3A.三上延(ビブリア古書堂)

2014年12月28日 (日)

ビブリア古書堂の事件手帖6

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2014年12月25日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 累計600万部突破の人気ベストセラーシリーズの第6巻。

 4巻に続いてシリーズ2作目の長編。今回は太宰治の処女作品集「晩年」の初版を巡るミステリー。「晩年」はこのシリーズとの因縁が浅からぬる本だ。第1巻で古書堂の店主である篠川栞子は、「晩年」に妄執する古書マニアに襲われて大ケガをしている。

 そして、こともあろうにその事件の犯人である田中敏雄が、主人公の五浦大輔と栞子の前に、再び現れる。しかも「晩年」を探し出して欲しいという依頼を持ちかける。あの事件の発端となった「晩年」とは別の「晩年」がある、というのだ。

 一見、田中は改心したようだ(というより、目当ての古書を手に入れるためには手段を選ばないけれど「悪人」ではないらしい)。しかし、それは本当か?今回も大輔と栞子の周囲には、危険が影がチラつく。その正体は田中なのではないのか?という疑念が最後まで付きまとう。

 読み応えのあるミステリーだった。「晩年」を追う過程で浮上してきた「47年前の事件」の謎解きが絡んでくる。さらに、その47年前の事件には、大輔の祖母や栞子の祖父までもか関わっているらしい。構造がドンドン重層的になってきた。

 本当にそんな人がいるのか分からないけれど、狂信的な古書マニアは怖い。最初と最後にだけ登場する、栞子の母の智恵子の存在も目が離せない。次巻が楽しみ。

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2014年2月 6日 (木)

ビブリア古書堂の事件手帖5

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2014年1月24日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 人気ベストセラーシリーズの第5巻。「帯には累計550万部突破!」の文字が躍る。

 3巻4巻のレビューを読んだ方には繰り返しになるけれど、このシリーズは3巻目から俄然面白くなった。4巻はその盛り上がりを維持した。そして本書は...

 4巻がシリーズ初の長編だったのに対して、本書はまた1編に1つの本にまつわる謎を追いかける連作短編に戻った。古書店の若い女店主の栞子が、溢れるほど豊富な古書の知識を使ってその謎を解く。それを主人公であるアルバイトの大輔の目を通して語る。

 その見事な謎解きがこのシリーズの特長ではあるのだけれど、巻を重ねるとさすがに飽きてくる。3巻の盛り上がりは、それに加えて栞子自身にまつわるミステリーが、シリーズを貫く芯としてストーリーに絡んできたことによる。

 そして、上の「そして本書は...」の続き。本書では維持してきたテンションを、フッと緩めた「転換」を見せる。栞子のミステリーについては一旦クールダウン。その代わりに、栞子と大輔の関係の大きな進展の予感で引っ張る。

 「転換」と言えば、本書から各短編の後にこれまでにはなかった「断章」が付くようになった。そこでは、主人公の大輔がいない場面での栞子が描かれている。これがなかなか効果的だ。

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2013年3月 6日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖4

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2013年2月22日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 人気ベストセラーシリーズの第4巻。帯に小さな字で「年間ベストセラー文庫総合1位(2012年トーハン調べ)と書いてある。それで、トーハンのウェブサイトを見てみると、「ビブリア古書堂の事件手帖(1)(2)(3)」が1位、2位は「1Q84 BOOK1〜3 前後編」。なんと村上春樹さんを抑えての1位。

 3巻のレビュー記事に書いたとおり、2巻で一旦下がったテンションが、3巻で再び盛り上がった。4巻目の本書はその盛り上がりを見事に維持し、次巻以降へとつないだ。著者による「あとがき」によると、「この物語もそろそろ後半」だそうだ。まだしばらくはこのシリーズの人気が続きそうだ。

 舞台も登場人物もこれまでと同じ。いや登場場面は少ないながら、重要な人物が1人増えた。篠川家の母が満を持して登場する。母の智恵子は、10年前に失踪したきりで、娘で店主の栞子との確執を匂わされていた。その智恵子が、冒頭のプロローグで早くも姿を現す(正確には電話の声だけだけれど)。

 智恵子の登場以外に、これまでの3巻と違うことがもう1つ。これまでは別々の本をめぐる短編が連なる連作短編だったけれど、本書はシリーズ初の長編。江戸川乱歩作品のコレクションにまつわる、アイテムの探索と暗号解読。宗教は絡まないけれど、少しダン・ブラウンっぽい。

 栞子によく似た容姿で、栞子にはない押し出しの強さを持った智恵子。この母娘の間には、反発と強い絆が共存している。ここからどんなドラマが描かれるのか楽しみだ。

 月9でドラマを放映中。剛力彩芽さんの栞子は原作とはだいぶ違うし、設定もあちこち変えられているのは不満だし、3巻のエピソードまで使うのはやめて欲しい。でも、ドラマ自体は面白いと思う。

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2012年11月21日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖3

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2012年6月23日 初版発行 8月3日 3版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 帯に「累計300万部 大人気シリーズ待望の最新刊」とある。本書はシリーズ3巻目で、1年前に書いた2巻目の「ビブリア古書堂の事件手帖2」のレビューには、「シリーズ53万部」と書いているから、この1年でさらに大化けしたようだ。

