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2018年12月16日 (日)

採用学

著  者:服部泰宏
出版社:新潮社
出版日:2016年5月25日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 お世話になっている会社の採用担当の方に教えてもらった本。

 「採用学」という言葉は聞きなれないけれど、それはそのはずで、著者がまさに今、確立に力をそそいでいる(つまりまだ確立されていない)学問領域。企業における人の採用を研究する。欧米には採用に関する膨大な研究蓄積があるけれど、日本ではいくつかの有益な知見が出始めたところらしい。

 著者はまず「良い採用」について考える。ポイントは3つ。1つ目は、高い仕事成果を上げる優秀な人材を得ること。少なくともランダムに採用した時より優秀でなければ、採用活動をする意味がない。2つ目は、会社に中長期的に留まるような人材を得ること。いくら優秀でもすぐに転職されては困る。3つ目は、組織を構成するメンバーに多様性が生じ、結果として活性化を導くこと。

 現在の企業の一般的な採用活動には、このポイントに照らして問題が多い。例えば、優秀な人材を取りこぼさないように、まずは大量にエントリーしてもらう「大規模候補者群仮説」。このために、雇用条件をあいまいにして間口を広げ、ネガティブな情報を伏せる。しかしこれは「魅力的でない求職者」が大量にエントリーするし、入社後の社員と会社の「期待のミスマッチ」を招いて、ポイントの2番目の「中長期的な定着」や、3番目の「活性化」を損なうことにつながる。

 私はごく小規模な職場で働いているので、このような形の採用活動には縁がないけれど、採用面接はする。その「面接」についても、興味深い指摘があった。面接では「コミュニケーション力」が重視されるが、「コミュニケーション力」は後からでも身につけられる、という。まぁ「即戦力」を求める場合は「後から~」なんて言ってられないのだけれど、もっと他に見るべきことがあるんじゃないの?ということだ。

 著者は、元々は経営や行動科学の研究者。考えてみれば「採用」は、「ヒト・モノ・カネ」の経営資源の一つである「ヒト」を得る活動。企業経営の根幹に関わることだ。それにしては、担当者の経験やカンによって進められていて、とても「科学的」とは言えない(と私は思う)。著者らによる「採用学」の知見をいち早く取り入れた企業が、業績を大きく伸ばすようになるかもしれない。

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