3.ミステリー

2018年1月14日 (日)

マスカレード・ナイト

著  者:東野圭吾
出版社:集英社
出版日:2017年9月20日 第1刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「マスカレード・ホテル」の続編、数年後の設定。本書の前に「~ホテル」の前日譚となる「マスカレード・イブ」が刊行されているから、本書でシリーズ3作目。帯によると累計267万部突破、だそうだ。

 舞台はこれまでと同じホテル「コルテシア東京」。主人公も同じで警視庁の刑事である新田浩介と、「コルテシア東京」の山岸尚美。山岸は、前作ではフロントクラークだったが、今回はホテルが新設したコンシェルジュ・デスクに就いている。

 今回はこんな事件。練馬区のマンションで女性の遺体が発見された。死因は心臓麻痺らしい。外傷も苦しんだ形跡もない。一見すると事件性は乏しい。しかし、事件の発端が「匿名通報ダイヤル」の通報だということから、捜査を進めるさなかに「密告状」が届く。そこにはこの事件の犯人が、コルテシア東京のカウントダウン・パーティに現れる、と書いてあった。

 匿名の通報者と密告状の送り主は同一人物なのか?犯人との関係は?そもそも犯人を告発したいのなら、その素性を伝えてくればいいわけで、このような回りくどいことをする目的は何なのか?捜査本部は翻弄される。そんな中で新田はフロントクラークとしてホテルに潜入して捜査を始める。

 超一流ホテルは、様々な素性の人間が利用する。夫婦や家族を装う者も、偽名を使う者も少なくない。いわば素顔を隠して仮面を付けた人間が集まる。そういったことを、このシリーズ全体の共通のタイトルの「マスカレード(仮面舞踏会)」は表している。

 それはこれまでは比喩だったけれど、今回の「カウントダウン・パーティ」は、なんと仮装パーティで、参加者は文字通り仮面を付けている。バットマンやアンパンマンや目玉おやじがウロウロする現場。捜査が面倒なことは言うまでもない。この難しい条件で、事件を(そもそも何が起きるかもわかっていないのだけれど)未然に防ぎ、犯人を追い詰める。それが本書の見どころ。

 見どころはまだある。山岸がコンシュルジュになった。「客室の窓から見える遠くのビルのポスターが気になるから何とかしてくれ」「レストランでプロポーズをするので、彼女に気付かれずに後ろにバラの花道を作ってくれ」こんなムリめな要望に彼女がどう応えるか?これがけっこう読者の関心を引き付ける。

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2017年12月17日 (日)

弥栄の烏

著  者:阿部智里
出版社:文藝春秋
出版日:2017年7月30日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

  八咫烏シリーズの第6弾。これにて第一部の完結。 このシリーズの舞台は、八咫烏が、私たちと同じ人間の形になって暮らす「山内」と呼ばれる世界。ところが、前作の「玉依姫」はいきなり1995年の日本が舞台となった。そして今回は再び「山内」に物語が戻ってきた。

 こんな感じで舞台は大きく振幅するのだけれど、前作と今回は背中合わせに密接した構成になっている。前作で描かれた東京の女子高校生の志帆の物語の同じ時間に、山内の八咫烏たちには何が起きていたか?を描く。

 「大猿」の襲撃を受けた山内は戦々恐々としていた。そこに、その「大猿」の頭が堂々と禁門を通って現れる。厳戒態勢にあった八咫烏たちは、一斉に攻撃するが、矢も刃も効かない。そして大猿は八咫烏の若宮の奈月彦にこう言う「久しぶりだようなぁ、八咫烏の長よ」

 大猿は奈月彦に「山神」の居る「神域」に共に来るように言い、奈月彦はそれを受ける。この後は、前作で志帆の視点で描かれた物語を、奈月彦の視点で描きなおすと同時に、山内の八咫烏たちの動静を語る。物語に厚みが増す。

