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2016年6月 9日 (木)

著  者:東山彰良
出版社:講談社
出版日:2015年5月12日 第1刷 7月9日 第4刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 2015年上半期の直木賞受賞作品。舞台となる台北の街は著者自身の出身地。主人公は著者より一回り上の世代の設定だけれど、抗日戦士だった祖父のことなど、自伝的な要素が強い作品と思われる。

 主人公は葉秋生(イエチョウシェン)。物語の始まりの時の1975年には、台北の街に住む高校生で17歳だった。布屋を営む祖父のもと、祖母、父母、叔父、叔母と大家族で住む。国民党の戦士だった祖父は、幾度も死線をくぐり生き延びた「不死身の男」だった。その祖父が、自身の店の中で殺される。

 物語は、秋生の日常を切り取りながら、その後の10年ほどを描く。喧嘩、悪友との友情、ヤクザとの抗争、軍隊生活、幼馴染との恋、別離、新しい恋。こうしたことを物語の横糸に、祖父の過去と死にまつわる謎が縦糸になっている。

 面白かった。40年前の台北はエネルギーに溢れている。時にそれは暴走気味になって、読んでいるだけで息が浅くなる。随所に出てくる狐火などの「超常現象」も含めて、何が起こっても不思議じゃない勢いが、緩むことなく最後まで続く。

 読み始めは台湾の人の名前が読みづらいけれど、すぐに慣れる。時間的には一世代前に起きた、日中戦争とそれに続く国共内戦が背景にあるので、少しでもその知識がある方がいいかもしれない。ただ、そんなことは気にせずに読んでも構わないけれど。

 ひとつ思ったこと。本書の前の直木賞受賞作「サラバ!」と似たところがある。それは人の半生(というには本書は少し短いけれど)を追ったドラマであること。長い時間軸で展開する物語には、それに対応した構想力や筆力が必要だろう。そうした作品が続けて評価されたのには、何か理由があるのかもしれない。ないのかもしれない。

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