« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »

2014年8月

2014年8月31日 (日)

明日の子供たち

著  者:有川浩
出版社:幻冬舎
出版日:2014年8月10日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 人気作家の有川浩さんの最新刊。幻冬舎創立20周年記念特別書下ろし作品、だそうだ。

 舞台は「あしたの家」という名の児童養護施設。90人の子供たちが暮らしている。主な登場人物は、新任職員の三田村慎平、3年目の和泉和江、高校2年生の谷村奏子と平田久志の4人。主人公を切り替えながら物語は進んでいく。

 90人も子どもが暮らしていれば、問題行動を起こす子もいる。しかし奏子と久志の2人は、ルールを守り、年下の子供たちの面倒をよく見て、職員や施設の運営にも協力的だ。いわゆる「問題のない子」

 もちろん「問題がない」のは、施設運営上で問題がない、言い換えれば「都合がいい」ということで、彼らが問題を抱えていないわけではない。そうでなければ児童養護施設に入所する必要なないのだから。

 物語は、たくさんの対立や苦い経験などを描き出しながら、大きなうねりを形作っていく。子供たちは大人をよく見て、それ故の反発もある。職員の間には意見の相違もある。世間の認識と実際とのズレも大きい。

 ラブストーリーあり自衛隊ありカッコいいおっさん(おばさんも!)あり。有川作品らしいところがたくさんあるのだけれど、今回はそれがメインではない。(それがまた「らしい」というヤヤこしい構造なのだけれど)

 児童養護施設に入所している子供たちは「かわいそう」、もしそう思っている人がいたら、ちょっと本書を読んでみてほしい。それが著者の希望のようだから。「図書館内乱」など著者の他の作品でも時々でも描かれるけれど、「間違った善意」は「悪意」よりもたちが悪いことがある。

 先ごろ、高校野球の選手が中学生の時に書いた作文がネットで話題になった。本書を貫くテーマと通じるものがあると思う。

 コンプリート継続中!(アンソロジー以外の書籍化された作品)
 「有川浩」カテゴリー

 にほんブログ村「有川浩」ブログコミュニティへ
 (有川浩さんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「明日の子供たち」 固定URL | 2.小説, 22.有川浩 | コメント (2) | トラックバック (1)

2014年8月27日 (水)

思い出のマーニー

著  者:ジョーン・G・ロビンソン 訳:松野正子
出版社:岩波書店
出版日:2014年5月15日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 現在公開中のスタジオジブリの映画「思い出のマーニー」の原作。映画の方は「もし評判が良ければ..」ぐらいなんだけれど、原作は読んでみようと思って手に取って見た。手元に届いて意外に思ったのは、400ページのけっこう厚い本だったこと。勝手な思い込みでだけれど、もう少し薄い本を想像していた。

 主人公はアンナという名の少女。もっと幼いころに両親を亡くし、プレストン夫妻という養父母に育てられた。物語は、喘息の転地療養のために、プレストン夫妻の古い友人であるペグ夫妻の元に、アンナが出発するシーンから始まる。

 この冒頭の短い出発のシーンに、アンナが抱えるものが暗示的に描かれている。喘息以外に「やってみようともしない」ことを大人たちが心配していること。普通の子どもたちが考えるような「友だち」とか「一緒に遊ぶ」とかいったことに興味がないこと。自分だけ「外側」にいるように感じていること...。そこには「心の問題」が垣間見える。

 ペグ夫妻の元でアンナは、行きたいところに行き、したいことをして暮らす。時に問題を起こすこともあるのだけれど、ペグ夫妻は、全面的にアンナを受け止めてくれる。そんな暮らしの中で、アンナは同じ歳ぐらいの少女マーニーと出会う。物語はこの後、アンナとマーニーの「大人たちには秘密の」面会を繰り返し描き、やがてそれも終わるときが来て...。

 マーニーの登場後に、私の頭に常にあったのは「マーニーとは誰なのか?」「そもそも実在するのか?」ということだ。もちろんマーニーはアンナと普通に話をするし、触れることもできる。しかし、その実在を危うくするようなことが、物語のそこここに潜んでいる。