 色々な謎に答えが出て、色々な出来事に決着が着く。冒頭の繰り返しになるけれど、これにて第一部の完結。ただし、すべての答えが出て、すべての決着が着いたわけではない。私としては「描き切った」感はあまり感じなかった。まぁ、第二部が予告されているのだから当然だ。

 八咫烏シリーズ公式Twitterによると、第二部で終了の予定。つまりここで折り返し。第1巻「烏に単は似合わない」から「ずい分遠くまで来たけれどまだ半分か」と思う一方、「もっと長く読んでいたい」とも思う。来年中には第二部をスタート、が目標とか。ぜひ目標を達成してほしい。

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2017年12月10日 (日)

素敵な日本人

著  者:東野圭吾
出版社:光文社
出版日:2017年4月5日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 文芸誌の「小説宝石」のミステリー、SFの特別編集号等に掲載された、9編の短編を収録した短編集。著者は重厚な長編ミステリーや軽快なコメディも面白いけれど、小気味いい短編も楽しい。

 収録作品は「正月の決意」「十年目のバレンタインデー」「今夜は一人で雛祭り」「君の瞳に乾杯」「レンタルベビー」「壊れた時計」「サファイヤの奇跡」「クリスマスミステリ」「水晶の数珠」。

 最初の2つだけ紹介。「正月の決意」。正月には書初めをしてお屠蘇をいただく、そういう古風な暮らしぶりの夫婦が、初詣に神社に行くと賽銭箱の前に下着姿の死体が..。警察が来て捜査が始まるけれど、あの人もこの人も何とも無責任で、どうしょうもない感じ。

 「十年目のバレンタインデー」。10年前に突然姿を消したかつての恋人から、食事の誘いを受けたミステリー作家。甘い期待とともに誘いを受け、バレンタインデーのフレンチレストランで再会を果たす。彼女の口からは自身の作品を評価する言葉が..さて彼女の目的は?

 ミステリー作家の作品らしく、謎解きがあるし、何編かには殺人事件も起きる。でも、本書の作品の一番の読みどころはそこではなくて、最後のオチと、その多くが何となく「いい感じ」なことだ。私は、星新一さんのショートショートみたいだな、と思った。

 タイトルの「素敵な日本人」について。登場人物に「素敵」という言葉が素直に当てはまる人は多くないので、多分に皮肉交じりなのだろう。「正月」「バレンタイン」「雛祭り」「クリスマス」という、和洋入り混じった行事を楽しむことを指しているのか、あるいは「正月の決意」の人たちのようなダメダメな人のことも指しているのかも。もちろん全く違うのかも。

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2017年11月15日 (水)

ホワイトラビット

著  者:伊坂幸太郎
出版社:新潮社
出版日:2017年9月20日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「AX(アックス)」のレビュー記事に「うれしいことに今年は伊坂幸太郎さんの新刊が3冊も出た」と書いたけれど、本書はその2冊目。

 主人公の名前は兎田孝則。2年前から「誘拐」をビジネスにしているグループで働いている。「ビジネス」だから業務分担があり、兎田は「仕入れ担当」。つまり、上から指示された人を連れ去ってくる役割。「倉庫」と呼ばれる指定場所まで人質を無事連れてくれば業務完了。

 重要な登場人物が他に2人いる。一人は宮城県警特殊捜査班の夏之目課長。この物語では、仙台市の住宅街で起きた、人質立てこもり事件の指揮を執る。もう一人は泥棒の黒澤。ひょんなことから事件に巻き込まれた。黒澤は、伊坂作品ではお馴染みの登場人物。ファンなら彼の登場はちょっとうれしいはずだ。

 物語は、夏之目課長が対応する人質立てこもり事件を中心に展開する。兎田が引き起こしたものだ。兎田の警察への要求は、「折田」という名前の人物を連れてこい、というもの。その人物が見つからないと、兎田のかわいい新妻の綿子ちゃんが、大変なことになる。

