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2014年12月 7日 (日)

破門

著  者:黒川博行
出版社:角川書店
出版日:2014年1月31日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 2014年度上半期の直木賞受賞作。寡聞にして著者のことを知らなかった。本書は「疫病神」シリーズと呼ばれるシリーズの第5作であるらしい。

 主人公は二宮。「二宮企画」という建設コンサルタント会社を営む39歳。建設コンサルタントの業務は、建設に関わる計画や設計、調査などだけれど、「二宮企画」のはちょっと違うらしい。建設現場に暴力団の妨害が入らないように話をつける仲介で、主な収入を得ている。

 二宮自身は堅気だけれど、こんな商売なのでヤクザとの関係が密接だ。それに二宮の亡くなった父親はヤクザの大幹部だった。そんなわけで、二宮のところには二蝶会の桑原というヤクザが出入りしていて、「危ない話」に二宮を巻き込む。シリーズ名の「疫病神」は桑原のことだろう。

 今回の「危ない話」は映画製作への出資話。日本と韓国が舞台のスパイ映画の製作に、二蝶会の若頭と桑原が出資する。昔、桑原と一緒に北朝鮮に渡ったことがある二宮も協力しろ、というわけだ。シナリオライターに会って質問に答える、それぐらいの協力だったはずが、「疫病神」の桑原に引き回されてヤクザの抗争にはまり込んでしまう...

 面白かった。直木賞という「大衆小説作品に与えられる文学賞」にふさわしい。ヤクザの抗争を描いているので、殴り合いもあるし血も流れる。それでも重苦しくならず、どこか軽快な感じがするのは、桑原の人物造形によると思う。

 桑原は、どうしょうもない極道だ。喧嘩っぱやい「イケイケヤクザ」なのに、損得勘定に長けていて、誰にでも平気でウソをつく。周り中に迷惑をかける。堅気の二宮を引き込んで舎弟のように使う。でも、ギリギリのところで止まって一線を越えないことと、意外なほど真っ直ぐな性根が垣間見える。

 ひどい目に会い、周り中から「縁を切れ」と言われながらも、二宮がズルズルと付き合っているのは、桑原のそういうところが分かっているからかもしれない。(もちろん、桑原みたいな男が、本当に近くにいたら、こんなこと言ってられないけれど)

※2015年1月にスカパーで、北村一輝さん、浜田岳さん主演でドラマ化されるそうです。
BSスカパー「破門(疫病神シリーズ)」公式サイト

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コメント

こんにちは(´∀`)
私も初めましての作家さんでした。
しかもシリーズ途中じゃないですか。
「国境」(←妙に北朝鮮北朝鮮と言っていた話が書いてあるようです)
が読みたいーと思ってます。
最初は「二宮って巻き込まれてるなー。気の毒になー」と思っていたのですが、
この人はこの人で結構な心臓の持ち主だなと思った次第です。
いろいろと読んだみたいなーと思わせる作家さんに出会いました(´∀`)

投稿: igaiga | 2014年12月 9日 (火) 15時51分

igaigaさん、コメントありがとうございました。
お返事が遅くなって申し訳ありません。

二宮は二宮でそのへんのチンピラには負けない図太さですね。
組に所属してないから後ろ盾がないのに、よくあんなこと
できるなぁ、と思います。

投稿: YO-SHI | 2014年12月14日 (日) 23時06分

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