« 高校生にも読んでほしい安全保障の授業 | トップページ | 真田丸と真田一族99の謎 »

2015年10月10日 (土)

職業としての小説家

著  者:村上春樹
出版社:スイッチ・パブリッシング
出版日:2015年9月17日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 村上春樹さんは、日本では講演やスピーチをする機会がほとんどない、もちろんテレビ番組にも出られない。つまり「あまり人前に出ない作家」という位置付けかと思う。しかし、雑誌「考える人」のロングインタビューや「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」など、インタビューに応える形では、ご自分の仕事や考えについてかなり深くお話になっている。

 そして本書は、そうしたこと(つまりご自分の仕事や考え)について、「まとめて何かを語っておきたい」という気持ちから、仕事の合間に書き溜めた文章に推敲を重ねたものだそうだ。全部で12章あるうちの前半の6章は、翻訳者であり著者と親交もある柴田元幸さんが立ち上げた雑誌「Monkey」に掲載されたもの。

 小説を書く方法論を書いた「第五回 さて、何を書けばいいのか?」や、学校や教育システムについて書いた「第八回 学校について」は、著者の仕事や考えについて多くのことが語られている。「第四回 オリジナリティーについて」は、五輪のエンブレム問題を受けて、タイムリーに一つの視座を提供してくれる。

 タイムリーと言えば「今年もノーベル賞を逃した」今、「第三回 文学賞について」がまさにそうだ。ご自身のことについては「芥川賞」を例にしてお話しになっているけれど、レイモンド・チャンドラーの言葉を引いて、ノーベル賞にも触れている。マスコミは、勝手に候補にして勝手に落選させるのは、いい加減やめた方がいい。

 私が一番「そうだったのか!」と思ったのは、「第二回 小説家になった頃」。著者がご自分が経営するジャズ喫茶のキッチン・テーブルで、デビュー作の「風の歌を聴け」を書いたことは、これまでにも何度も語られていて公知のことだ。

 しかし、あの文体がどうやって生まれたのかは、本書のこの章をを読むまで、寡聞にして知らなかった(これが「初公開」というわけではないようだけれど)。そうだったのか!。(「やめた方がいい」と言ったばかりだけれど)ノーベル賞候補への道は、35年前のこの時から始まっていたんじゃないかと思う。

 この章を読んで、もう一つだけ。「奥さまあっての村上春樹さん」なのだなぁと思った。

 人気ブログランキング投票「あなたの一番好きな村上春樹の長編小説は? 」
 (結果だけみることも、自分の好きな作品を投票することもできます。)
 にほんブログ村「村上春樹あれこれ」ブログコミュニティへ
 (村上春樹さんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「職業としての小説家」 固定URL | 21.村上春樹, 4.エッセイ

« 高校生にも読んでほしい安全保障の授業 | トップページ | 真田丸と真田一族99の謎 »

21.村上春樹」カテゴリの記事

4.エッセイ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/62460941

この記事へのトラックバック一覧です: 職業としての小説家:

» 「職業としての小説家」村上春樹 [粋な提案]
いま、世界が渇望する稀有な作家── 村上春樹が考える、すべてのテーマが、ここにある。 自伝的なエピソードも豊かに、待望の長編エッセイが、遂に発刊! 目次 第一回 小説家は寛容な人種なのか 第二回 小説家になった頃 第三回 文学賞について 第四回 オリジナリティーについて 第五回 さて、何を書けばいいのか? 第六回 時間を味方につける...... [続きを読む]

受信: 2015年12月 7日 (月) 11時37分

« 高校生にも読んでほしい安全保障の授業 | トップページ | 真田丸と真田一族99の謎 »