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2016年2月14日 (日)

幻影の時代 マスコミが製造する事実

著  者:D・J・ブーアスティン 訳 星野郁美 後藤和彦
出版社:東京創元社
出版日:1964年10月1日 初版 1991年1月30日 30版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本書が米国で出版されたのは1962年、日本語版は1964年。50年以上前の本を読もうと思ったのは、SMAPの騒動がきっかけ。「そんなことあったね」という感じがするが、フジテレビの番組で「生謝罪」したのが1月18日。あれから1カ月も経っていない。猛スピードで出来事が遠ざかっていく。

 タイトルの「幻影の時代(原題はThe Image)」は、本書の主題でもある。著者は、当時の米国の社会を、実体よりもイメージ(本書では訳者の考えによって「イメジ」と表記されている)を優先させ、あるいはそれに囚われて「イメジ」を現実だと思い込んでいる、と分析している。

 その第1章のタイトルが「ニュースの取材からニュースの製造へ-疑似イベントの氾濫」。簡単に言ってしまえば、現代(50年前から、という意味だけれど)のニュースは「誰かが何かの目的を以て作ったもの」だということ。

 記者は「取材」しながらそれを「ウケるネタ」に仕立てる。ニュースになるコメント(失言とか?)を、うまく引き出すことを「上手な取材」だと思っているかもしれない。ニュースを作るのは記者だけではない。ニュースの当事者も「ニュース番組で取り上げられるために」発言したり、どこかに出かけて行ったりする。

 ニュースで衆目を集める出来事の多くは、ニュースという、大衆に伝える仕組みがなければ、そもそも起きなかった出来事なのだ。「疑似イベント」というのは、こうした「ために作られた出来事」のことを指している。

 本書はこのあと、様々なものに実体よりイメジが優先されている例を挙げる。有名人(人間的疑似イベント)、旅行(「冒険」も含めて期待したイベントの体験」、芸術(オリジナルより魅力的なコピー)、広告(..言うまでもない)、アメリカ(世界におけるアメリカの「威信」)。

 だれもが薄々は気が付いていたことかもしれない。しかし、これだけキッチリと「まやかし」を暴いている本は他にないだろう。私が読んだ版は、小さな字の二段組みで、決して読みやすい本ではないので、おススメはしにくいのだけれど、少しずつでも...と思う。

 SMAPの騒動がどうしてこんなに大事になるのか?私が感じた違和感は、本書を読んでほとんど解けた。「大事にしたい」。たくさんの関係者がそう思ったからそうなった。単純なことだった。

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コメント

これ かなり興味あります。
マスコミの操作で 大衆があやつられる。
そのマスコミを操作している さらに大きな力。
SMAPの次は 清原。
いつも 国の一大事の時に こういうものをぶつけて
目くらましされてしまう。
最近はニュース 見なくなってしまった。
まずは 一般大衆の私から 意識変えます

投稿: なかむらさいこ | 2016年2月23日 (火) 08時12分

なかむらさいこさん、コメントありがとうございます。

イメージを現実だと思い込んでいたら、簡単に操作されて
しまいますね。怖いことです。
悩ましいのは、それでも私たちはマスコミを通してしか
知りえないことが多いことです。なんとか健全な報道を
取り戻してもらわないと..

投稿: YO-SHI | 2016年2月24日 (水) 14時22分

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