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2018年1月31日 (水)

盤上の向日葵

著  者:柚月裕子
出版社:中央公論新社
出版日:2017年8月25日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

  本屋大賞ノミネート作品。著者の作品を読むのは初めて。浅学寡聞のためお名前も知らなかったけれど、「臨床真理」という作品で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューした後、いくつかの賞を受賞され「ミステリーの旗手」と紹介されることもあるようだ。

 主人公は佐野直也。30過ぎの埼玉県警大宮北署地域課の刑事。大宮の北にある山中で発見された、死体遺棄事件の捜査に携わっている。事件の手掛かりは、一緒に埋められていた将棋の駒。名工の手になるもので、鑑定の結果600万円の価値があるものと判明した。

 物語にはもう一人重要な人物がいる。棋士の上条桂介六段。東大卒、外資系企業を経てITベンチャーを立ち上げ成功、突如として棋士の道に転身し、奨励会を経ない異例の経歴のプロ棋士となった。佐野たちが駒の所有者の線を追いかけるうちに捜査線上に浮上する。

 物語は、佐野たちの捜査を描く現在と、上条の生い立ちを追う過去の、2つのパートを概ね交互に積み重ねていく。現在のパートは徐々に捜査範囲が絞りこまれ、過去のパートは加速度的に時代が進む。いわば平面的と時間的の双方からクライマックスに迫る。緊迫感が増す。

 ミステリーのネタを明かすわけにはいかないので、詳しくは描かないけれど、本書には業の深いドラマが、深く刻み込まれている。勝負事の狂気の淵を覗いているような怖さもある。

 最後に。何度も対局の場面が描かれて、例えば「9一角」といった棋譜の表し方で駒の動きが説明される。それをキチンを追いかけられる人にだけ分かる面白さもあるのかもしれないけれど、さっぱり分からなくても大丈夫。

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