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2015年12月13日 (日)

剣と紅

著  者:高殿円
出版社:文藝春秋
出版日:2012年11月10日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 来月から始まる大河ドラマ「真田丸」関連の出版が相次いで、おおきな盛り上がりを感じる。そんな中でへそ曲がりにも、再来年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」の関連本を探してみた。本書は「おんな城主 直虎」の主人公である井伊直虎の物語。

 主人公の名前は香(かぐ)、後の直虎。彼女は、遠州を領地とする井伊家の当主である直盛の一人娘。時代は戦国時代の前期、今川、武田、徳川といった大勢力が健在で、まだ天下の状勢が定まっていないころ。

 もう少し解説すると、香は徳川四天王と呼ばれた家康の側近の一人、井伊直政の養母(血縁で言うと祖父の兄弟の孫)にあたる。本書は、直政が家康に、自らの家の一世代前の物語を話して聞かせる、という形式になっている。

 面白かった。戦国時代の女性を主人公にすると、事件は遠くで起きることが多い。本書でも、一族の男たちが戦や謀略で「殺された」という知らせだけが香に届く。そのために比較的淡泊に物語が進むのだけれど、読み進めるうちに、本書には「女の戦」が描き込まれていることに、気が付く。

 タイトルの「剣と紅」の紅は「べに」、女性の化粧道具。剣は刀。帯に「紅はいらぬ。剣をもて。」と書かれている。直虎という字面と相まって、男勝りの女偉丈夫をイメージするセリフ。

 しかしそう思って読むと、そのイメージの安直さを思い知らされることになる。この「剣」と「紅」はいくつもの含意を持って、この物語を支えている。大河ドラマは本書を原作としていないけれど、主演の柴咲コウさんと本書の香とが重なって見えた。

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