« 「超」入門 空気の研究 | トップページ | 2018年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。 »

2018年12月27日 (木)

安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

著  者:相澤冬樹
出版社:文藝春秋
出版日:2018年12月25日 第1刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 今年の5月に「森友学園問題のスクープを連発していたNHK大阪放送局の記者が突如左遷」と、夕刊紙などで報じられた。記事で「A記者」とされていたのが、著者の相澤冬樹記者だ。そう、本書は著者が森友学園問題の取材を始めたころから、夕刊紙で報じられた「左遷」に至るまでの一部始終を記したもの。読み応えあり。

 最初に言っておくと、タイトルの「安倍官邸vs.NHK」は、一旦忘れてしまっていい。もちろん本書を手に取る人の多くは、このタイトルに何かを期待して手に取る。しかしその期待には応えてくれない。安倍官邸がその時何をしたのか?そのことは何も書かれていない。しかし、本書が読者に伝えてくれることは多い。読む価値はある。

 本書に書いてあるのは、森友学園問題について著者が、どのように取材して、それがどのように報じられたか(あるいは報じられなかったか)だ。いつ、だれを、どこで、なにを、どのように、なぜ取材したか。記者が記事の基本を守って書いた文章は、とても読みやすい。

 安倍官邸のことを書いていないのも、この「記事の基本」のためだ。「ウラが取れていない」ことは書かない。著者は自分が取材したり、NHKの中で体験したりして、見聞きしたことしか書かない。一記者である著者には、官邸からの直接の圧力はかかっていなかった。上層部への圧力は推測できただろうけれど、推測は書かない。まぁ書かないことで「NHKの異常さ」が却って際立っているけれど。

 それでも充分だ。森友学園問題でのNHKの報道に疑問を持った人は多いと思うけれど、「あれはこういうことだったのか」と分かる。きちんと報道されなかった事実も多く明らかにしている。また「これは森友学園の事件ではなく、国有地を格安販売した財務省の事件だ」という定義の仕方は、コトの本質を捉えている。

 その後に続いた加計学園の問題や、国会で次々と持ち上がる政府の不誠実な対応に隠れて、森友学園問題は沈静化してしまっている。本書が、真相究明の再スタートとなってくれることを期待する。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由」 固定URL | 5.ノンフィクション

« 「超」入門 空気の研究 | トップページ | 2018年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。 »

5.ノンフィクション」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/67528708

この記事へのトラックバック一覧です: 安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由:

« 「超」入門 空気の研究 | トップページ | 2018年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。 »