« 残り全部バケーション | トップページ | 子どもと声に出して読みたい「実語教」 »

2013年3月17日 (日)

旅猫リポート

著  者:有川浩
出版社:文藝春秋
出版日:2012年11月15日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 有川浩さんの最新作。ベタ甘ラブストーリーでもなく、カッコいいおっさんの痛快物語でもなく、甘酸っぱい青春群像劇でもない。本書は、悲しいほどに切ない物語だった。これまでの著者の作品で探せば「ストーリー・セラー」に近い。私はこの手の話が苦手だ。読んでいて辛くなってしまう。

 主人公はオス猫のナナ。しっぽがカギ型に曲がっていて、数字の7に見えるから、飼い主のサトルに名付けられた。ナナは、独立心の強い野良だったけれど、命を救ってくれたサトルの猫になることにした。サトルの方にもナナを求める理由があった。ナナとサトルは5年間をともに暮らし、その絆は深く強いものになっていた。

 ここまでが、この物語が始まる前のこと。サトルがナナを手放すことになり、ナナの引取り先を求めての旅を、本書は描く。それは、サトルが小学生、中学生、高校生の、それぞれの時の友達のところ。つまり、図らずもこの旅はサトルの人生を辿る旅でもある。そこに、サトルの友達のその後の人生が重なり、重層的なしみじみとした物語に仕上がっている。

 ナナの猫目線の語りや、他の動物との会話にユーモアがあり、けっこう楽しく読める。ただし、訪ねてきたサトルに友達が敢えて聞かない「ナナを手放す理由」に、動物たちは気がついている。読者は、彼らの会話からそれを知ることになる。その瞬間、物語から音が消え、空気がピンと張り詰めた。

 コンプリート継続中!(アンソロジー以外の書籍化された作品)
 「有川浩」カテゴリー

 にほんブログ村「有川浩」ブログコミュニティへ
 (有川浩さんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「旅猫リポート」 固定URL | 2.小説, 22.有川浩

« 残り全部バケーション | トップページ | 子どもと声に出して読みたい「実語教」 »

2.小説」カテゴリの記事

22.有川浩」カテゴリの記事

コメント

「旅猫リポート」読みました。ベタ甘でなく、自衛隊ものでもなく、また違った有川浩作品を楽しめました。
最後はちょっと切なかったです。

投稿: 珠里 | 2013年3月18日 (月) 16時37分

珠里さん、コメントありがとうございます。

いつもと違う有川作品でしたね。
私は「いつもの」の方が好きなんですけれど、
これはこれでしみじみと心に沁みる物語でした。

投稿: YO-SHI | 2013年3月19日 (火) 10時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/108492/56977843

この記事へのトラックバック一覧です: 旅猫リポート:

« 残り全部バケーション | トップページ | 子どもと声に出して読みたい「実語教」 »