には「何かがあるはず」、それを聞き出そうという意図だろう。

 その8社は具体的には「ユーグレナ」「ディップ」「ファンコミュニケーションズ」「朝日インテック」「LIFULL」「イーブックイニシアティブジャパン」「日本M&Aセンター」「オプティム」の8社。「一部上場」というと「有名企業」というイメージがあったけれど、浅学の私は半分以上知らなかった。

 8社のすべての社長さんのお話がどれもとても刺激的だ。特に最初の「ユーグレナ」の出雲社長の話が心に残っている。社長は、ミドリムシの食用屋外大量培養に成功し、同社はその多様な商品開発を行っている。事業化のパートナーを探して500社に断られた話、エネルギー問題への取組、「世界をよい方向に変える」という理念。

 本書が魅力的なのは、「超成長企業」の社長の話の魅力に負うところが多い。ただ、それだけでは「成功事例」を集めただけになってしまう。著者は「新業態を打ち出す」「業態を変更する」という、2種類の「業態変革」を切り口にして、各社の分析を試みている。それも示唆に富んでいいと思う。

 実は私は少しだけれど株式投資をやる。基本的には東証一部の企業しか買わない(それなのに「半分以上知らなかった」のだから、恥ずかしい限りだ)。これからは、ここに載っている会社にも注目しておこうと思う。(※本書では全社が「一部上場企業」のように読めるけれど、調べてみると1社は二部のようだ) 

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2017年4月 2日 (日)

言葉にできるは武器になる。

著  者:梅田悟司
出版社:日本経済新聞出版社
出版日:2016年8月25日 1版1刷 10月17日 5刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 出版社の日本経済新聞出版社さまから献本いただきました。感謝。半年ぐらい前にいただいたのに、紹介が今日になってしまいました。陳謝。

 著者は電通の現役のコピーライター。コーヒーのジョージアの「世界は誰かの仕事でできている。」が著者の手になる作品。「言葉」それも「伝えるための言葉」のプロフェッショナルということだ。

 プロフィールからは「プロが教える言葉のテクニック」的なものを想像する。そういうすぐに使えそうな技も紹介している。「比喩・擬人」とか「反復」とか「対句」とか..。ただし分量的には後半の4割ほどで、前半ではもう少し奥深いコピーライティングのコーチが受けられる。

 「言葉には2種類ある」と著者は言う。「外に向かう言葉」と「内なる言葉」。前者はコミュニケーションツールとしての言葉。「すぐに使えそうな技」はこれを気の利いたものにする。後者は思考するときに使っている言葉。私たちは、言葉で考え、納得のできる答えを言葉で探す。著者は後者の方が大事だと言う。

 「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」「言葉にできないということは「言葉にできるほどには、考えられていない」ということ」。正論だ。日々言葉のテクニックで勝負しているコピーライターだからこそたどり着いた、実体としての重さを感じる正論だ。

 もちろん正論だけ言われても、また心構えだけ言われても、どうしようもない。でも安心してほしい。前半の6割はこの「内なる言葉」との向き合い方を、色々な視点から説いて、そのための思考プロセスの様々な方法を紹介している。

 最後に。著者は、自分が抱えている具体的な課題を想定して、本書を読むように促す。実は今、私はそのような課題を抱えている。半年も本棚に収まったままだった本書を、今回、何気なく手に取ったのは、たぶん本が呼んでくれたのだと思う。そういうことが時々ある。

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2017年1月22日 (日)

ライフ・シフト

著  者:リンダ・グラットン アンドリュー・スコット 訳:池村千秋
出版社:東洋経済新報社
出版日:2016年11月3日 第1刷発行 11月29日 第3刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者の一人のリンダ・グラットンさんは、前著「ワーク・シフト」で「2025年の働き方」を展望して見せた。テクノロジーやグローバル化などの要因が変化する中で、必要とされる「仕事」に関する考え方の「転換(シフト)」を考察したものだった。本書は、その考察をさらに広げて「人生」に関する考え方の「転換」をテーマとしたものだ。

 内容の紹介の前に2つ質問。その1「「人生」と聞いて何年ぐらいのものを思い浮かべますか?」。その2「仕事をリタイアするとして、何歳ぐらいを想定していますか?」。その1の答えは「80年ぐらい?」、その2は「65~70歳ぐらいまでにはなんとか..」と、私は思っていた。みなさんはどうだろう?

