« 最後はなぜかうまくいくイタリア人 | トップページ | 烏百花 蛍の章 »

2018年7月22日 (日)

この庭に 黒いミンクの話

著  者:梨木香歩
出版社:理論社
出版日:2006年12月 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 梨木香歩さんの挿絵の多い中編、または文章の多い絵本。

 表紙は雪深い庭の風景、本扉の裏の見開きには針葉樹の山の麓の街、その裏のページはカーテンを閉めた部屋が描かれている。部屋の時計は12時10分過ぎ。カーテンのすき間から光が漏れているから昼間だろう。そう、お昼なのにカーテンは閉められている。

 文字による描写の前に、絵によって物語が始まっている。閉ざされた空間、あまり健康とは言えない主人公。そんな予感。

 予感は的中で、主人公は寝起きで、カーテンのすき間から漏れる光が「心に刺さる」という。そしてこの家に来ての数日、ほとんど外に出ていない。寝室ではなくソファベッドで寝起きしている。日本酒、ウォッカ、コニャック、ポートワイン...部屋には酒瓶が転がっている。

 そんな調子だからか、缶詰のサーディンが泳ぎだしたりして、夢とも現とも分からない(いや、どう考えても夢か)物語へと続く。そこに少女がやってきて、一緒に逃げたミンクを探すことに。他人との関りが、主人公を現実につなぎ留めるかと思ったら...。

 静かにイマジネーションが喚起されるような物語。自由奔放なイメージが展開する中で、現在と過去も行き来しているようだ。実は本書は著者の名作「からくりからくさ」に連なるお話。主人公の名前はミケル。私は読んでいないのだけれど文庫版(私が読んだのは単行本)の「からくりからくさ」に、「ミケルの庭」という物語が収録されている。本書と併せて読みたい。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「この庭に 黒いミンクの話」 固定URL | 2.小説, 25.梨木香歩

« 最後はなぜかうまくいくイタリア人 | トップページ | 烏百花 蛍の章 »

2.小説」カテゴリの記事

25.梨木香歩」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/67041652

この記事へのトラックバック一覧です: この庭に 黒いミンクの話:

« 最後はなぜかうまくいくイタリア人 | トップページ | 烏百花 蛍の章 »