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2019年3月 6日 (水)

さざなみのよる

著  者:木皿泉
出版社:河出書房新社
出版日:2018年4月30日 初版 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。著者は2014年に「昨夜のカレー、明日のパン」で、本屋大賞第2位を受賞している。その時の大賞は和田竜さんの「村上海賊の娘」。

 全部で14話ある連作短編。主人公は一話ごとに変わる。第1話の主人公の名前はナスミ。富士山が間近に見える所にあるマーケットストアの、三人姉妹の次女として生まれ、20代で東京に出て結婚し、故郷に戻って来た。そしてガンで亡くなった。享年43歳。

 第2話からは、ナスミに関係のあった人物が順番に主人公になる。第2話は姉の鷹子、第3話は妹の月美、その後は、夫の日出夫、大叔母の笑子、同級生の清二と続く。途中で語りが鷹子に戻ることがあるけれど、語られる人物は、清二の妻、東京時代の同僚、ナスミの知り合いの後輩の妹!なんて、遠くへと広がっていく。

 実に巧みな構成だった。ナスミと生前に関係のあった人々が、思い出の中のナスミが残した言葉を語ることで、ナスミという人とその人生が浮かび上がる。そして浮かび上がったナスミという人は、とてもチャーミングな人だった。品行方正ではないけれど、自分にも周りの人にも正直で、しかも思いやりがあって。巧みな構成とチャーミングな人物。面白くないはずがない。

 心に残るエピソードはたくさんあるけれど、やはりナスミ自身が病院のベッドで語る心境が一番ささる。些細なことでした日出夫との喧嘩を思い出して、「あれ、なんだったの」とおかしくて笑ってしまうこと。意地悪をしてみてもみんな優しく笑うだけで「自分はこの世界から降りてしまったのだ」と気がつくこと...。

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