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2017年1月 5日 (木)

人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊

著  者:井上智洋
出版社:文藝春秋
出版日:2016年7月20日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 今年は「AI(人工知能)」についての理解を深めようと思った。何冊か見つけた本の中から本書を選んで、今年最初の1冊にした。

 2年ほど前から「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉を聞くようになった。このまま技術が進歩すると、1台のコンピュータの計算速度が、全人類の脳全てに比肩する時が来る。そうなるとAIが人間の知性を凌駕する。その時点のことを「シンギュラリティ」と呼び、おおむね2045年と予測されている。

 この「シンギュラリティ」を迎えると、社会の様々なことに大きな影響を与えるとされている。そのとき何が起きるのか?本書はそのうちの経済成長や雇用への影響についてを記す。著者はマクロ経済学者であるが、学生時代に計算機科学を専攻して人工知能に関連するゼミに属していた、という経歴の持ち主。このテーマにピッタリだ。

 本書は、第1章で「機械の叛乱の懸念」といった「機械VS.人間」の最近の話題から入って、第2章で、著者なりのAIについての今後の見通しを語る。続く第3章4章で、経済への影響について詳述する。このあたりで「なくなる仕事、残る仕事」が話題になり、2045年には「全人口の1割ほどしか労働しない」、言い換えると「人口の1割分の仕事しかない」社会が予想される。
 
 悲観的な予想に思うかもしれない。かつて「機械やコンピュータの導入が、仕事を奪う」と言われた。しかし、部分的には機械に代替されて失業があっても、全体的には市場が拡大し、新しい仕事が生み出されて、大きな問題にならなかった。「今回もそうなのではないか?」。しかし、著者はとても丁寧な説明によって、この考えが楽観的に過ぎると教えてくれる。

 ただし悲観にくれるのは早い。著者は、多くの人が失業して貧しくなるディストピアか、全ての人々が豊かさを享受できる社会か、私たちはまだ選べる、と言っている。第5章で、後者の選択の方法として「ベーシックインカム(BI)」を、著者は提言している。

 実はBIのことは帯にも「はじめに」にも書いてある。私は、BIについて最初はとても懐疑的だったのだけれど、読み終わってみると「これしかないんじゃないか」と、思うようになった。

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