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2013年3月

2013年3月31日 (日)

神去なあなあ夜話

著  者:三浦しをん
出版社:徳間書店
出版日:2012年11月30日 初刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「お仕事小説 林業編」の「神去なあなあ日常」の続編。主人公の平野勇気が、架空の読者に向かって綴る手記の体裁を取った、7つの短編からなる連作短編集。

 勇気は、高校卒業後に母親と先生に謀られて、三重県の山奥の神去村に放り込まれて林業に携わり、曲折はありながらも村で1年間を過ごした。その間に勇気の心には、村と林業への愛情が芽生え、村の方も勇気を受け入れるようになった。と、ここまでが前作の内容。

 今回は勇気が、神去村の起源となる伝説や、居候先のヨキとみきの夫婦のなれそめ、村のお稲荷さんの言い伝え、そして20年前の痛ましい出来事などを、親しい人たちから聞く。もちろん前作から引き続き、勇気と彼が慕う年上の女性である直紀さんとの関係の進展も描かれる、居候先のシゲばあちゃんのユーモアも健在だ。

 昔語りが多いこともあって、物語を一つづつ静かに積み上げる感じだ。前作にあった、オオヤマヅミさんという山神を祭る大祭のような盛り上がりはない。しかし、その抑え目な調子に、二十歳になった勇気の成長を感じるし、山村の日常にも合っていると思う。

 前作の物語が、勇気の神去村の「現在」の体験だとすれば、本書は、勇気が神去村の「過去」あるいは「記憶」に触れる体験だと言える。小さな村の社会は共通の「記憶」が積み重なって出来上がっている。今回の体験は、勇気が村の一員となるために必要なことであったし、村が勇気に懐を開いた証でもあると思う。

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2013年3月28日 (木)

桐島、部活やめるってよ

著  者:朝井リョウ
出版社:集英社
出版日:2012年7月4日 発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者のデビュー作で、小説すばる新人賞受賞作品、昨年8月には映画化された。著者はデビュー後、精力的に作品を発表し、6作目の「何者」で、今年度下半期の直木賞を受賞。戦後史上最年少の23歳、初の平成生まれの受賞者となった。

 物語は、同じ高校の2年生6人をそれぞれ主人公とした物語の、6つの章のオムニバス形式。バレー部のキャプテンの桐島が、部活をやめるという出来事の、直接的間接的な波紋を視点を変えて描く。高校2年生という多感な年頃。クラス、部活動、という集団の中で、階層(階級?)が暗黙の内に出来上がる。イケてるグループとそうでないグループ。

 生徒たちは、お互いの立ち位置をはかりながら暮らしている。そのためか、友人や他の生徒についての関心が多く語られる。同じ学校の同じ時期の物語だから、ある章の主人公は別の章では、主人公の友人などとして登場する。こうすることで、口に出しては言わないお互いへの想いの、微妙なすれ違いなどが浮かび上がる。

 このすれ違いも含めて、過剰気味な自意識が感じられて、ヒリヒリとした感触が残る。いろいろなタイプの高校2年生が登場するので、誰もが自らの「あの頃」を思わずにはいられない。本書が多くの人に受け入れられたのだとしたら、それが一番の理由だろう。

 文庫版には、Web文芸誌に掲載された、登場人物の1人の女生徒の中学2年のころの物語も収められている。私は本編を読んでいて、彼女のことが彼女の気持ちが、一番気になっていた。このスピンアウトは、そういう人のために書かれたのだろう。ただし、読んでさらに気になってしまったけれど。

 ちなみに私は、本書をKindle版の電子書籍で読んだ。10インチのAndroidタブレットにインストールしたKindleアプリで。最初はページめくりなどに少し違和感があったが、すぐに気にならなくなった。

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2013年3月26日 (火)

「有頂天家族」テレビアニメ化。「聖なる怠け者の冒険」発売。

 少し前に、森見登美彦さんに関する情報が、立て続けに報じられました。まず森見さんの人気小説「有頂天家族」の今年7月のテレビアニメ化が決定したそうです。

 私は、3年前に「四畳半神話体系」がアニメ化された時に書いた記事で、「アニメ化にもっと向いたいい作品」として、この「有頂天家族」を挙げていましたから、私としては待ちに待ったアニメ化です。

 TVアニメ「有頂天家族」公式サイト
 ※ただ「どの放送局で」ということが、見あたりません。何か訳があるのでしょうか?

