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2017年5月18日 (木)

失敗の本質 日本軍の組織論的研究

著  者:戸部良一、鎌田伸一、野中郁次郎ほか
出版社:中央公論新社
出版日:1991年8月10日 初版 2015年5月20日 53刷 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 本書は1984年の発行の後30年あまりの間に、何度か注目をされてきた。例えば東日本大震災の後の政府の対応や、それ以前の危機管理の問題点を指摘する際に、多く言及されたという。何か大きな「失敗」や「危機」を感じた時に立ち返って紐解く、そんな本らしい。

 副題に「日本軍の組織論的研究」とある。本書は大東亜戦争時の日本軍の戦い方(特に失敗した戦い方)を、組織論の観点から研究したもの。その研究成果を、現代の日本の組織への教訓として活用することを目的としている。

 第三章まであるうちの第一章は、具体的な作戦を紹介、分析している。取り上げられた作戦は「ノモンハン事件」「ミッドウェー作戦」「ガダルカナル作戦」「インパール作戦」「レイテ海戦」「沖縄戦」の6つ。

 本書のキモはこの後で、第二章で6つの事例から共通する要素を取り出して、第三章でさらに理論的な考察を深めている。例えば「あいまいな戦略目的」「主観的で帰納的な戦略策定」「属人的な組織の統合」「プロセスや動機を重視した評価」などの項目が上がっている。

 正直に言って読むのに忍耐を強いられた。特に第一章がつらい。要約や妥協をすることなく作戦を詳細に記してあり、膨大な情報量に圧倒されて一読しただけでは頭に入らない。この章はケーススタディのケースにあたる部分なので、短く要約してしまうわけにはいかないのも分かるけれど、それにしても細かい。

 最後に。本書が、著者たちの英知の結晶で大変な労作だということはよくわかる。ただ、第二章と三章で抽出された項目は、「戦略・目的はあいまいではいけませんね」といった、ごくありふれたものばかりだと思う。

 それでもなお本書が「名著」と言われるに値するのは、「大東亜戦争時の日本軍の戦い方の研究」という大仕掛けによるところが大きい。いきなり「戦略・目的は明確に」と言われてもありがたくもなんともないからだ。これってつまり「プロセスや動機を重視した評価」ってこと?というのはひねくれ過ぎか。

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