36.ダン・ブラウン

2014年1月23日 (木)

インフェルノ(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥
出版社:角川書店
出版日:2013年11月28日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「ダ・ヴィンチ・コード」の著者の最新作。それも「ダ・ヴィンチ・コード」で登場する宗教象徴学者のラングドン教授のシリーズ。

 物語はラングドンのおどろおどろしい夢から始まる。川の向こうにベールをかぶった女性。その足元にはたくさんの人間の亡骸が広がっていて、手前の川の水は血の色をしている。まさに地獄絵図。

 だからと言って、ミステリー作家の著者がスプラッターホラーに転向したわけではない。今回の物語のテーマはダンテの「神曲」。念のために言うと「神曲」は3篇から成り、その第1篇が「地獄篇」で、地獄の有り様が描写されている。ラングドンの夢はこれに関連している、というわけだ。

 夢から覚めたラングドンはフィレンツェの病院にいた。ここ2日間の記憶をなくして。何がどうなっているのか分からないうちに襲撃を受けて、居合わせた美人の女医さんの機転によって、2人で難を逃れる。

 パズルのピースをはめるように、少しずつ判明する情報を繋ぎ合わせると、「神曲」を基にした謎を解き明かす必要があるらしい。その背景には大きな陰謀が見え隠れする。そうでなければ、こんなに執拗に追われることはないはずだ。

 今回も面白かった。どうやら映画化の話が進んでいるらしい。謎解きがあり、陰謀があり、美人と2人の逃避行があり、危機一髪があり。シリーズのお馴染みのパターン。意地悪な言い方をすれば、テンプレートに流し込んだ感じなんだけれど、それが期待されているという側面があるのも確かだ。

 最後に。今回の陰謀は、これまでで一番怖いかもしれない。「今そこにある危機」に対して、私たちはあまりに無防備というか無邪気というか...

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2010年4月25日 (日)

ロスト・シンボル(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥
出版社:角川書店
出版日:2010年3月3日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」に続く、ラングドンシリーズの3作目。前2作ではキリスト教にまつわる秘密をめぐる陰謀が描かれていたが、今回はフリーメイソンが秘匿する「秘密のピラミッド」と「古の神秘」に迫る。

 フリーメイソンは「ダ・ヴィンチ・コード」でも言及されている。欧米では政府要人などの有力者の会員が多いからか、世界的な秘密結社で様々な陰謀説がささやかれている。また宗教的な儀式が重んじられるという情報から、オカルト的な噂も絶えない。
 本書は、フリーメイソンから導かれるこうした印象に加えて、次の事実などを背景として首都ワシントンD.C.を舞台としたサスペンスに仕上がっている。(1)ワシントンやフランクリンといった米国建国の父らがフリーメイソンであった (2)ワシントンD.C.に高さ169メートルもの巨大なオベリスク様建造物(ワシントン記念塔)がある (3)1ドル札にピラミッドと「目」が描かれている

 良くも悪くも過去2作のラングドンシリーズ、さらには他のノン・シリーズも含めた著者の作風を踏襲した作品だ。秘密めいた団体、象徴に隠された意味、謎につつまれた敵。そして敵に奪われた友、その友の肉親の美女と運命を共にした、敵だけでなく公権力の追跡からも逃げる逃避行。
 今回の美女のキャサリンは50歳で、ずいぶんお年を召しているなぁと思ったが、ラングドンとは同年代でつり合いはいい。「いやいや50歳になっても魅力的っていうのがスゴイじゃない?」なんて、年寄扱いしていてふと気が付いた。私もあと3年あまりで50歳だ(!)。

 上に「良くも悪くも」と書いた。良い方は、いつものとおり「秘密」に対する好奇心を刺激されるワクワクする物語だったこと。全編で12時間という短い時間のなかで展開するスピード感。悪い方は、何となく先が読めてしまうこと。さらに今回は迫る危機や敵が一回りも二回りも小さい気がする。同じ枠組みで続けるのは楽なようでいて、前を上回る新たな物語を創り出すのは大変なのだと思う。

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2007年6月24日 (日)

パズル・パレス(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥、熊谷千寿
出版社:角川書店
出版日:2006年4月5日初版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「ダ・ヴィンチ・コード」のダン・ブラウンのデビュー作。
 本書の5年後に「ダ・ヴィンチ・コード」を刊行したということを考えると、なるほどと思うことが多い。

舞台は、NSA(米国国家安全保障局)。主人公は暗号解読のエキスパートで、美人のNSA職員。彼女のパートナーは言語学の大学教授。主人公の名はソフィーではなく、大学教授もラングドンではないが、「ダ・ヴィンチ・コード」の主人公2人を思い出さずにはいられない。
 それに、本書には宗教上のうんちくはないが、ITと暗号に関する高度な知識がちりばめられている。つまり、少し難しい話を利用してストーリーをけん引する手法は、著者の既刊の3冊と趣きが似ている。いや、本書がデビュー作なのだから、1冊目からそのスタイルを確立していたというべきか。