 次は、「聖なる怠け者の冒険」の発売決定です。5月21日だそうです。この本は、朝日新聞に2009年から2010年に連載された新聞小説を改稿したものです。これまでに公式非公式を合わせて何度か、発売情報が流れては延期になっていました。

 ネット書店などでの登録がないのが、気がかりではありますが、この度は、森見さんご自身の公式ブログでの告知、それも2か月後のことですから、もう確実でしょう。

 これまでの延期は、森見さんの長期にわたる体調不良が理由だと推察されます。その意味ではこの発売は回復の兆しでもあるわけで、私はそれが何よりもうれしいです。

 森見登美彦さん公式ブログ「この門をくぐるものは一切の高望みを捨てよ」

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2013年3月24日 (日)

虚像の道化師 ガリレオ7

著  者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2012年8月10日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の人気シリーズ「ガリレオ」シリーズ7作目。短編集としては4作目。順番が逆になってしまったが、少し前にレビュー記事を書いた「禁断の魔術 ガリレオ8」の一つ前の作品になる。文芸誌に掲載された「幻惑す(まどわす)」「心聴る(きこえる)」「偽装う(よそおう)」「演技る(えんじる)」の4つの短編が収められている。

 「新興宗教の教祖が行う秘儀」「頭の中で声が響く幻聴」というオカルトめいた2つの事件と、「散弾銃による殺人事件」「ナイフで胸を一突きされた殺人事件」というノーマル?な2つの事件。天才物理学者の湯川と、その友人で刑事の草薙のコンビが、それぞれの事件の真相を解明する。

 オカルトめいた2つの事件は、湯川の物理学者としての知識が真相に導く。ノーマル?な2つの事件を解決したのは、湯川の類まれな観察力。不可能犯罪を、物理学者ならではの知識で解決するのが、このシリーズの特長だけれど、観察力で解決する方も読み応えがある。

 それから、単なる「謎解き」だけではなく、時々人情話が絡んでくるのも、このシリーズの特長で、「心聴る」はなかなか良かった。ただこの作品には、正直に言ってちょっと不満も感じた。犯罪に利用された装置が現実離れしてしまうと、真相が明らかになっても、胸にストンと落ちない。

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2013年3月20日 (水)

子どもと声に出して読みたい「実語教」

著  者:齋藤孝
出版社:致知出版社
出版日:パイロット版
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社の致知出版社さまから、パイロット版で献本いただきました。感謝。

 少し前に読んだ「10分あれば書店に行きなさい」の著者。テレビでもお馴染みだ。またその著書「「声に出して読みたい日本語」はベストセラーとなってシリーズ化され、さら「声に出して読みたい~」と様々なバリエーションを生み出した。まぁ本書は、出版社が違うけれどそのバリエーションの1つと言っていいだろう。

 まず「実語教」について。これは平安時代末期から明治時代初めまで千年近くの間、子ども用の教科書として使われてきた書物。イメージとしては、時代劇の中で、寺子屋で子どもたちが声を揃えて音読しているのがそれ。礼儀や周囲の人との付き合い方など、生きていく上での大切な智慧を、例え話を交えて説いている。

 本書は、その「実語教」を29の部分に分けて、子どもに語りかけるように解説する。例えば1つ目は「山高きが故に貴からず。樹有るを以って貴しとす。」という一文。これを著者は、山は高いから貴いのではなく、そこに樹があるから貴い。樹があれば、それを切って材木にして、..社会のために役立てることができる。「何かの役に立つ」ということがとても重要です、と説く。

 29の部分の一つ一つは、教えや導きに満ちていて、こういうことを小さい頃に心に刻んだ人が多ければ、世の中は随分と住みやすいものになるだろうと思う。ただ残念だけれど、今の子どもたちが、これを素直に受け取ってくれるとは思えない。そのぐらい、実際の世の中(つまり、大人が作り上げた世の中)は、その教えや導きから大きく外れてしまっている。

 気になったことを2つ。1つは、著者はこの本を誰に読んでもらうつもりで書いたのか?ということ。上に書いたように、子どもに語りかける体裁だけれど、この本を子ども自身が読むのは難しいだろう。
 もう1つは、古い書物に価値観まで引っ張られてしまったか、に見える部分があること。例えば、「いい大学、いい会社に入りやすくなります」とか、「ちゃんと結婚して、親を喜ばせるために子供もつくろうとします」とか。

 「実語教」には、とてもいいことが書かれていると思う。元は漢詩で五言句が100足らずの短いもので、ネットで検索すれば容易に見つかる。興味を持たれた方はご覧になるといいと思う。齋藤先生の解説も読みたい方は本書をどうぞ。

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2013年3月17日 (日)

旅猫リポート

著  者:有川浩
出版社:文藝春秋
出版日:2012年11月15日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 有川浩さんの最新作。ベタ甘ラブストーリーでもなく、カッコいいおっさんの痛快物語でもなく、甘酸っぱい青春群像劇でもない。本書は、悲しいほどに切ない物語だった。これまでの著者の作品で探せば「ストーリー・セラー」に近い。私はこの手の話が苦手だ。読んでいて辛くなってしまう。

