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2015年5月24日 (日)

つむじ風食堂の夜

著  者:吉田篤弘
出版社:筑摩書房
出版日:2005年11月10日 第1刷 2015年4月5日 第23刷 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 Village Vanguardで見かけて買った。別の面白そうな本に付いていた店員さんのPOPがきっかけ。そこには「吉田篤弘とか好きな方はきっと好きなんじゃないかと思います」と書いてあった。それで、その本のそばに置いてあった本書を購入。

 主人公は「雨降りの先生」。人が「任意に雨を降らせたい」と願う思いを、文献を辿りながらまとめる、という研究をしている。普段は、雑誌などに(雨降りとはおよそ関係のない)記事を書いて糊口を凌いでいる。

 先生が都会の喧騒を逃れて来たのが、この物語の舞台の月舟町。ささやかな商店街があり、そのはずれの十字路に食堂がある。十字路にはあちこちから風が吹いてつむじ風を作る。だから通称「つむじ風食堂」

 物語は、夜な夜な「つむじ風食堂」に集う人々を中心に描く。雨降り先生、帽子屋、果物屋、古道具屋、舞台女優の奈々津さん。奈々津さんは先生と同じアパートに住んでいる。

 時間の流れが少しだけゆっくり感じられる。商店街だから商売をしている人が多いのだけれど、儲かっているようには思えない。それで焦るでも困るでもなく暮らしている。

 街の人々の、お互いにそっと触れ合うような微妙な親密さが心地いい。食堂へ出かける先生が通りがかれば「こんばんは先生。これから御飯ですか?」と声がかかる。少しだけ話をする。そんな感じ。

 私は、果物屋の主人が好きだ。オレンジに反射する淡い明かりで本を読む彼。「果物屋一軒でもやっていれば、少しは明るくて安心でしょう」といって、夜遅くまで店を開けている彼。

 けっこう洒落た文章が散りばめられている。一つだけ紹介する。「夜とは、すなわち宇宙のことなのである」。

 この本、結構好きな部類なので、あのPOPが付いていた本も読んでみようと思う。

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