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2016年12月21日 (水)

ヒポクラテスの憂鬱

著  者:中山七里
出版社:祥伝社
出版日:2016年9月20日 初版第1刷 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 図書館の書棚で見かけて面白そうに思ったので手に取ってみた。読み始めてしばらくして、本書にはこれに先立つ物語があるらしいことが分かった。調べて分かったが「ヒポクラテスの誓い」というのがそれ。本書はそのシリーズ続編にあたる。

 舞台は浦和医大法医学教室。埼玉県警と連携して、埼玉県の異状死体の司法解剖を一手に引き受けている。主人公は、この春からこの法医学教室の助教として登録された、栂野真琴。その前は研修医だったらしく。年齢は20代。

 本書は、その法医学教室に持ち込まれた死体に関わる、1章に1つ全部で6つの事件の解決を横糸に、「コレクター」を名乗る謎の人物の追跡を縦糸にしたミステリー。それぞれの事件の方は、読者が推理するのは難しいが、「コレクター」の正体を追うことはできる。

 異状死体はいわゆる変死体とは違う。厳密な定義は置いて、大まかには死因が明らかではない死体のすべてを指す。司法解剖は、犯罪性の有無を確認する意味も含めて、死因を突き止める有効な手段になっている。

 そんなわけで、真琴の居る法医学教室には、警察からの要請で死体が運び込まれてくる。本書で描かれるのは、検視官によって一旦は「事件性なし」とされたものの、解剖によって新事実が判明した、と言うケース。「生きている人はウソをつくが、死体はウソをつかない」

 死体と解剖のシーンがたくさんあるので、ヘビーな空気を醸し出す。そこを救うのが、「事件解決」へ向かっているという期待感と、登場人物たちのちょっと突き抜けた感のあるキャラクターだ。

 法医学教室の教授は法医学の権威で,、その技術と洞察力は目を瞠るものがある。ただし度が過ぎた偏屈。准教授のキャシーは死体のことを語るときには目をキラキラさせる。「不謹慎」にならないギリギリの「軽さ」が、空気の重さをのバランスを取っている。

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