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2014年3月19日 (水)

新しい火の創造

著  者:エイモリー・B・ロビンス 訳:山藤泰
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2012年10月4日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本書は著者が会長を務めるロッキーマウンテン研究所が、600万ドルの費用と数年の歳月をかけた「新しい火の創造(Reinventing Fire)」プロジェクトの一般向けの報告書と位置づけられる。このプロジェクト自体は米国のエネルギー政策に関するものだ。しかし、日本にとっても有用な研究・提言であることは言うまでもない。

 ロッキーマウンテン研究所は、ロッキー山脈の高地にある。冬期には外気温がマイナス44度にもなる。しかし驚くべきことに、電気や燃料を使った「暖房システム」がない。徹底した断熱と太陽熱の利用によって、快適な生活を可能にしている。著者の「エネルギーはもっと効率的に使える」という主張は、著者自身によって「実証済み」なのだ。

 本書は、「運輸」「建物」「工業」「電力」の4つの分野について、「エネルギー効率の向上の実例と将来」「そこで発生するビジネスチャンス」「2050年に実現可能なゴール」「それを後押しする政策」を調査・研究している。
 世界中の事例からの具体的な数値を使って説明、考察されていて、その徹底ぶりには目を瞠るばかりだ。(そのために2段組500ページという大書になっている。文字が小さいこともあって、読むのに苦労させられた)

 ここで特長的なのは「ビジネスチャンス」という項目があることだ。著者が繰り返し主張するのは、エネルギー効率の向上は競争力の向上につながる、もっと卑近な言葉で言うと「儲かる」ということだ。
 テキサス州は米国の中で抜きんでて再生可能エネルギーの開発が進んでいるんだけれど、その理由は「全部金儲けのため」だそうだ。「儲かる」ことが一番の推進力になる。

 それだけではない。エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの開発による、石油などの化石燃料への依存からの脱却は、自国内に資金を呼び戻し、雇用を増やす。石油をめぐる紛争が無意味になり、軍事費を抑制し安全保障を強化する。いいことづくめだ。世界中のエネルギー政策に反映して欲しい。

この後は書評ではなく、この本を読んで思ったことを書いています。お付き合いいただける方はどうぞ

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 本書には著者から訳者への指示で「省エネルギー」という言葉が使われていません。「省」には「苦労して、あるいは無理をして削減する」というニュアンスも含まれているから、がその理由だそうです。

 確かに私たちが「省エネルギー」「節電」と言うときに、電気を「使わないように頑張る」という想いが強すぎるように思います。使わない工夫をすれば電気料が安くなって「儲かる」という考えの方が長続きしそうです。

 また「原発を稼働させないと、電気コストが上がって、経済の競争力が削がれる」という主張も、根が同じなのかもしれません。つまり、使う電気量は「苦労」や「無理」をしないと減らせない。それじゃ競争に負けてしまう、ということだからです。

 考えてみれば、電気製品は消費電力を小さく、自動車は燃費を良く、というように、製造業をはじめとして産業界は、エネルギー効率化に並々ならぬ意欲を持って、たゆまぬ努力を続けてきたはずです。それがどうして今回の「電気料が上がる」ことに対しては、最初から匙を投げたようにNoと言ってしまうのでしょうか?

 
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