« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月

2013年2月27日 (水)

日本の選択 あなたはどちらを選びますか?

著  者:池上彰
出版社:角川書店
出版日:2012年12月10日 初版発行 12月25日 再版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 複雑な問題を、丁寧に分かりやすく説明してくれる池上彰さんの近著。日本が抱える10個の問題の選択について解説している。書かれたのは昨年末の総選挙の直前、投票の前に本書を読んでいたら、1票の行き先が違った、という人もいるかもしれない。

 10個の問題とは、「消費税」「社会保障制度」「ものづくり」「領土問題」「日本維新の会」「大学の秋入学」「教育員会制度」「原発」「選挙制度」「震災がれき」。それぞれを、必要であればその起源まで遡って説明し、「賛成」「反対」などの「どちらを選びますか?」という選択を読者に促す。

 本書は一昨年の震災後まもなく出版された「先送りできない日本 」を受けて作られたもの。著者は本書の「おわりに」で、前書を「もう先送りなどできない状態のはず」と希望を込めて世の中に送り出したのに、「その後の状況に驚きを通り越して呆れることも多々」と、その心情を吐露している。

 「先送り」は事態をより困難にするばかり。政治家や官僚には期待できないと踏んだ著者が、私たち国民に「選択をすべきだ」と言っているわけだ。しかし著者は、丁寧に分かりやすく説明してくれるが、答えを示してはくれない。それを決めるのは、私たち一人一人。私たちも永らく「選択」せずに来てしまったらしい。

 最後に。池上彰さんは得難い人材だと思う。混迷の時代にこういう人が現れたことは幸運でさえある。ただ、テレビも活字メディアも池上さんに頼り過ぎのような気がする。今日もテレビで「巨大地震」をテーマに4時間スペシャルが組まれていた。

 にほんブログ村「政治、経済、国際問題」ブログコミュニティへ
 (政治、経済、国際問題についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「日本の選択 あなたはどちらを選びますか?」 固定URL | 5.ノンフィクション, 53.池上彰 | コメント (0) | トラックバック (1)

2013年2月24日 (日)

「いいね!」であなたも年収1億円

著  者:佐藤みきひろ
出版社:講談社
出版日:パイロット版
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社の講談社さまから、パイロット版で献本いただきました。感謝。

 「月に100万稼げる「Amazon輸出」」のレビューの冒頭で、「やけに景気のいい、すごいタイトルの本だ」と書いたが、本書は金額でその8倍超も景気がいい。そのレビューで「うまい話がそうそうあるはずがない」とも書いた。「あるはずがない」レベルも8倍ということになる。

 しかし、このタイトルは誤解されやすいと思う。「いいね」つまりFacebookが、直接お金になる何かうまい方法があるような印象を与えるけれど、それは違う。収益の元はFacebokとは別にある。例えば、著者は飲食店やリース会社など、複数の会社を経営していて、そこからの収益が1億円、ということなのだ。Facebookは集客や商品への誘導に使っている。これなら「あるはずがない」とは思わない。

 まぁ、会社経営をするとなるとおいそれとは行かない。でも、本書はそんなハードルの高い本ではない。読んでみると分かるが、本書に書かれているのは、Facebookページを使った集客の実践的ノウハウであって、年収1億円はその結果に過ぎない。本書のノウハウは魅力的なFacebookページ作り全般に役立つ。1億円までは求めないのなら、会社経営は必要ない。

 例えば会社のFacebookページを担当している人、例えばウェブ制作会社のデザイナー(本書中に「ウェブ制作会社は集客とは無縁」なんて書いてある。的確な指摘だけに、言われっぱなしでは不甲斐ない)も読むといいと思う。実際、私は職場のFacebookページを作っているのだけれど、大いに参考にさせてもらった。

 タイトルに話は戻るけれど、本のタイトルは難しい。本書を家族や職場の同僚に見せたら、ほぼ全員が失笑した。「年収1億円」に「あるはずがない」と思ったのだろう。インパクトはあるけれど、真面目に受け取ってもらえない恐れがある。では「Facebookページで集客力アップ!」ではどうだろう?これはインパクトに欠ける。同種の本の中で埋没してしまいそうだ。

ところで、著者の人生を変えた(救った?)本として、神田昌典さんの「あなたの会社が90日で儲かる! 」が紹介されている。本書の装丁がこの本にとても似ているのは、リスペクトの気持ちからだろう。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「「いいね!」であなたも年収1億円」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年2月20日 (水)