 厚労省の発表によると、日本の平成27年の平均寿命(ゼロ歳の平均余命)は男性が80.79年、女性は87.05年。年金受給開始年齢は65歳で、70歳への引き上げが取りざたされている。だから、私が思っていたことも、大きく間違えていないはず。

 本書の内容の紹介。序章に衝撃的な計算結果が載っている。それはある年に生まれた人が50%に減る年齢。2007年生まれの人は104歳、1997年生まれは101~102歳、1987年生まれは98~100歳...1957年でも89~94歳。ちなみにこれは「先進国」の値で、日本ではさらに3歳程度プラスされる。要するに今後は、半分の人は100歳まで生きる「100年ライフ」の世界になる、ということだ。私が思っていたこととはかなり違う。

 これを元に本書は「人生の組み立て」を考察する。これまでは「教育」「仕事」「引退」という3つステージで分けて、人生は組み立てられてきた。「100年ライフ」では、この3ステージのモデルでは無理がある、というのが本書の考察の基礎にある。

 例えば、これまでどおり65歳ぐらいで「引退」のステージに移ると、35年とか40年の長さになる。そんな長期間の経済負担に現役の時に備えるのは無理だ。また、引退年齢を思い切って80歳に引き上げると「仕事」のステージが60年近くなってしまう。様々なものの進歩の速さを思うと、そんな長期間有用な知識やスキルを、最初の「教育」のステージだけでは培えない。

 「ならばどうするか?」本書は、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーン、の3人を登場させ、それぞれの人生として「あるべき姿」を描き出す工夫をしている。これが参考にはなる。キーワードは「レクリエーション(娯楽)からリ・クリエーション(再創造)へ」

 しかし「理想的なロールモデル」が存在しない、ということも「100年ライフ」の特徴なので、自分の人生は自分で考えるしかない。備えておく必要があるのは確かなようだ。

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2016年10月26日 (水)

大人の経済常識

著  者:トキオ・ナレッジ
出版社:宝島社
出版日:2015年10月24日 第1刷 2016年2月29日 第2刷発行
評  価:☆☆(説明)

 行動経済学を中心として、経済学の用語を多数、身近な例を使って紹介した本。「予想どおりに不合理」「経済は感情で動く はじめての行動経済学」と同じジャンル。

 伝統的な経済学は「人は常に合理的な行動をする」ことを前提にしている。それに対して行動経済学は「合理的な行動をしない」生身の人間の行動を研究対象にしている、比較的新しい(ここ20年ぐらい)学術分野だ。「人間の不合理な行動」の例が豊富だから「あるある感」があって、小ネタに重宝する。

 本書もその「重宝さ」を狙ったものだ。様々な例を、キーワードとして関係のある理論の名称とともに、短く2~4ページでまとめている。プロスペクト理論、ハロー効果、フレーミング効果、アンカリング効果、サンクコスト..。「誰かに話したくなる」ネタがたくさん身につく。

 それから「限定」とか「○○も認めた!」とかの広告に弱い人や、なぜか無駄なものを買ってしまう人がいたら、読んだらいいかもしれない。「これ、私のことだ!」という例を見つけて、お店にカモられていたことに気付くかもしれない。

 ちょっと気になったこともある。説明が不正確だったり、的外れだったりすると感じる部分がいくつかあった。例えば「フレーミング効果の好例」として、食品メーカーのキャッチコピーが挙げられていたけれど、例として適切ではない、もっと言えばほぼ関係ないと思う。もちろん私は、この分野の専門家ではないので判定はできないし、異論もあると思うけれど。

 それでさらに、著者はどんな人なのか気になった。プロフィールを見ると「...雑談ユニット。弁護士、放送作家、大手メーカー工場長...で構成される」ここに書かれている限りでは、行動経済学の専門家はいないらしい。そういうことか。ネタを仕入れたいだけの人はいいけれど、しっかり勉強したい人は違う本を選んだ方がいいと思う。

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2016年7月31日 (日)

コンセプトのつくり方

著  者:山田壮夫
出版社:朝日新聞出版
出版日:2016年3月30日 第1刷発行 5月30日 第2刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者は電通のクリエーティブ・ディレクター。広告キャンペーンのほか、テレビ番組や店舗の開発から経営戦略の策定まで手掛ける。その著者がイノベーションを起こす「コンセプト」のつくり方、方法論を説く。

 「はじめに」の冒頭がいい。

 「でさぁ..それってデータで証明されているの?」誰かが現状を打破するために頑張っている時、こんな正論ばかり振りかざす「批評家」ってホント腹が立ちますよね。過去の情報をどれだけ客観的にいじくりまわしたって「その手があったか!」という突破口なんて見つかるわけもないのに、なぜかきょうも彼らは大威張りです。

 何か議論をするとき、企画を考えるときに、「データ」をベースにすることの重要性は否定しない。ただ、最近はそれが行き過ぎているように思う。データが揃っていない主張を「感情的」と言って切り捨ててしまう。上に書いた「はじめに」は、そんな風潮に対するアンチテーゼになっている。

