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2018年9月 2日 (日)

MAZE(メイズ)<新装版>

著  者:恩田陸
出版社:双葉社
出版日:2015年4月19日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 以前、著者の「ブラック・ベルベット」という作品を読んだ時に、帯を見て「失敗したかな?」と思った。その本が「神原恵弥シリーズ」の第3弾だと分かったからだ。本書がそのシリーズ第1弾。

 主人公は時枝満。年齢は40前。年季の入ったフリーター。アメリカの製薬会社に勤める神原恵弥の高校での級友。満は恵弥に誘われて今回のプロジェクトに参加した。「仕事の内容は漏らさない」「詮索しない」「文句も言わない」とういう条件で、法外な報酬を提示された。これはヤバイ仕事なんじゃないの?

 そして、中東の荒野に連れてこられた。そこには人工物なのか自然の造形によるものなのか分からない、白い直方体の建物があった。「存在しない場所」と名付けられたその場所では、「入った人が消失した」という言い伝えや記録が多く残っている。数百年にわたって少なく見積もっても300人。やっぱりヤバイ仕事に違いない。

 プロジェクトのメンバーは、満と恵弥の他に二人。おそらく米兵のスコットと、この土地の民族らしいセリム。建物に入った人がすべて消失するわけではなく、満は恵弥からその「人間消失の法則性」を発見するように要請される。他の二人には別の目的があるのだろう。いや恵弥にも満に隠していることがありそうだ。

 物語は、主に満の視点で、この4人の行動と会話を描く。それぞれのメンバーの目的や役割が隠されているので、行動や会話には、表面とは別の意味がある(のかもしれないし、ないのかもしれない)。読者が勝手に憶測するように仕向けているわけで、著者のうまいところだ。

 もうひとつ。本書のジャンルについて。「人間消失」を事実として受け入れるところから物語は始まっている。とするとこれはホラーなのか?それともファンタジーか?謎が多く、徐々に事実が明らかになるのはミステリーのようだけれど..と、捉えどころがない。でも最後には「そういうことだったのか!」と思える(たぶん)。

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