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2015年10月 1日 (木)

天空の蜂

著  者:東野圭吾
出版社:講談社
出版日:1998年11月15日 第1刷 2015年7月21日 第68刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 20年前に刊行された本書を原作とした、同名の映画がロードショー中。9月12日の公開前後にはCMも流れていたのでご覧になった方もいるだろう。

 時代は刊行時と同時代、つまり今から20年前。その日、防衛庁に納められる予定だった、胴体長33.7mという超大型ヘリコプター、通称「ビッグB」が何者かに盗まれる。遠隔操作という前代未聞の方法で。「ビッグB」は、敦賀半島北端にある原子力発電所に飛来し、原子炉の真上で停止する。

 犯人からの要求はシンプルだが、政府に重大な決断を迫るものだった。「稼働中、点検中の原発をすべて使用不能にすること。建設中の原発は、すべて建設を中止すること」。その要求が受け入れられない場合は「ビッグB」を原子炉に墜落させる..。

 本書は文庫本で600ページ超もある長編だけれど、ここまでわずか50ページあまり。このスピード感のまま、「ビッグB」の設計者、原発の関係者、犯人を追う警察官、そして事件の犯人その人など、多くの登場人物のストーリーを並行して描く。息をつく間もない、とはこのことだ。

 本書が投げかけるテーマは重い。福島の原発事故を予見するかのようなストーリーに寒気を覚える。犯人の最後のメッセージは私たちへの警告だ。思えば私たちは何度か警告を受け取っているのに、それを生かせていないのではないか?

 本書を多くの人に読んでもらいたい。映画も観てもらいたい。

 映画「天空の蜂」公式サイト

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コメント

オススメされてて 買ってから なかなか手が伸びず
ようやく読了。
犯人の意図はなんだろう?と ぐんぐん読み進みました。
原発がなくては 電力供給が出来ないと思い込まされる私(達)
なのに そこで働く危険労働従事者に思いを馳せることなく感謝のかの字もない私(達)
平安末期に 北面の武士に警護させながら ケガレ仕事は他人にさせて 栄華な暮らしをした貴族と重なる現代日本の私(達)
何年か前から
高速道路を走る時にはこれを作ってくれて日々手入れしてくれていることに感謝だな〜とか
電車に乗っても ゴミ収集してくれることにも
感謝だなぁって 思ってますが…
せめて できるのは 快適な暮らしを支えてもらっているんだという意識 を
常に忘れないことなのでしょうか。
人は 人に認められることで 頑張れるって何かで読んだり聞いたりしたけど。
それくらいしか出来ないけど それが大事なのかと
考えさせられました。

この本が 20年前に書かれたんですね。
阪神大震災 オウム事件の頃ですね。
読後 しばし 唸りましたわ

投稿: なかむらさいこ | 2016年2月23日 (火) 08時27分

なかむらさいこさん、コメントありがとうございます。

深く読み込まれましたね。私はここまで色々なことに思い至り
ませんでした。
誰かがそれをやってくれないと、私たちには何も手に入らない
そういう感覚は持ち続けたいと思います。

福島第一原発では、現在1日に約7000人の作業員の方が
従事しているそうです。それだけの人数をもってしても汚染水
のコントロールは難しいようです。

記事にも書きましたが、何度も警告を受け取っているのに、
原発の再稼働が既定路線になってしまって。怖いです。

投稿: YO-SHI | 2016年2月24日 (水) 14時49分

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