 面白かった。アンナがかなり無茶な行いに及ぶので心配になってしまうが、そういった奔放さもこの物語には必要だったのだと思う。「マーニーとは誰なのか?」というミステリーの要素、子どもらしい無邪気さと少しの残酷さ、アンナの回復、そういったことが混然となって物語を引っ張っていく。

 最後に。どの版にあるのかどうか分からなけれど、私が読んだ「特装版」には河合隼雄氏による「「思い出のマーニー」を読む」という題の解説が付いていた。物語に「解説」なんて要らないという声もあるだろう。しかしこれは、物語全体に新しい光を当てる素晴らしい解説だと思う。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「思い出のマーニー」 固定URL | 1.ファンタジー | コメント (4) | トラックバック (0)

2014年8月24日 (日)

薄妃の恋 僕僕先生

著  者:仁木英之
出版社:新潮社
出版日:2008年9月20日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「僕僕先生」につづくシリーズ第2弾。主人公の王弁は、もともとは親の財産でノラクラと暮らしていたニート青年。前作では、師である僕僕先生の旅に同道して、大したことはできないけれど、他の人が真似できないことはできたりして、何となく弟子として認められた。

 今回は、それから5年後。王弁を残して神仙の世界へ行ってしまった僕僕先生が戻って来た。王弁と僕僕先生は再び旅に出る。今回は大陸を南下する。物語はその行く先々での事件→僕僕先生による王弁への「ムチャ振り」→解決、を描く。

 料理対決、豪雨に沈む街、許されざる愛、店の跡継ぎ問題、仇討ち...。とてもバラエティに富んだ事件が、2人の前に立ち現れる。もしかしたら僕僕先生の神通力を以てすれば、簡単に解決できそうな気もするが、修行の身の王弁が体当たりとも言える奮闘でことにあたる。

 前作より今回の方が楽しめた。舞台がずっと「こちら側の世界」だったからかもしれない。もちろん、こちら側の世界の事件であっても、裏には人外の者がたくさん関係している。そうした中に、親しみやすいキャラクターが登場していることも、楽しめた理由だろう。

 そのキャラクターとは、雷の子の砰(ばん)と人間の子の董虔(とうけん)、皮一枚の身体の薄妃(はくひ)さん。砰くんと董虔くんは「Fantasy Seller(ファンタジーセラー)」にも登場した。私にとってはこのシリーズの入り口になった存在。本書のタイトルでもある薄妃さんは、旅の途中で一行に加わった。この後も道ずれとなるのだろう。

 気になるキャラクターもいる。「面縛の道士」と呼ばれ、僕僕先生一行とは敵対する。この対立が今後の物語の展開の軸になるのだろうか?

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「薄妃の恋 僕僕先生」 固定URL | 1.ファンタジー, 1D.仁木英之(僕僕先生) | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月21日 (木)

絶望のテレビ報道

著  者:安倍宏行
出版社:PHP研究所
出版日:2014年7月29日 第1版第1刷
評  価:☆☆☆(説明)

 著者は昨年までフジテレビの報道の要職を歴任してきた。2002年10月から1年間滝川クリステルさんと共に「ニュースJAPAN」のキャスターを務め、その後もコメンテーターとして出演していたので「あごヒゲのキャスター」として覚えている方もいるかもしれない。

 本書は、著者の21年間のテレビマン生活を振り返り、テレビニュースの現場を数々のエピソードを交えて紹介する。その結果として「マスゴミ」と蔑まれて視聴者から見放されたかのような、テレビ報道の絶望的な状況をあぶりだしている。

 テレビ報道は即時性と映像が強みだ。しかしそれがそのまま弱みになっている。新聞の記者は、基本的に文字原稿を日に2回の締切までに仕上げればいい。しかしテレビの報道記者は、原稿を起こして、映像の撮影を指示して、編集しなければならない。場合によっては「顔出し」して話すこともある。つまり、それだけ手間も暇もかかる。そして締め切りは、ニュースの重要性によるが、基本的に「できるだけ早く」だ。