 「誘拐」をビジネスにするグループの一員とか、真っ当な人間とは言えないけれど、兎田にも憎めないところがある。その一方で、善良な市民のはずの被害者の家族が、ちょっとあやしい。あっさりと見つかった折田も、やけのクセのある人物。誰も信用できない。

 面白かった。これは伊坂さんが時々やるやつだ。いくつかの視点から出来事を描いていく。最後にそれらが「正しく」組み合わさると、思ってもみなかった真相が浮かび上がる。

 最後に。三人称で書かれた小説なので「語り」がある。その「語り」にちょっと「遊び」があって、伊坂さんとしては、たぶん新しい試みだと思うのだけれど、なかなか良かった。

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2017年10月22日 (日)

AX(アックス)

著  者:伊坂幸太郎
出版社:KADOKAWA
出版日:2017年7月28日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 うれしいことに今年は伊坂幸太郎さんの新刊が3冊も出た。本書はその1冊目。

 各エピソードの初めに、主人公の名前のハンコのマーク。これで本書が「グラスホッパー」「マリアビートル」に連なる物語だと分かる。そう、殺し屋がたくさん登場する(人がたくさん死ぬ)「殺し屋業界」の物語。帯には「殺し屋シリーズ」と書いてあった。確かに3冊目もあれば「シリーズ」だ。

 主人公の名前は「兜」。もちろん「仕事」をするときの名前で、本名は「三宅」というらしい。家族は妻と高校三年生の息子がいる。殺し屋の物語に、家族とのエピソードがあるのは、ちょっと珍しいと思うが、さらに珍しいのは、「兜」が大変な恐妻家であることだ。(そういえば、必殺仕事人の中村主水も恐妻家だったか。意外とあるのかも、この設定)

 どのくらい恐妻家かと言うと、「仕事」を終えて帰って来て妻が寝ていたら、腹が減っていてもカップラーメンは食えない、ほどだ。ビニールを破る音、フタを開ける音で、妻を起こしてしまったらいけないからだ。もしそうなったら「大変なこと」になるらしい。

 まぁそんな具合で(ちょっと変わった形だけれど)「家族思いの殺し屋」である「兜」は、息子が生まれたころから「仕事を辞めたい」と思っている。簡単に抜けられる業界ではないので「上からの指示」のまま、ズルズル「仕事」を続けている。

 本書はそうして「辞めたい」と思いながら、家族のことを気にしながら、妻にビクビクしなが、それでも標的を確実に仕留める、兜の鮮やかな仕事ぶりを描く5つの物語を収録した連作集。

 やっぱり面白い。「恐妻家の殺し屋」という設定に、少し面食らったけれど、これが物語に何ともいい味を醸し出すのに役立っている。伊坂作品らしく、伏線としても最後に生きて来る。いつも通りの技ありの作品。

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2017年10月14日 (土)

機は熟せり(上)(下)

著  者:ジェフリー・アーチャー 訳:戸田裕之
出版社:新潮社
出版日:2017年1月1日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「剣より強し」に続く、超長編サーガ「クリフトン年代記」の第6部。

 このシリーズは、主人公のハリー・クリフトンの「クリフトン家」と、その妻であるエマや親友であるジャイルズが属する「バリントン家」の、「クリフトン-バリントン」一族と、それに敵対する人々、という構図を中心に物語が構成される。

 「敵対する人々」の代表格が、ヴァージニアという伯爵令嬢で、ことあるごとにハリーたちを窮地に陥れる。前作の終わりに、ヴァージニアがエマに対して名誉棄損裁判を起こし、エマの圧倒的不利な状況の中で、少しだけ含みを持たせた状態で終わっている。

 そして本書。冒頭、前作の終わりのシーンが3ページ繰り返されて始まる。裁判は、弁護士の機転によって、エマの勝利で終わるが、「クリフトン-バリントン」一族は大きな痛手を被ることになる。

 この後、相変わらず目障りなヴァージニアの言動の他、ジャイルズによる恋人の救出劇や、エマの政界への接近など、ハラハラドキドキのサスペンスが繰り広げられる。そして後半にはハリーにとっての大きな喜びに向けて盛り上がる。ほんとうに飽きない。