 データをベースにした「客観的・論理的思考」は、「正解」が用意されている課題の解決にはとても有効だろう。しかし、世の中の課題にそんな「正解」があることは稀だ。そうなると、論理的にどれだけ考えても「正解」に辿り着かない。

 そこで、著者が重視するのは、主観的な経験や直感までも駆使する、いわば「身体的思考」。本書にはその方法論が書かれている。例えば「感じる」「散らかす」「発見!」「磨く」の順番を繰り返す「ぐるぐる思考」

 もちろんこれで「身体的思考」が、一朝一夕にできるようにはならない。しかし、この方法論はトレーニング法でもあって、繰り返し使っていると「身体的思考」が身につく、そんな確信めいたものを感じる。

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2016年5月25日 (水)

僕の仕事はYouTube

著  者:HIKAKIN
出版社:主婦と生活社
出版日:2013年7月29日 第1刷 2014年5月16日 第9刷 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 少し前に「小学生男子に将来の夢で「ユーチューバー」が3位に入った」というニュースが流れた。小学生に「ユーチューバーという職業」を浸透させた一番の人物は、本書の著者のHIKAKINさんで間違いないだろう。私は仕事で小学生と話すことがあるのだけれど、「ヒカキン」の話題を何度も聞いたことがある。

 帯によると、著者はYouTubeで「総登録者数356万人」「総再生回数7億5千万回超」という、日本一のユーチューバーだそうだ。本書はその著者が「日本一のユーチューバーになるまで」「アクセスUPの秘訣」「成功の陰の落とし穴」などを記したもの。

 著者の動画を見た印象が「お調子者」という感じだったので、読む前は、本書も「調子がいい割に中身のないハウツー本」かと思った。読み終わって思うのは「そんなに悪くない」という感想だった。

 「お調子者」なのはウケルための演技か、そうでなければ著者の一面に過ぎないのだろう。読者のために真面目に書かれたものだし、「秘訣」は実践的でもある。編集者が手を入れているとしても、これだけ物事を整理して書けるのは、ひとつの才能だと思う。

 「ユーチューバーになりたい」という小学生は、本書を読めばいいかもしれない。ただし、それは「ユーチューバーになるのは簡単じゃない」と知るためだ。今の著者があるのは、努力と集中力と忍耐力の結果だと分かるためだ。

 ユーチューバーを目指して読むのなら、都合のいいところだけ都合よく読むのではなくて「自分はHIKAKINと同じようにできるだろうか?」と自問しながら読んで欲しい。そういう読み方ができないのなら、読まない方がいい。そういう人(大人も含めて)には危険な本だと思う。

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2015年11月25日 (水)

京大式 おもろい勉強法

著  者:山極寿一
出版社:朝日新聞出版社
出版日:2015年11月30日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者は、京都大学理学部卒業、同大学院、助手、助教授、教授を経て、昨年10月に京都大学総長に就任。研究者としての道を一貫して京都大学で歩んでこられた。その著者が記した「京大式 おもろい勉強法」

 タイトルから想像される本書の内容は、「自由」と形容されることの多い校風の元の「実践力を付けるための授業やゼミのあり方」「研究ノートの取り方」などなど、だろう。そして本書にはそういうことは、まったく書かれていない

 本書には、ゴリラ研究者としての著者の半生が綴られている。それによって大事なことを伝えようとしている。タイトルから想像するような、「効率よく知識が身につけられる」的なお手軽な勉強法より、幅広い層、幅広い年代に役に立つ。ゴリラと比較することで、人間のことが良く分かる。

 書き起こされた著者の半生は、1978年に大学院生の時に、コンゴ民主共和国(当時のザイール)から始まる。一人で行って、一人で調査許可を得て、一人で交渉する。並外れてタフでなければできない。「タフ」という意味では「ゴリラ研究のフィールドワーク」自体が想像を絶する。

 ゴリラに慣れてもらうために「餌付け」ならぬ「人付け」というのをするそうだ。簡単に言うと、ゴリラがその存在を気にしなくなるまで、そこに居続けること。咆哮で脅されたり、突進を受けることもある。ゴリラが草を食べれば自分も食べる、昼寝をしたら自分も寝転ぶ、なんて方法を取った研究者もいるそうだ。

 私には絶対にできない。同じことをしようと考えると、そんな諦めの気持ちになってしまう。でも、もちろん同じことをする必要はない。著者もそんなつもりはないだろう。本書からはたくさんのことを教わった。

 借り物ではない「自分の考え」を持つこと、「勝つか負けるか」という単純な解決策しかないと思うことが問題であること、「時間」こそが「信頼」に必要であること、「共にいる」ことが「幸福」につながること、「食事を一緒に食べる」ことに特別な意味があること。

 「それ、おもろいな」。これがキーワード。 

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