 テレビ番組は、コストと視聴率の両面から圧迫を受けている。コスト削減は上に書いた「手間暇」のかかる報道の現場を疲弊させる。そのため十分な取材が行えなくなり、それが信頼性を落とす原因になっている。視聴率を得るために、視聴者におもねってウケのいい話題を取り入れる。結果としてワイドショーと区別がなくなって、却って視聴者が離れていくという皮肉。ネットでの炎上事件は、多くはいわれのない中傷なのだけれど、ボデーブローのように効いて体力を奪う。八方塞がりで出口が見えない。

 まさに「タイトルに偽りなし」の絶望的状況。ただ私は少し違うものを期待していた。テレビ報道に深く関わった著者ならではの展望なり提言が欲しかった。なんだかんだ言っても、テレビ報道がこのまま衰退して、一番困るのは私たち視聴者(国民と言い換えてもいい)だからだ。著者もその認識はあって、かすかな希望を見出そうとするのだけれど、その試みがうまく行ったとは言えない。それは著者の責任ではなく、それだけテレビ報道を取り巻く絶望が深い、ということだけれど..残念。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「絶望のテレビ報道」 固定URL | 5.ノンフィクション | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月17日 (日)

「メシが食える大人」に育つ子どもの習慣

著  者:高濱正伸
出版社:KADOKAWA
出版日:2014年5月29日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者は「花まる学習会」という、幼児から小学生までを対象とした学習塾の代表。「メシを食える大人」「魅力的な人」を育てる、を理念としている。度々メディアで紹介されているので、ご存知の方も多いだろう。そのうちの一つを見て興味があったので、本書を手に取ってみた。

 「メシが食える」が、どういうことを指すかの説明は明確にはないけれど、「自立して生きていける」という意味でいいと思う。本書では、そのための要素を5つに分けて、それぞれをつくる習慣を4~7個紹介している。

 その5つとは「すぐに折れない心」「面白がって考える頭」「周りの人とつながる感覚」「今すぐ行動したくなる体」「人生を思いっきり楽しむ力」。どれも大人になって役に立つ、異論はない。最後の「人生を~」は、話が大きくて捉えづらいが、「魅力的な人は楽しみ上手」ということで、花まる学習会の理念のもう一つと関わりがあるらしい。

 特に「あぁそうだな」と思ったのは「面白がって考える頭」の「観察力と表現力は、日常の会話で鍛えられる」という項目。普段暮らしていて、何か変化を感じたらそれを言葉にする。それで「観察する力」「表現力」の他に、「自分の言葉で考える力」「問題意識」などを養える。前髪を切った女の子に「髪、切ったんだね」というのもアリだ。

 もちろん本書は「親(大人)が読む」本なので、親としてどうするのか?という話になる。梅雨時に「なんかジメジメするね」と子どもが言ったら「梅雨なんだから当たり前だろ」と言って終わりではいけない。そういう時は「なぜでしょう?」と聞いて、子どもの言葉を引き出してみよう。

 この手の本では「特に目新しいことはなかった」という感想をよく聞く。本書も例外ではないだろう。私も上に書いた項目以外は特に「目新しい」とは思わなかった。ただ、自分の子供との接し方を振り返って、思うことがたくさんあった。つまり「目新しいこと」ではなくても、確認しておく意味は大きい。「15年前に読んでいれば」と思った。子どもと接するすべての大人は読んでみるといいと思う。

 最後に。「花まる学習会」については、メディアにはやたらとハイテンションな教室風景が紹介される。それを見た時には違和感を感じた。大きな声で唱和する子どもが不自然に思えたのだ。ただ、本書を読んでさらに少し調べてみて、あのハイテンションが「花まる学習会」の特徴的な一部ではあるけれど、本質ではないのだと思った。まぁ、本書はともかく「花まる学習会」をおススメすることまではしないけれど。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「「メシが食える大人」に育つ子どもの習慣」 固定URL | 9.その他 | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月14日 (木)