大学教授の方は、ある指輪を求めてスペインのセビリアの街を走り回ることになる。これが実に目まぐるしく展開して、ペースがいい。少しご都合主義的なところはあるが、これも愛嬌だ。
 ストーリーは、NSAの副長官で主人公の上司の野望が基で、NSA、いや自由主義世界全体が危機に陥る。その原因はコンピュータウィルス(登場人物のSEは、ウィルスではなくワームだと言っているが)だ。ウィルスが原因で、システムが破壊されるというのは、今であれば、ありきたりの設定で、いささか陳腐な感じがしないでもない。
 しかし、本書は1998年の刊行、先見性があったと言わねばならないだろう。

登場する日本人の名前が、全く日本人らしくないのが気にはなるが、それもご愛敬。慣れてしまえば楽しく読める。

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2006年7月25日 (火)

デセプション・ポイント(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン 訳:越前敏弥
出版社:角川書店
出版日:2005年4月5日初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「ダ・ヴィンチ・コード」の著者による科学ミステリー。「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドンシリーズの間に、アメリカで2001年に出版された。
 ラングドンシリーズ2つでは、「キリスト教」を題材に読み手の好奇心を刺激して、特に「ダ・ヴィンチ・コード」は大ベストセラーになった。本書でのテーマというか、料理されるのは「NASA」だ。大統領選挙も絡んでくる。
 現代的なだけに、「本当にそうだったかもしれない」という、秘密の暴露的な興味はそそられない。しかしフィクションとして充分に楽しめる。宗教から切り離されているので、「ダ・ヴィンチ・コード」の映画化の時のような妙な反発も招かないだろう。(NASAは「事実と異なる」という無粋なことは言わないだろうから)

 ストーリーは、NASAの世紀の大発見(地球外生物)に対する疑惑を、主人公の女性が海洋学者らと共に解明していく。途中には「あり得な~~い」と叫びそうになることが、次々と起きる。「天使と悪魔」で、ラングドンがヘリから飛び降りて来たときにはびっくりしたが、今回はそれ以上だ。
 「あり得な~~い」ことが起きるハリウッドのアクション映画を楽しめる人にはおススメ。そういうのはシラけてしまう人には?どうだろう?

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2005年3月18日 (金)

天使と悪魔(上)(下)

著  者:ダン・ブラウン(訳:越前敏弥)
出版社:角川書店
出版日:2003年10月30日初版 2004年11月30日第16版(上)、7月5日第5版(下)
評  価:☆☆☆☆(説明)

 ダ・ヴィンチ・コードの作者による、謎解きスリラー。アメリカの象徴学者ロバート・ラングドンが活躍するシリーズの第1弾。つまり、ダ・ヴィンチ・コードより前の作品ということになる。
 シリーズ物だから仕方ないのかもしれないが、父や祖父を殺された女性とともに、キリスト教に関する謎解きをしながら、絶体絶命の危機を切り抜けていく、その背後には秘密結社や殺し屋、というストーリーは2つの作品であまりに酷似している。作者のスタイルと言えばそれまでだし、面白ければ問題ないとも言える。とは言え、3作目、4作目と続けるのは難しいだろう。
 そして、2作目までは大変に面白い。だから問題なしとしておこう。本書では、24時間というタイムリミットの存在と、失敗した場合には1つの国が破滅するという危機感のためか、ダ・ヴィンチ・コードより面白く読めた。
 ダ・ヴィンチ・コードの成功までは、著者は全くの無名であったことを思えば、本書が日本語訳されて読むことができたのは運が良いと言える。2作目を著者が出さなかったら、目に触れることもなかったのだから。

 このシリーズの面白さは、考古学上の事実や新発見とフィクションをうまく織り交ぜることで、その境界上での知的な遊びを創造していることにもある。小説の中であげられる数々の指摘は、もしかしたら真実なのかも、と思わせる説得力があり、好奇心をくすぐる。巻末にある謝辞を見ると、著者が丹念な取材をしたことが垣間見える。

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2004年12月 5日 (日)

THE DA VINCI CODE

著  者:Dan Brown
出版社:Transworld Publishers(Corgi Books)
出版日:2004年
評  価:☆☆☆☆(説明)

 友達が貸してくれた洋書。ハリーポッターと違って、日本語版も既に出ているのだけれど、原書で読んでみた。
 ダヴィンチの絵に込められたメッセージや、暗号の謎解きが随所にあり、次々と降りかかる危機を切り抜けていく。退屈しない。だから、苦労しながらも読めたのだろう。映画にすれば面白いだろうと思う。と思っていたら、本当にトム・ハンクス主演で映画化が決まったらしい。
 あくまでこれは小説なので、ここに書いてあること全部を真実と受け止めることはできない。以下にあげたようなことが、真実っぽく説得力を持って語られている。トンデモ本に分類されるものかも知れないが、同様の内容の本が大真面目に出版されているらしい。
(1)イエス・キリストは実は結婚していて、子どもももうけている。
(2)その相手は娼婦から改心したとされるメアリーマグダレン(マグダラのマリア)
(3)その事実が都合が悪い教会がその証拠を葬ろうとしたが、失敗し逆に隠されてしまった。(これが聖杯の正体だという)などなど
そして、ダヴィンチの最後の晩餐に女性が描かれていること、これは現在確かめることのできる紛れもない真実。聖書によると13人の使徒は全員男性ということなのに。

 次々と明らかにされる謎を真実だと信じて読むと実に面白い。もちろん日本語版で良いのでオススメです。

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