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2018年10月

2018年10月 7日 (日)

小西美穂の七転び八起き

著  者:小西美穂
出版社:日経BP社
出版日:2018年9月15日 第1版第1刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 出版社の日経BP社 日経ビジネス編集部さまから献本いただきました。感謝。

 著者の小西美穂さんは、日本テレビの解説委員・キャスター。現在は夕方の情報番組「news every.」に出演されている。本の帯の写真の整ったお顔を見て「女子アナ」かと思ったけれど、一貫して記者畑を歩んでこられている。

 本書は著者の19歳から49歳(現在)までの「デコボコ人生」を振り返ったもの。「キャリア論」「チーム力」「突破力」「ノート術」という、ビジネス寄りのテーマから始まって、「友情論」「家族力」という「身の上話」も赤裸々に綴る。「婚活法」なんてのもある。

 「やらなかった後悔だけは抱えないように」と、著者はおっしゃる。「しなかった後悔より、した後悔(の方がいい)」と、よく言われる。私も時々使っている。しかし、言うことは簡単だけれど、行うことは難しい。でも著者の人生は、それを本当に行ったことの連続だ。

 32歳で単身の女性として「異例中の異例」のロンドン特派員。34歳でイラクのサマワの陸上自衛隊の取材。35歳で生放送の討論番組の司会...。自分の実力を考えるとかなり背伸びした仕事で、断ろうと思えば断れた。でも、著者はそうしなかった。

 しかも「思い切ってやったらできた!」なんていうお気楽な話ではない。ロンドンでは出番が回って来ずに留守番ばかり、サマワでは「生きた心地がしない」経験、討論番組の司会では抗議が殺到。「やらなかった後悔だけは~」なんて言ってやった結果、大変な目に会っている。著者のスゴイところは、「思い切ってやる」ことではなくて、大変な目に会ってからの踏ん張りと回復だ。

 とは言え、結果オーライ、所詮は自慢話か?と言えば、それでもない。著者の「ノート術」は、心が弱って長いトンネルに入り込んでしまった時の脱出術でもある。その他にも、困ったときにはどうすればいいかを、(著者自身の経験だから)説得力を持って書いている。「20代から30代の働く女性たちに向けて」となっているが、世代も性別も越えて得るものの多い本だと思う。

 最後に。この本からは、友達のありがたさも伝わってくる。自分のことでもないのに、読んでいて何度か、ありがたくて涙がにじんだ。著者がどう思っているか分からないけれど、著者は確実に友だちに恵まれている。それも含めて著者には人間力があるということだろう。

 著者の出演番組は、ネット配信されています。
 「news every.」の「ナゼナニっ?」コーナー

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2018年10月 3日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2018年9月22日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 書店で本書を見た時「あれ?!」と思った。「ビブリア古書堂の事件手帖」と書いてあって、それは「ビブリア古書堂」シリーズの第1巻のタイトルだけれど、表紙のイラストに栞子と一緒に、黄色い服を着た子供が描かれている。第1巻には少なくとも主要登場人物には子供はいない。不思議に思って、裏表紙の紹介を読むと、なんと新刊だった。

 「あとがき」によると、本書は「本編に盛り込めなかった話」や「大輔視点という物語の制約上語れなかった話」「それぞれの登場人物の後日譚」。全部で四話が納められている。栞子が自分の娘に語り始める、という形式で物語に誘導する。表紙の子どもは栞子と大輔の娘の扉子(とびらこ)だった。時代は第7巻から7年後の2018年、つまり現在。

 本には、出版の経緯や著者自身のエピソードなどの物語があると同時に、人の手を経て来た古書には持ち主にも物語がある、というのが、このシリーズのコンセプト。本作でもそれは発揮されている。長く絶縁していた叔父と姪、気持ちがすれ違ったままだった母と息子、魅かれ合う若者二人、それぞれの縁を古書がつなぐ。そうかと思えば、高価な古書を前に生じた気の迷いで道を誤る話も..。

 面白かった。特に大輔視点という制約を外したことで(正直言って、そんな制約があったのか?と思ったけれど)、自由な広がりが実現した。また、栞子と大輔が幸せそうでよかった。栞子の母の智恵子から栞子を経て扉子に受け継がれる、本への傾倒ぶりと能力は、もう怖いぐらいで、だからこそ今後の展開に期待が膨らむ。

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