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2016年1月 9日 (土)

やなりいなり

著  者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2013年12月1日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「しゃばけ」  シリーズの第10作。「こいしくて」「やなりいなり」「からかみなり」「長崎屋のたまご」「あましょう」の5編の短編を収録した短編集。文庫版には著者と料理家の福田浩さんの対談が巻末に付いている。

 これまで通り、江戸の大店の跡取り息子で、極端に病弱な一太郎の周りで起きる騒動を描く。一太郎の周りには数多くの妖たちが居て、ここまでシリーズが進んで、馴染のメンバーが定着しているのだけれど、本書では新たに「人ならぬ者」が多く登場するのは一つの特徴。

 「こいしくて」では、あらゆる災いを支配する「禍津日神(まがつひのかみ)」、恐ろしい流行り病の神である「疱瘡神」とか、あまりありがたくない神様たちが揃って一太郎の元を訪れる。「やなりいなり」では幽霊、「からかみなり」では雷をまき散らす「雷獣」、「長崎屋のたまご」では逢魔時に生まれた「魔」。それから布袋さまや大黒さままで。

 この「人ならぬ者」たちが妙に「人間っぽい」ことが面白い。恋したり、冷やかしたり、心配したり、さぼったり、兄弟げんかをしたり。災いをもたらす神々だって、自分の役割を果たしているだけで、悪人じゃないのだ。

 本書にはもう一つ特徴があって、それは各短編の序章に料理のレシピが載っていることだ。その料理が物語の中に登場する、という趣向。例えば表題作のタイトルの「やなりいなり」は、その料理の名前で、物語の中でさかんに食べられる。巻末の料理家の方との対談もその流れ。

 前作「ゆんでめて」も大仕掛けがある作品だった。その「解説」に続巻(つまり本書)を「括目して待て」と書いてあったのは、この「レシピ」のことだったか。これまでにも何度か言ってるけれど、このシリーズはいつも何かしら新しい趣向が楽しめる。そこも魅力になっている。

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» やなりいなり [こんな世界だからこそ本音を]
やなりいなり 畠中 恵 偶然みかけた美しい娘に、いつになく心をときめかせる若だんな。近頃通町では、恋の病が流行しているらしい。異変はそれだけに止まらず、禍をもたらす神々が連日長崎屋を訪れるようになって……。恋をめぐる不思議な騒動のほか、藤兵衛旦那の行方不明事件など、五つの物語を収録。妖たちが大好きな食べものの“れしぴ”も付いて、美味しく愉快な「しゃばけ」シリーズ第10作! ...... [続きを読む]

受信: 2016年1月18日 (月) 22時12分

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