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2017年2月15日 (水)

復刻新装版 憲法と君たち

著  者:佐藤功
出版社:時事通信社
出版日:2016年10月20日 初版 11月17日 第6刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本書は1955年に書かれたものを復刻した「復刻新装版」だ。著者は、その時の内閣法制局の依頼によって、日本国憲法の制定に深く関わった憲法学者。その著者が、小中学生に向けて書いた「憲法の本」だ。

 1955年というのは敗戦から10年、日本国憲法の施行から8年、という時。新しい憲法がようやく社会に浸透してきたころだ。しかしその時に既に、復古主義の改憲派と、新憲法の理念を尊重する護憲派が、激しく対立していたという。今、本書を復刻しようと考えた人がいる理由がここにあると思う。

 著者自身の説明によると本書に書いてある内容は「憲法とはどういうものだろう」「それはどいういうふうに発達してきたのだろう」「日本の今の憲法はどういうことを定めているのだろう」「なぜわたしたちは憲法を大事に守らなければならないのだろう」という4つのこと。

 これは実に貴重な本だと思う。ただし正直に言って面白い本ではない。子ども向けに平易な言葉で書かれているけれど、誰でもが読める本でもない。日本国憲法の話が出てくるのは、本書を半分以上も過ぎたあたりで、ここまで読むには集中力が必要だし、そのためには憲法に対する興味も必要だろう。

 それでも私が本書を「実に貴重」だと思うのは、2つの理由による。一つ目は、本書が私たちに大事なことを教えてくれるからだ。それは特に上に書いた4つの内容のうちの最後、「なぜわたしたちは憲法を大事に守らなければならないのだろう」ということ。

 このことは、もしかしたら今、憲法を擁護している人でさえ忘れているかもしれない。簡単に要約はできないけれど、敢えて言うと「人類にとっての価値あることだから」ということになる。それは「理解する」というより「感じる」必要がある。そのためには、先ほど「ここまで読むには集中力が必要」と、まるでムダで退屈な部分のように言った、本書の前半の部分が必要不可欠なのだ。

 もうひとつの理由。本書は、日本国憲法制定に立ち会った人の証言だからだ。上には「深く関わった」と簡単に書いたけれど、著者は、GHQ草案を日本に合うようにした憲法草案作りに尽力し、憲法改正担当大臣の秘書官を務めている。その人が、その時の子どもたち(私の両親の世代だ)に伝えようとしたことだ。それは世代を経て私たちに伝えようとしたことでもある。聞く価値があるはずだ。

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