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2019年1月 9日 (水)

「AI失業」前夜 これから5年、職場で起きること

著  者:鈴木貴博
出版社:PHP研究所
出版日:2018年7月2日 第1版第1刷 9月3日 第2刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 AIがもたらす経済・社会の問題について、過去から現在、そして5年後、最大でも10年後までの時間軸で論じた本。

 本書の特長で著者の慧眼は、この時間軸の設定にある。現在「AI」を論じる書籍や記事には、2045年に迎えると言われる「シンギュラリティ(技術的特異点)」の話が、必ずと言っていいほど出てくる。

 しかし、今、私たちが最も問題にしなければならないのは、26年後にAIが人間の知性を越えるのか越えないのか?仕事の半分ぐらいが消滅すると言うけれど本当か?なんて話ではない。これから5年とか10年という、もっと近い将来に起きることにどう対処するのか、の方が大事なはずだ。

 時間軸を「過去」に伸ばしていることも注目に値する。AIの影響は、現代社会の諸問題として既に表れている、と著者は指摘する。例えば、非正規雇用が増え続けている問題がそう。

 これまでのAI研究の成果である「エキスパートシステム」は、コンビニの発注業務をアルバイトができるようにした。小売店にとって「発注」は重要な業務で、従来は熟練の売り場社員しかできなかった。少なくとも「発注」に関しては、熟練の社員は要らなくなり、非正規雇用のアルバイトに置き換わるのは当然の成り行き、という次第。

 こんな感じで、今後についても非常にロジカルに予想する。専門性がある仕事が、AIの開発効率のよい市場の大きいものから順に置き換わる。それは運輸と金融から始まり、ホワイトカラーの仕事の多くに急速に広がる。この予想が当たるか当たらないか、それは分からないけれど、一部はすでに現実になっている。例えば、メガバンク3行は、今後10年間で数万人規模のリストラ計画を発表している。

 最後に。「AIが人間のような知能を獲得することは起きない」を論拠にして「AI失業は怖くない」という議論があるが、その落とし穴にはまらないように、と著者は警告する。その説明が胸に落ちた。「AI失業は怖くない」と思っている人は読むといいと思う。

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