劣化する日本人

著  者:香山リカ
出版社:KKベストセラーズ
出版日:2014年7月20日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の意見は私の考えと親和性があるらしく「その通りだ」と思うことも多く、本を読んで「なるほどそうか」と気付かされることもある。「ネット王子とケータイ姫」「しがみつかない生き方」がそうだった。全部読むつもりは全くないのだけれど、新刊が出ると気になって時々手に取って読んでみている。

 タイトルが挑戦的だ。誰だって「劣化する(した)」と言われていい気持ちはしないだろう。ただ「昔の日本人はこんなじゃなかった」という言い方は時々耳にするし、私も日々の暮らしの中やニュースに接してそう思うこともある。定量的な根拠はないのだけれど、少なくとも日本人は「変わった」んじゃないかと思う。

 著者はまず「劣化」の象徴として、小保方晴子さん、佐村河内守さん、片山祐輔被告らと、その事件を挙げる。科学の世界の頂点であんなズサンなことをする人がいるなんて、芸術の分野にあんな詐欺師がいるなんて、テレビに出てあんなに堂々とウソをつくなんて..「昔の日本人だったら考えられない!」というわけだ。

 その上で、これらの人は「突発的に生まれたモンスター」ではないとして、今の社会の「自分のことしか考えない」風潮を後半で考察する。この考察の部分はこれまでのように「その通りだ」「なるほどそうか」と思うことがあった。しかし前半の個々の事件の分析は、私としてはいただけなかった。

 その理由は、精神科医として知識の使い方に違和感、もっと言えば不快感を感じたからだ。「これは推測だが」「一般論だが」と但し書きをしながらであるが、それぞれの人に精神医学的な分析と評価を加えている。あとがきで「医療の倫理をやや逸脱した行為かもしれないが(中略)社会的意義を鑑みてあえて踏み切った」と説明はあるが、面談もせずに事実上の診断を加えそれを公表する行為はやはり不愉快だった。

 特に小保方さんに対する評価は容赦がなく、家族の職業まで持ち出して「自己愛パーソナリティ」の見立てを補強している。STAP現象が未だ「検証実験」の段階にある中で執拗な追い込みをする。「これは推測だが一般論として」こうしたことをする人は、小保方さんのことが「気に入らない」人なのではないか?と言えると思う。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「劣化する日本人」 固定URL | 7.オピニオン, 71.香山リカ | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月10日 (日)

悟浄出立

著  者:万城目学
出版社:新潮社
出版日:2014年7月20日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 奈良、京都、大坂、琵琶湖と、関西の街を舞台にした奇想天外な仕掛けの物語を紡ぎ、前作「とっぴんぱらりの風太郎」で戦国時代にワープした著者。最新刊の本書では、さらに時空を越えて中国の古典の世界に飛んでいた。

 本書は、沙悟浄、趙雲、虞姫、京科、榮、のそれぞれを主人公とした5つの短編を収めた連作集。沙悟浄は「西遊記」、趙雲は「三国志」、虞姫は「項羽と劉邦」に登場する。京科は秦の国の官吏で、榮は「史記」を記した司馬遷の娘だ。

 彼らに共通するのは「脇役」ということ。特に最初の3人ははまさに物語のサブキャラクターだし、後の2人も「秦の中国統一」という物語で始皇帝の近くや、「史記」を記し本人も浮沈のある人生を歩んだ司馬遷の傍らといった位置にいた。つまり強いスポットライトの横のほんのりと明るい場所だ。

 著者の意図は分かる気がする。脇役とは言え個性的なキャラクターの持ち主である。物語を彼らの目を通して再構成することで「彼らの物語」を創作したら面白いだろう。そういうことだと思う。

 これが著者の意図だとすると、少なくとも私には成功した。沙悟浄の物語は少しホロリとした。旅の一行で先頭を歩くことのない沙悟浄の気持ちに加えて、「抜けキャラ」の猪八戒の意外な素顔まで覗ける。

 趙雲の物語も興味深かった。三国志の劉備に仕える人物で、趙雲ほど安定した活躍を見せる武将はいない、と私は思っている。それなのに知名度は、劉備、関羽、張飛、孔明、の4人からはガクンと落ちるという日陰の身。よくぞ彼に光を当ててくれたと思う。

