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2013年4月 3日 (水)

星の牧場

著  者:庄野英二
出版社:角川書店
出版日:1976年11月20日 初版発行 1986年9月20日 5版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」の読書会の3月の指定図書。

 最初の刊行は1963年に理論社から。翌年の産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞を受賞。戦後児童文学の屈指の名作と言われる長編ファンタジー。1980年代にはテレビドラマや映画化もされている。

 時代は終戦後しばらくしたころ。舞台は山の牧場。主人公はモミイチという名の青年。モミイチは南方の戦線で従軍した後、復員して山の牧場に帰ってきた。ただ、マラリアの高熱と戦争の悲惨な経験のためか、従軍中の記憶をほとんど失っていた。自分が世話をしたツキスミという名の馬のこと以外は。

 物語は、モミイチが彼だけに聞こえる馬の蹄の音に、導かれるようにして山の奥に踏み入れ、そこで出会ったジプシー(山を愛して自由にさまよいながら暮らす人々)たちとの交流を描く。ジプシーたちは大勢いて、自然の恵みを得て生計を立て、音楽を愛し楽器を奏でて暮らしている。

 どうも不思議なことが重なって、このジプシーたちとのエピソードは本当のことなのか?という疑問が浮かぶ。しかし、そういうことには囚われないで、そのまま素直に受け止めた方がいい。何しろ本書は「ファンタジー」なのだ。

 モミイチが最初にジプシーと出会ったのは、山の奥に分け入って林を抜け、崖を上ったところにある一面の花畑。ここは恐らく「異界」だ。モミイチは「私たちの世界」と「異界」を行き来して、失ったものを少しづつ取り戻す。

 最後に。これは50年も前の作品。その作品で既に「あくせくはたらきすぎてくるしみがふえるようなこと」への警鐘が鳴っている。その警鐘は50年間全く生かされなかったようだ。私たちはジプシーたちの暮らしから、「幸せに暮らすために、多くのものは必要ない」ということを学ぶべきだと思う。

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