 主人公はオス猫のナナ。しっぽがカギ型に曲がっていて、数字の7に見えるから、飼い主のサトルに名付けられた。ナナは、独立心の強い野良だったけれど、命を救ってくれたサトルの猫になることにした。サトルの方にもナナを求める理由があった。ナナとサトルは5年間をともに暮らし、その絆は深く強いものになっていた。

 ここまでが、この物語が始まる前のこと。サトルがナナを手放すことになり、ナナの引取り先を求めての旅を、本書は描く。それは、サトルが小学生、中学生、高校生の、それぞれの時の友達のところ。つまり、図らずもこの旅はサトルの人生を辿る旅でもある。そこに、サトルの友達のその後の人生が重なり、重層的なしみじみとした物語に仕上がっている。

 ナナの猫目線の語りや、他の動物との会話にユーモアがあり、けっこう楽しく読める。ただし、訪ねてきたサトルに友達が敢えて聞かない「ナナを手放す理由」に、動物たちは気がついている。読者は、彼らの会話からそれを知ることになる。その瞬間、物語から音が消え、空気がピンと張り詰めた。

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2013年3月13日 (水)

残り全部バケーション

著  者:伊坂幸太郎
出版社:集英社
出版日:2012年12月10日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「魅力的な登場人物」「巧みな伏線」「気の効いたセリフ」、伊坂作品の魅力が三拍子揃った作品。私は、伊坂さんのこういう本を読みたかった。「伊坂さん、ありがとう」と言いたい。

 表題作を含む5つの短編からなる、連作短編集。表題作「残り全部バケーション」は、「Re-born はじまりの一歩」というアンソロジーに収録されていて、以前に読んだことがある。「タキオン作戦」「検問」「小さな兵隊」は、別々の小説誌に掲載されたもの。最後の「飛べても8分」は書き下ろし。いわばバラバラに書いた5つの作品が、見事に響き合う1つの物語を奏でている。

 主人公は、溝口と岡田の二人組。当たり屋や脅しなどの細かい裏稼業の下請けをやっている。裏稼業の世界ということでは、「グラスホッパー」「マリアビートル」と同系列だけれど、本書の主人公たちは「殺し」はやらないので、だいぶ穏やかだ。

 溝口が岡田に裏稼業の手ほどきをした。この溝口が、何ともいい加減な男で、やることは行き当たりばったり、自分の身が危ないとなれば責任を他人に平気で押し付ける。でも、なぜか憎めない。岡田も溝口にひどい目に会わされるのだけれど、なぜか責める気にならない。「魅力的な登場人物」の筆頭はこの溝口。それに岡田をはじめ、その他にも粒ぞろいだ。

 「巧みな伏線」は、ここで明らかにするわけにはいかない。ただ、書き下ろしの「飛べても8分」が重要な物語だとだけ言っておく。「気の効いたセリフ」も、挙げればキリがないので言わない。
 また、セリフとは限らないけれど、伊坂さんの作品には、最初の一文に強い吸引力があることがある。例えば「モダンタイムス」の「実家に忘れてきました。何を?勇気を」とか。本書は「実はお父さん、浮気をしていました」の一文で始まる。(私は脱力してしまった。吸引力とはちがうかもしれない(笑))

 コンプリート継続中!(単行本として出版されたアンソロジー以外の作品)
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2013年3月10日 (日)

貧乏人が激怒する新しいお金の常識

著  者:午堂登紀雄
出版社:光文社
出版日:2013年2月20日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社の光文社さまから献本いただきました。感謝。

 様々なお金に関する「常識」に異を唱える本。「日本経済」「投資」「家」「お金」の4つに分類して合計40個の「旧常識」を論駁してみせる。

 著者は「旧常識」には「亡霊型」と「洗脳型」の2つのタイプがあるという。「亡霊型」は時代の変化とともに陳腐化してしまったもの。「家」についての「持家は資産になる」という「常識」はこれに含まれるだろう。

 私は(多分著者も)要注意なのは「洗脳型」の方だと思う。これは誰かが意図をもって流布したもののことを言う。例えば「(このままでは)年金は破綻する」が「常識」になれば、年金支給開始年齢を上げたり、支給額を下げたりしやすくなる。真偽は分からないが、政府が意図的に喧伝した「常識」かもしれない。

 そもそも、著者がこの本を記した意図は、「自らの頭で考えよう」ということを訴えるためだ。「常識」を真に受けてしまうのは「思考停止」で、それでは「頭のいい人」たちに騙されてお金を失ってしまう、というわけだ。とくに「洗脳型」にやられてしまえば、一たまりもない。政府もマスコミも学者も、その発するメッセージが正確で公正とは限らない。いや、何らかの意図を持っていると思った方がいい。

