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2014年1月16日 (木)

タックス・ヘイブン 逃げていく税金

著  者:志賀 櫻
出版社:岩波書店
出版日:2013年3月19日 第1刷発行 7月16日 第3刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 大学生の娘が教科書として読んでいた本。ちょっと面白そうだったので借りて読んだ。

 著者の経歴がスゴイ。東京大学に在学中に司法試験に合格。大蔵省に入省して主計局主計官に。これで十分スゴイのだけれど、国際機関での日本国メンバーや、出向して大使館参事官や県警本部長を務めたこともある。さらにイスラエルで紛争地に迷い込んでしまって銃撃を受けるという修羅場もくぐる。趣味は「ショットガンの雉子撃ち」。まるで劇画の主人公のようだ。

 本書は、著者のこのような経歴の中で、特に租税分野の国際交渉の豊富な経験を踏まえて、「タックス・ヘイブン(租税回避地)」の実像を明らかにするものだ。タックス・ヘイブンとは一般的には、税を課さない国や地域のこと。取引をそこを経由させることで、税を免れたり資金の出所を隠ぺいしたりすることができる。

 本書では企業名は挙げていないけれど、アップルやグーグルなどの超優良巨大企業が、法人税をどこの国にもほとんど納めていないことは、様々な報道で明らかになっている。日本でもオリンパスやAIJの事件でその存在が知られた「ケイマン諸島」などが、タックス・ヘイブンとして有名だけれど、その他にもいろいろあるらしい。それを主要施策としている国もあるし、ロンドンやニューヨーク市場のオフショア・マーケットもそれに類する。

 ここまでの紹介では、著者の経歴と同じぐらい劇画の中の世界で、私たちとあまり関係がないように感じることだろう。暴力団やテロ組織の資金洗浄にも使われることを思えば、私たちの暮らしの安全に関わる。大企業や富裕層が支払うべき税金を支払わなければ、その分の負担は私たちのような「真面目な納税者」にシワ寄せがくる。いや今現在きている。

 現在は弁護士である著者は、このタックス・ヘイブン退治に執念を燃やしているようだ。本書もそのために実情を広く知らせる目的がある。私たち「真面目な納税者」も知っておくべきことかもしれない。

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