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2014年4月 6日 (日)

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(下)

著  者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2013年12月20日発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 古代ローマの1200年の歴史(「ローマ人の物語」全15巻)を描き切ったと思ったら、「ローマ亡き後の地中海世界()()」、「十字軍物語()()(3)」と、コンスタントに著作を発表し続ける著者。熟練の職人のようなストイックさと気迫が感じられる。

 本書は、13世紀の初めの神聖ローマ帝国皇帝・シチリア王のフリードリッヒ二世の生涯を描いたもの。正直に言って「抜群の知名度」という人物ではないだろう。私はよく知らなかった。しかし同時期の年代記作者にラテン語で「STVPOR MVNDI(世界の驚異)」と称され、ヨーロッパの教養人ならこう言えば誰のことか分かる、という傑出した人物なのだそうだ。

 如何に傑出した人物であったかは、本書を読めば分かる。例を挙げると、彼は、ヨーロッパ初の国立大学である「ナポリ大学」を創設し、十字軍を率いてパレスチナに赴いて無血で聖都イェルサレムを解放し、「メルフィ憲章」を発布して法治国家を実現した。つまり、文化芸術学問を理解し、軍事の才能に秀で、開明的な統治者であったのだ。

 しかし当時は教会の権威が絶対の時代。彼は、教会の権威を傷つけたとして何度も法王によって「破門」されてしまう。生まれるのが早すぎたのだ。文化芸術学問が花開くのは、これより100年後のルネサンスのころで、彼が構想した統治機構は、570年後のフランス大革命を待たないと再び歴史に登場しない。

 このような感じで、フリードリッヒ二世の業績と、法王との激突の歴史が、臨場感あふれる筆致で描かれている。私としては本書は著者の代表作になるのではないかと思う。

 ところで、これまでの著作から、著者がカエサルが大好きだということが分かっている。カエサルほど男くさくないけれど、きっと著者はフリードリッヒ二世のことも好きになったんだろうな、と思う。

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