 実は私は、1巻目2巻目を楽しく読んだにも関わらず「3巻目はもういいかなぁ」と思っていた。古書に関するウンチクには好奇心を刺激されるけれども、そんなにウンチクをため込んでも仕方がない、という気持ちだった。
 ところが、本好きのためのSNS「本カフェ」で、3巻(つまり本書)の噂が耳に入ってきた。どうも2巻目より3巻目の方がいいらしい。私と同じように2巻でテンションが下がった方が、「3巻を読んで次を心待ちにするようになりました。」とも言っている。これは、読まないと...というわけで本書を手に取った次第。

 読み終わってみると、3巻目で盛り上がっている方の気持ちが分かった。前巻までが「古書のウンチク」で読ませるのに対して、本書はストーリーで読者の興味を引っ張っている。相変わらずウンチクもあるのだけれど、それが前面に出てくる感じではなくなった。ストーリーとのバランスがちょうどいい塩梅になってきた。

 改めて簡単に紹介すると、本書は、北鎌倉にある古書店「ビブリア古書堂」を舞台にした、そこの店員の大輔と店主の栞子の物語。栞子が本の知識と洞察力によって、謎や事件を解決していく。それと並行して、栞子自身にも謎があることが見え隠れする。

 本書では、新しい登場人物が登場することで、栞子を取り巻くいくつかの新事実が明らかになり、それに伴って謎も深まる。栞子を取り巻くミステリーには、まだまだ二の矢三の矢を、著者は用意しているはずだ。
 一旦は「もういいかなぁ」と思った私だが、2月に発売予定の第4巻も読むだろう。(1月にはフジテレビ月9で、剛力彩芽さん主演でのドラマ化が決定している)

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2011年11月27日 (日)

ビブリア古書堂の事件手帖2

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2011年10月25日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「ビブリア古書堂の事件手帖」の続編。今朝の朝日新聞の読書面の「売れてる本」欄に紹介され、後ろのページに広告が載っていた。それらによると、シリーズ累計53万部で、10月刊行の本書もすでに22万部に達したそうだ。前作が20万部突破に5か月、今回はそれを大きく上回るハイペースだ。
 本書の人気の秘密の1つは、「本(のウンチク)を物語の中心に据える」という着想にある。しかしこれは同時に「縛り」にもなる。読んで「なるほど」と思わせるウンチクは、無尽蔵にあるわけではないだろうし、それを事件と絡めるのも簡単ではないからだ。だから私は第2巻を期待しながら心配もしていた。著者の抽斗にはまだウンチクは残っているのか?と。

 舞台も主な登場人物も前作と同じ。北鎌倉にある古書店「ビブリア古書堂」を舞台にした、そこの店員の大輔と店主の栞子の物語。本を巡って小さな事件が起きる。いや、見逃してしまえば事件にさえならない。それを栞子が、本の知識と洞察力によって解き明かしていく。
 前作の終わりで大輔はお店を辞めているのに、本書では冒頭から「ビブリア古書堂」で働いている。「色々あって一言では説明しにくい」という説明には苦笑してしまったが、後で少しだけ丁寧な顛末が紹介されていた。

 上で述べた私の心配は杞憂だったようだ。第2巻の本書では全部で4つの書籍が登場するが、どれもが「なるほど」と思わせる物語(ウンチク)をまとっていた。さらに個々の事件が、大輔の過去や栞子の母のことなど、別のストーリーを引き出すようになって、ドラマ性が増したように思う。第3巻は来年5月刊行予定。

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2011年10月 3日 (月)

ビブリア古書堂の事件手帖

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2011年3月25日 初版発行 9月6日9版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 有川浩さんの「シアター!」と同じ「メディアワークス文庫」というレーベルの1冊。著者が電撃文庫出身というところも有川さんと同じ。そして本書は発行後5か月で20万部突破のベストセラー。「シアター!」が、発行後9カ月のプレスリリースで「20万部突破」とあったので、それを上回る出だしだ。メディアワークス文庫としては、有川作品に続く目玉シリーズにしたいところだろう。

 主人公は五浦大輔。大学を卒業したものの就職が決まらず、母親からは「プー輔」と呼ばれている。彼は、5歳のころの経験が(おそらく)もとで、本が読めない体質。長時間字を追っていると、鼓動が高鳴り、手のひらに汗をかき、気分が悪くなってしまう。本が嫌いなのではなく、読みたいけれど読めない。
 そんな大輔が、祖母の形見の「漱石全集」の査定のために、訪れたのがビブリア古書堂。そこの店長の栞子は、極度の引っ込み思案で、本の話以外は他人とまともなコミュニケーションができない。
 かくして、本のことは聞くことしかできない大輔と、本のことしか話せない栞子の、絶妙かつ奇妙なかみ合わせの2人が、物語を転がして行く。

 本書は、古書店に持ち込まれる本にまつわる謎を、栞子が解くミステリーだ。実は栞子は入院中で、この物語は、いわゆるベッド・ディテクティヴ ミステリーの部類に入る。ただし、本書の魅力はミステリーとしての出来より、「本」というものの捉え方によるところが大きい。
 本には物語がある。小説などなら当たり前だ。しかし、古書店で高値で取引される本には、出版の経緯や著者自身のエピソードなどにも物語がある。さらに、人の手を経て来た本には、持ち主にも物語がある。本書は、それらが渾然一体となって、本好きを惹き付けるオーラのようなものを発している。続編希望。....と思ったら、10月25日に続編が出るらしい。

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