 このシリーズは、当初は「全五部」を予定していたものを、途中で「全七部」に構想が拡大された経緯がある。第6部の本書を読んで、さらに拡大されるのではないか?という感想を抱いた。しかし実は、第7部が既に発行されていて、出版社のサイトで「完結」が表明されている。

 あと一つか。感慨深い。

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2017年10月 4日 (水)

木洩れ日に泳ぐ魚

著  者:恩田陸
出版社:文藝春秋
出版日:2010年11月10日 第1刷 2017年10月10日 第9刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者は「蜜蜂と遠雷」で、2016年下半期の直木賞と2017年の本屋大賞を受賞した。帯に「祝本屋大賞&直木賞W受賞!」の文字が躍る。裏側には「恩田陸ミステリの隠れた傑作です!」と書いてある。2007年の作品。

 主人公はアパートの同じ部屋に暮らす一組の男女。今夜、最後の一晩をこの部屋で過ごし、明日にはめいめい別の場所へ出ていくことになっている。別れの夜というだけでも、晴れやかな雰囲気は期待できない。しかし、この物語を覆う「重苦しさと危うさ」は、もっと深く入り組んだ事情を、二人が抱えているためだ。

 男の方は「彼女があの男を殺した」と思っている。今夜中に彼女はそのことを白状するだろうか?自分はさせることができるだろうか?。女の方も「彼があの男を殺した」と思っている。今夜中に彼は自分を殺すつもりなのではないか?と疑っている。

 こんな感じで、お互いに相手を「殺人者」だと疑いながら、表面的には関係をきれいに解消するカップルを演じる。こんなヒリヒリするような心理戦を、章ごとに一人称を交互に彼と彼女に割り振って、心の中をえぐるように描くことで綴る。読者の特権で、互いの手の内が見える分、よけいにスリリングだ。

 物語で流れる時間はたった一晩で、場所はアパートの一室から出ない。本書は約300ページの長編なのだけれど、時間も場所も制限されたなかで、よくこれだけの起伏のある物語が描けるものだ。しかもちゃんと着地するし。「今さら」だけれど、著者の筆力には驚く。

 上に書いたように「深く入り組んだ事情」があり、それは何度も読者の想定を越え、時に禁忌に触れようとさえする。また「あの男を殺した」のは誰なのか?真実はどこにあるのか?「隠れた傑作」という評は当たっていた。W受賞がなければ、本書を手に取らなかっただろう。W受賞に感謝する。

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2017年8月26日 (土)

玉依姫

著  者:阿部智里
出版社:文藝春秋
出版日:2016年7月20日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

  八咫烏シリーズの第5弾。このシリーズは新しい巻が出るたびに、それまでとは趣向の違う物語になっていて、毎回「そう来たか!」と思ったけれど、今回もそうだった。

 このシリーズの舞台は、八咫烏が、私たちと同じ人間の形になって暮らし、雅やかな感じが平安京を連想させる世界だった。「だった」と過去形なのは、本書は違うからだ。本書の舞台はなんと1995年の日本だ。主人公は東京に住む女子高校生の志帆だ。八咫烏からも平安京からも、ずい分と遠い。

 とは言え、当然ながら、志帆には八咫烏とのつながりがある。志帆の祖母の出身地の山内村には「神様のいる山」がある。その山の神域を挟んで私たちの世界と八咫烏の世界はつながっているらしい。志帆は、その山の神に捧げる「御供」にされてしまったのだ。

 志帆は、いきなり命の危機に瀕するわけだけれど、主人公でもあり、それを切り抜ける。その先に待っていたものは、なんと八咫烏の若宮と大猿、そしてさらに過酷な運命だった。高校生の志帆には過酷すぎるけれど、彼女はその運命に立ち向かう。本人の意思なのか、もっと大きなものの意思が働いたのか、それは分からないけれど。

 もう1回言うけれど、現代の少女の登場に「そう来たか!」という感じ。まぁどこか頭の片隅に予感はあった。もしかしたら、解説かインタビュー記事に書いてあったのかもしれない。そうでなければ「十二国記」からの連想だろう。第3弾の「黄金の烏」のレビュー記事にも書いたけれど、このシリーズには「十二国記」と重なる世界観を感じる。

 「女子高校生」「訳も分からず異世界に連れてこられる」とくれば、十二国記の陽子を思い出す。運命に立ち向かう、というところも同じだ。今後の活躍が期待される。

 念のため。十二国記との類似について書いたけれど、著者のオリジナリティに対して疑問を呈しているのではない。世の中にたくさんの物語があるので、「何かに似ている」ことは、ある意味で不可避なことだ。ただシリーズを通して読むと、著者が描き出そうとしてるものが、オリジナリティの高いものであることを強く予感させる。

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2017年8月10日 (木)

RDG レッドデータガール 世界遺産の少女

著  者:荻原規子
出版社:角川書店
出版日:2011年5月30日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「レッドデータガール」シリーズの第4巻。今回は、主人公の鈴原泉水子と彼女を守る相楽深行の二人だけに焦点を当てて物語が進む。

 二人が進学した、東京郊外の鳳城学園では、夏休みが明けて学園祭への準備が本格化する。今年のテーマは「戦国学園祭」。学園の近くに秀吉の小田原攻めの前哨戦で激戦があった山城があったらしい。それで勢い「現地調査」にその山城跡に出かけることに..。

 泉水子は、熊野古道に近い山深い神社で育ち、「姫神憑き」という、その身に神が降りる体質。普通の人には見えないものが見えたりもする。そんな泉水子が「激戦のあった山城跡」になんかに出かけて行って、何も起こらないはずがない。400年以上前とはいえ、たくさんの人が死んだ場所なのだから。

 「何も起こらないはずがない」というわけで、何かは起こったけれど、実はそう大きな事件にはならなかった(少なくとも傍目には)。というか、この巻を通して大きな事件は起こらない。ただ、起きそうな予感だけは強く感じる。シリーズ6巻の折り返しを越えて、大きな山場へ向かっての助走、そんな雰囲気が漂う。

 泉水子と深行の関係がどうも甘酸っぱくなってきた。まぁ十代の少女と少年だからね。どうなるのか、こちらも楽しみと言えば楽しみ。

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2017年7月16日 (日)

ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード

著  者:小路幸也
出版社:集英社
出版日:2016年4月30日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「東京バンドワゴン」シリーズの第11弾。

 舞台は、東京の下町にある古本屋&カフェの「東京バンドワゴン」。前作の「ヒア・カムズ・ザ・サン」の続き。「東京バンドワゴン」を営む堀田家の1年を描く。

 いつもと同じ、大小のミステリーと人情話が散りばめられている。ミステリーの方は、東京バンドワゴンの蔵に眠る「呪いの目録」を探る男、創業者の堀田達吉と名門女子大の知られざる関係、幼稚園のお友達の家に出る幽霊、等々。

 人情話の方は、お隣の今は更生したかつての不良少年と昔の仲間の話、仕事一筋に生きた翻訳家と娘の関係、還暦を過ぎたロックミュージシャンの決断、亡くなった姉への思慕を抱き続ける青年実業家、等々。

 シリーズの中で時々ある大立ち回りも今回はあった。なんと、英国の秘密情報部が、王室の秘密が書かれた古書を奪還しに、東京バンドワゴンに現れたのだ。それに対して堀田家が打った一手がすごい。当主の勘一が切った啖呵がまたカッコいい。

 前作のレビューで「今回の一番の主役」と言った研人くんは高校生になった。ミュージシャンとしても人間としても男としても、今回も一回りも二回りも成長した。

 単行本の第1刷には、初回限定特典として、語り手のサチさんの初七日を描いたショートストーリー「夢もうつつもひとつ屋根の下」がついている。

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