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2018年10月17日 (水)

働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社

著  者:小室淑恵 
出版社:毎日新聞出版
出版日:2018年3月20日
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者は株式会社ワーク・ライフ・バランスという会社の代表取締役社長。この会社はこれまで900社以上の企業等の「働き方改革」を成功に導いたコンサルティング会社。私は、何年か前にテレビで著者が話していた「人口ボーナス期」「人口オーナス期」の話に感銘を受けて、著者の事業をもっと知りたいと思った。(そのまま何年か経ってしまったけれど)

 本書は、著者の会社の900社の実績の中から、20社の成功事例を選んで紹介する。併せてなぜ「働き方改革」が必要であるのか?そのためにはどうすればいいのか?を、コンパクトに説明する。その中に「人口ボーナス期」「人口オーナス期」の話もある。

 「人口ボーナス期」とは、その国に「若者がたっぷりいて高齢者が少ししかいない」人口構成の時期。安い労働力で安く早く大量に仕事をこなす。高齢者が少ないので社会保障費が嵩まない。余った利益をどんどんインフラ投資に回す。爆発的に経済発展する。日本では1960年代半ばから1990年代半ばまで。

 さらに「人口ボーナス期」の特長は、筋力を必要とする仕事が多いので「なるべく男性が働き」、作れば作っただけ売れるので「なるべく長時間働き」、均一なものをたくさん提供するために「なるべく同じ条件の人を揃えた」、そういう組織が成功する。

 「人口オーナス期」はその逆。「高齢者が多く若者が少ない」。その特長も逆。「男性も女性も働き」「なるべく短い時間で成果を出し」「なるべく違う条件の人を揃えた」、そういう組織が成功する。日本はすでに1990年代後半から、世界で一番早く「人口オーナス期」に入っている。

 本書ではコンパクトに収まっている説明を、長々としてきたけれど、この前提がないと「働き方改革」が矮小化して捉えられてしまう。つまり「労働時間の短縮」だけを取り出して、「家に早く帰って家族団らん」という、「個人のライフクォリティの向上」という「個人の問題」に落とし込んでしまう。そうではなくて「働き方改革」は、企業・組織の生き残り、ひいてはこの国の行く末を左右する問題なのだ。

 「そんなこと言っても、うちの会社はそんな余裕ないよ」という人は多いだろう。そういう人にこそ本書を読んでもらいたい。「愛知県警察」とか「あずさ監査法人」とか「内閣府」とか「静岡県の小中学校」とか、「さすがにムリでしょ」と納得してしまいそうなところで、キチンと成果が上がっている。警察の捜査部門でもできた「残業の大幅削減」と「事業(事件捜査)評価の向上」の両立が、あなたの会社でできない理由は何?ということだ。

 最後に。「働き方改革」で成果が出た会社で、誰が一番喜んでいるか?早く家に帰れるようになった従業員ではなく経営者だ。そりゃそうだ。従業員は自信を得て生き生きしているし、業績は伸びるし、特に中小企業で顕著なのは、入社の応募がグンと増えて優秀な人材が採用できるようになったのだから。

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