 最後に。私は中国の歴史や物語に、学生のころから興味があって、関連の本もけっこう読んだ。今も本棚には「三国志」「項羽と劉邦」「史記」がある。だから今回、中国の古典を題材にした著者に共感を感じた。

 人気ブログランキング投票「一番好きな万城目学さんの作品は?」
 (あなたの好きな万城目作品の投票をお待ちしています。)
 にほんブログ村「万城目学の本を読みました」ブログコミュニティへ
 (万城目学さんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「悟浄出立」 固定URL | 2.小説, 26.万城目学 | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月 7日 (木)

いたずらロバート

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:槙朝子
出版社:ブッキング
出版日:2003年11月1日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 ファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小品。

 主人公はヘザー。かつての貴族の邸宅に住んでいる少女。と言っても、ヘザーの家がお金持ちなのではない。メイン館という12世紀に建てられた館を、今はナショナルトラストが管理していて、一般の見学者に開放している。ヘザーの両親がそこの管理人として住み込みで働いている、というわけ。

 地所の端にある築山は、その昔に魔法を使ったとして処刑された男の人の墓だと言われている。その男の呼び名が「いたずらロバート」、つまり本書のタイトル。おどろおどろしい言い伝えの割には、親しみが湧く名前だ。

 言い伝えには、ヘザーが知らない続きがあって、築山のそばでロバートの名前を呼ぶと、ロバートが出てきてしまうそうだ。そんなこと知らないから、ちょっとむしゃくしゃしたことがあったヘザーは、大声でロバートを呼んでしまう。そして、言い伝えは本当だった。

 「いたずらロバート」と呼ばれるだけあって、ロバートはいたずら好き。見物客やら庭師やらがそのいたずらの被害にあう。当人たちにとっては「いたずら」で済まないんだけど、まぁ無邪気にいろいろとやらかしてくれる。

 本書には、著者の多くの作品に見られる捻った展開や辛口のユーモアはない。まぁ安心して読める「子ども向けの物語」と言える。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「いたずらロバート」 固定URL | 1.ファンタジー, 14.ダイアナ・ウィン・ジョーンズ | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年8月 3日 (日)

僕僕先生

著  者:仁木英之
出版社:新潮社
出版日:2006年11月20日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の作品は以前から気になっていたし、先日読んだ「Fantasy Seller(ファンタジーセラー)」に収録されていた作品もけっこう私の好みに合っていたので読んでみた。著者のデビュー作にして、2006年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

 舞台は中国。時代は玄宗皇帝の治世の前半、つまり唐の絶頂期。県令という地方の行政長官の家に生まれた、王弁という22歳の若者が主人公。彼は、父が貯め込んだ財産で自分が無為に生きてもおつりがくることに気が付いて、仕事もしない勉学にも励まない、ダラダラとした暮らしをしていた。

 そんな彼が、父の使いで山の庵に住むという仙人を訪ねる。その彼を迎えたのが、姓は僕で名も僕という仙人。つまり僕僕先生。年齢は数千歳だか数万歳だか定かではない。それなのにこの先生、何と美少女の姿をしている。

 この出会いの後まもなく、王弁は僕僕先生の旅に同道することになる。その道中で、他の神仙の者たちや玄宗皇帝その人にも出会い、王弁自身も幾ばくかの才能を開眼させる。

 何とも楽しげな物語だった。僕僕先生は神仙の中でも一目置かれるような強力な仙人、王弁は今でいうニート青年。一見してアンバランスながら、王弁の中に何かを見た僕僕先生が導く、王弁の成長物語である。ただ、二十歳過ぎの青年と美少女という組み合わせが話を面白くする。いや、ややこしくする。

 普段は飄々とした僕僕先生が、真剣な表情を見せたり、かと思うと王弁に甘えたり。時々見せるいつもと違う側面に、物語の奥行を感じさせる。シリーズが現在7冊あるらしい。しばらくは楽しめそうだ。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「僕僕先生」 固定URL | 1.ファンタジー, 1D.仁木英之(僕僕先生) | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »