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2014年9月25日 (木)

奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき

著  者:ジル・ボルト・テイラー
出版社:新潮社
出版日:2009年2月25日 発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本書を読むきっかけは、TED Talkのプレゼンテーション。脳卒中によって脳の機能がひとつずつ停止していく、という恐ろしい体験を、実に興味深くそして実にユーモアたっぷりに伝えていた。そのプレゼンターの著書があると聞いて読んでみた。

 著者の職業は「脳解剖学者」。脳卒中に襲われた当時は、ハーバード医学校で、若い研究者たちに人間の脳について教えていた。このことが、本書(とTED Talkのプレゼン)を、特別に興味深いものしている。なぜならこれが、脳の専門家が脳卒中を「内側から観察した」(おそらく世界で初めての)記録だからだ。

 さらに言えば、著者が脳の専門家であることは、ユーモアの源泉にもなっている。著者が、自分が脳卒中になったことを悟った時に心に閃いた言葉が「あぁ、なんてスゴイことなの!」で、小躍りしたくなるような気持ちになった、というのだから。

 内容は、「脳卒中になる前」「症状の進行とそれに伴う混乱」「そこからの回復」「新たな発見」と、大きく4つに分かれる。特に、症状の進行と回復の部分は、本当に興味深かった。外からの観察では到底得られない知見だと思う。例えば、著者は左脳の機能だけを失い、右脳と左脳の役割を、自らのこととして体験する。もちろん右脳左脳については、すでに様々な研究がされているが「体験」した人は少ない。

 心に残った例をひとつ。著者によると私たちの感情は、まず遭遇した状況に右脳が反応する。いやな目に会えば「恐れ」や「怒り」などを感じる。しかしその反応は90秒しか持たない。それ以上継続させるのは左脳の働きなのだ。

 
 つまり「恐れ」「怒り」「憎しみ」などの負の感情も(正の感情も)、90秒を超えて持つ場合には、左脳が「これは継続する」と選択したものなのだ。脳だって自分の身体なのだから、このことを意識さえすれば、選択をコントールできる。著者はそう主張する。

 下に紹介するTED Talkだけでも見てほしい。興味が湧いたら本書の一読をおススメする。
 TED Talk Jill Bolte Taylor: My stroke of insight

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