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2016年5月 5日 (木)

サブマリン

著  者:伊坂幸太郎
出版社:祥伝社
出版日:2016年3月30日 第1刷 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 伊坂幸太郎さんの最新刊。書き下ろし長編で、あの「チルドレン」の続編で、「陣内さん、出番ですよ。」と書いた帯が付いている。これは伊坂ファンならばすぐにでも読みたいだろうと思う。

 陣内は、数多い伊坂作品の魅力的なキャラクターの中でも、人気がある登場人物で、「チルドレン」以来12年間登場していない(たぶん。作品間リンクでの言及はあったけれど)。つまり待望の再登場だからだ。

 「チルドレン」は、陣内の学生時代と家裁の調査官になってからの、2つの時代を交互に描いた短編集だった。本書は長編で、家裁の調査官で主任になった陣内を、陣内さんの部下となった武藤を主人公にして描く。時代は「チルドレン」の「家裁の調査官パート」から、数年後ぐらい。

 陣内のことがよく分かるエピソードが「チルドレン」にある。永瀬という盲目の友人が、盲目というだけで憐れまれて現金を手渡された。その過剰な同情は、永瀬はじめ友人たちの心に影を落とす。陣内も怒った。「何で、おまえがもらえて、俺がもらえないんだよ」「(目が見えないことなど)そんなの関係ねえだろ」

 その魅力は健在だった。「空気を読まない」から誰かを傷つけてしまうかもしれない。でも、その固定観念に縛られない感性は、時に「本当に大事なモノ」をしっかりと捉える。陣内のところに、かつて担当した少年たちがなぜか顔を出すのは、やはり何か救われた思いがあるからだろう。

 だから面白かった。ただ、本書は重いテーマを抱えている、ということも指摘しておく。サンデル先生の「これからの「正義」の話をしよう」に重なる、「正義」に関するもので、容易には答えが出ない。そのために、荷物を持ったまま物語を読むような気の重さを感じてしまった。

 最後に。鴨居くんはどうしたのだろう?

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