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2018年8月12日 (日)

あつあつを召し上がれ

著  者:小川糸
出版社:新潮社
出版日:2014年5月1日 発行 2016年5月25日 4刷
評  価:☆☆☆(説明)

 「食堂かたつむり」「ツバキ文具店」で、ちょっと疲れたり傷ついたりした心を、優しく労わるような物語を描いてきた著者の短編集。共通するテーマは「料理」。様々なシチュエーションで「料理」がキーになる物語7編を収録。

 ホームに入居した祖母に食べさせる「かき氷」。恋人に案内された中華料理屋で食べる「ぶたばら飯」。10年以上一緒に暮らした人との別れの朝に食べる「松茸」。嫁ぐ日の朝に父に出す「おみそ汁」。思い出のパーラーで大事な人と食べる「ハートコロリット(コロッケ)」。パリのレストランで愛人と食べる晩餐。亡くなった父を偲んで母と作る「きりたんぽ」。

 こうやって、それぞれ短く書き出しただけでも、その料理に何か意味や想いが込められているのを想像してしまう。どんな時に誰と食べるのか?料理にとって、それがとても大事なことだ。一番心に残った1編だけを紹介する。

 それは最後の1編の「季節はずれのきりたんぽ」。主人公の由里は、母から父の四十九日に家で食事を一緒に、と誘われた。メニューは「きりたんぽ」。父の故郷の秋田の料理。大好物だけれど、その味や作り方にはとてもうるさかった。

 その日は、父が好きだった味付けのきりたんぽを、父の思い出話をしながら母娘の2人で作って食べる...。ところが..泣き笑い。そして開放感。母娘にはこういう関係があるのだなぁ、と思った。母が亡くなって残された父と息子にはこんなことは起きない。

 最後に。7編の多くは、冒頭にあげた作品のような「優しく労わるような」物語だけれど、ちょいちょいと違った手触りの物語が混じっている。安心して読んでいると不意打ちをくらうのでご注意を。

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