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2013年5月12日 (日)

七つの会議

著  者:池井戸潤
出版社:日本経済新聞社
出版日:2012年11月1日 第1刷 11月26日 第3刷
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の作品を読むのは、直木賞受賞作の「下町ロケット」、「ルーズヴェルト・ゲーム」に続いて3冊目。前の2冊と同じく、中小中堅企業の製造業を舞台とした「経済小説」。ただし前2冊が、小さいながらも技術力をもった企業が、逆境の中を困難を乗り越えていく、「上向きのスパイラル」を描くのに対して、本書は秘匿された真実と結末に向かって、キリキリとネジを締め付けるような「下向きのスパイラル」を描く。

 舞台は、売上高1千億円の製造業、東京建電。大手総合電機メーカーのソニックの子会社で、折りたたみ椅子から、白モノ家電、住宅設備、半導体と、幅広い製品ラインアップを持つ。特定の主人公はなく、営業課の事務職から副社長まで、様々な役職の社員が章ごとに主役となって、物語を推し進めて行く。

 物語の発端は「パワハラ」。営業課の万年係長が、上司で営業のエースと目される営業課長を、社内のパワハラ委員会に訴えたのだ。実はこの会社は「営業ノルマが最優先」という体質で、上司が部下を激しく叱責する姿は日常茶飯事。この訴えも、テキトーに処理されて落着、と思われていたのだけれど、予想以上に重い処分が下された。

 このウラには、重大な秘密が隠されていた。というわけで、物語はこの秘密の周辺で起きる人間ドラマを描きながら、徐々に核心に迫っていく。まぁこの人間ドラマの殆どが、男性社員たちの確執や嫉妬を原因としたもので、彼らは揃って家庭でもギクシャクしている。その卑小さが少々類型的すぎて呆れてしまう。「またひとつ女の方が偉く思えてきた」と、古い歌の歌詞も浮かんできた。

 「下向きのスパイラル」で確執や嫉妬のドラマでは、ちょっと滅入ってしまいそうだが、それはあまり心配ない。スジを通す人もちゃんといるし、読後感は以前に読んだ2冊に劣らずスッキリとしている。心配があるとすれば、「自分だったらどうするだろうか?」と考えてしまった場合だ。不正を追及された登場人物が「この会社を守り、オレたちの生活を守るためだ」と言う。これを完全に否定する自信は、今の私にはない。 

(2013.5.15 追記)
NHKでテレビドラマ化されるそうです。東山紀之さん主演、7月13日スタート。
Yahoo!ニュース「東山紀之、NHK連ドラ主演 中間管理職のサラリーマン役

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