 「激怒」するほどではないのだけれど、ちょっと過激な言葉で、庶民の気持ちをわざと逆なでする。特に第5章の「貧乏人は、貧乏になるべくしてなっていることを知る」はそうだ。でも、一番ためになったのもこの章だった。

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2013年3月 6日 (水)

ビブリア古書堂の事件手帖4

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2013年2月22日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 人気ベストセラーシリーズの第4巻。帯に小さな字で「年間ベストセラー文庫総合1位(2012年トーハン調べ)と書いてある。それで、トーハンのウェブサイトを見てみると、「ビブリア古書堂の事件手帖(1)(2)(3)」が1位、2位は「1Q84 BOOK1〜3 前後編」。なんと村上春樹さんを抑えての1位。

 3巻のレビュー記事に書いたとおり、2巻で一旦下がったテンションが、3巻で再び盛り上がった。4巻目の本書はその盛り上がりを見事に維持し、次巻以降へとつないだ。著者による「あとがき」によると、「この物語もそろそろ後半」だそうだ。まだしばらくはこのシリーズの人気が続きそうだ。

 舞台も登場人物もこれまでと同じ。いや登場場面は少ないながら、重要な人物が1人増えた。篠川家の母が満を持して登場する。母の智恵子は、10年前に失踪したきりで、娘で店主の栞子との確執を匂わされていた。その智恵子が、冒頭のプロローグで早くも姿を現す(正確には電話の声だけだけれど)。

 智恵子の登場以外に、これまでの3巻と違うことがもう1つ。これまでは別々の本をめぐる短編が連なる連作短編だったけれど、本書はシリーズ初の長編。江戸川乱歩作品のコレクションにまつわる、アイテムの探索と暗号解読。宗教は絡まないけれど、少しダン・ブラウンっぽい。

 栞子によく似た容姿で、栞子にはない押し出しの強さを持った智恵子。この母娘の間には、反発と強い絆が共存している。ここからどんなドラマが描かれるのか楽しみだ。

 月9でドラマを放映中。剛力彩芽さんの栞子は原作とはだいぶ違うし、設定もあちこち変えられているのは不満だし、3巻のエピソードまで使うのはやめて欲しい。でも、ドラマ自体は面白いと思う。

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2013年3月 2日 (土)

グレート・ギャツビー

著  者:フィッツジェラルド 訳:野崎孝
出版社:新潮社
出版日:1974年6月30日 発行 1988年5月25日 第37刷
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」の読書会の2月の指定図書。

 スコット・フィッツジェラルドの名作。アメリカ文学を代表する作品の一つ、とも言われている。いまさら私が紹介し評することに、どれだけの価値があるのか疑問だけれど、十数年ぶりに再読したので、思ったところを書くことにする。

 舞台は、1920年代のアメリカはニューヨーク郊外のロング・アイランド。主人公は、ニック・キャラウェイ、裕福な家庭で育った29歳。彼の目から見た、当時のアメリカの上流階級の暮らし振りを描く。

 タイトルのギャツビーは、ニックの隣家の大邸宅の主で、2週間に1回は大パーティを開いている大富豪。招待されていない人までが押し寄せるという、この「大パーティ」の豪華さと軽薄さという2面性が、自身も属する上流階級へのニックの気持ちを表していて、ひいてはこの物語の空気を特徴付けている。

 他の国の90年も前の話がどうして今も読まれているのか?この物語が好きだ、という人もたくさんいるのはどうしてか?それは「カッコいい」からだと思う。(もう少しましな語彙はないのか、と切に思うが、「カッコいい」以上に適切な言葉が思い浮かばない)

 実は、登場人物たちの生い立ちは意外に複雑で、著者自身の経歴や暮らし、1920年代という時代も考え合わせると、もっと深い読み方ができる。ただし、そういう読み方は、この物語が「好き」になってからのこと。まずは物語の空気に魅かれる、そういうことだと思う。

 私はその「空気」に魅かれたひとり。そして何かの空気に似ていると思った。(「村上春樹さんの作品の空気」とは、敢えて言わない。)80~90年代のトレンディドラマの空気だ。この物語のファンからはお叱りを受けそうだけれど、華やかな時代の、生活の臭いが希薄なカッコ良さが、トレンディドラマの主人公たちの暮らしと似ていると思った。

 今回は、20年以上前に買った(表紙はロバート・レッドフォードさんの映画のスチール写真だ)野崎孝訳で読んだけれど、手元には村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」もある。読み比べてみようと思う。

 レオナルド・ディカプリオさんがギャツビーを演じる映画「華麗なるギャツビー」の公開が間近になっている。米国では5月10日、日本では6月14日。
映画「華麗なるギャツビー」公式サイト

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