ダブル・ジョーカー

著  者:柳広司
出版社:角川書店
出版日:2009年8月31日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「ジョーカー・ゲーム」の続編。前作に続いて、大日本帝国陸軍に設立されたスパイ養成学校、通称「D機関」のスパイを描く。表題作「ダブル・ジョーカー」と、「蠅の王」「仏印作戦」「柩」「ブラックバード」の全部で5編の短編を収録している。

 「「D機関」のスパイを描く」とは言ったものの、「D機関」のスパイを主人公とするのは「ブラックバード」だけで、他の作品では「D機関」は、主人公のライバルや、敵対する組織などで、物語の背景となっている。つまり、主人公らは「D機関」に出し抜かれるわけだ。こうして、外からの視点で描くことで、「D機関」のスパイの並外れた能力が際立つ仕掛けになっている。

 5編の中で特筆すべきは「柩」だろう。ドイツの列車事故で亡くなった日本人の、スパイ容疑を追うドイツ軍の大佐が主人公。この作品で、大佐の回想の形でもう1つの物語が語られている。それは「D機関」を設立した、このシリーズの真の主人公である結城中佐との邂逅の物語。

 前作で結城中佐は、「敵国に長年潜伏し、捕縛され拷問を受けるも脱走に成功した経歴を持つ」と噂されている。大佐の回想は、この噂を裏付けるもので、鬼気迫る「結城中佐像」が描かれている。一つの謎を明らかにした訳で、読者へのサービスと言えるだろう。

 読者へのサービスと言えば、気になる情報を得た。私は単行本で読んだのだけれど、文庫版には単行本にはない「眠る男」という作品を特別収録している。しかもその作品は前作「ジョーカー・ゲーム」の収録作品と関わりがあるらしい。これは読まなくては...

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「ダブル・ジョーカー」 固定URL | 3.ミステリー, 3C.柳広司(Joker Game) | コメント (0) | トラックバック (1)

2013年2月17日 (日)

星空から来た犬

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:原島文世
出版社:早川書房
出版日:2004年9月5日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 背表紙に「ファンタジィの女王ジョーンズの若き日の傑作」と書いてある。前に紹介した「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」が、著者の子供向けの作品の第1作で、出版されたのは1973年。本書の英国での出版は1975年だから、最初期の作品と言える。まぁ著者は1934年生まれだから、そのころは40代。「若き日」と言うのかどうか、意見の別れるところだけれど。

 物語は主人公の「天狼星シリウス」が被告として出廷する裁判のシーンから始まる。この「シリウス」とは、今の季節に南の低い夜空に輝く星の、あのシリウスのこと。この物語では、夜空の星々がそれぞれに人格を持っている。シリウスは高い階級の「光官」であったが、罪に問われて有罪となり、その罪を償うために地球へ送り出された。犬の姿となって。

 シリウスは記憶も失って、生まれたばかりの子犬となって人生?をやり直す。自分一匹だけで生きていけるはずもなく、いきなり生命の危機を迎えるが、そこを人間の少女キャスリーンに救われる。その後、太陽やら地球やら(もちろん彼ら?にも人格がある)に助けを得て記憶を取り戻し...という物語。

 辛口のユーモアや皮肉が著者の作品の持ち味の一つ。キャスリーンは父親が刑務所に入っている間、親戚の家に預けられている。その親戚がまぁイヤなヤツで、「こんな人子供の本に登場させていいのかな?」という感じなんだけれど、実は「ダメな大人」は著者の作品の定番。それは最初期作品からそうだったわけだ。

 ちなみに、シリウスは英語では「Dog Star」だからシリウスが犬になるのは、言葉遊びというか自然な成り行きでもある。(そういえば、ハリーポッターでもシリウス・ブラックが犬に変身していた)。それから原題の「Dogsbody」は「犬のからだ」だけれど、英語では物語に関連する別の意味もあるそうだ。
 この本の訳者は、以前にコメントをいただいたことのある原島文世さん。上の「ちなみに」以下は、原島さんによる「あとがき」の受け売りだ。ご本人は「読まなくもていい」なんて書かれているけれど、本書を読んだあとに是非「あとがき」を読んで欲しい。本書が一段深く理解できるようになるから。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「星空から来た犬」 固定URL | 1.ファンタジー, 14.ダイアナ・ウィン・ジョーンズ | コメント (3) | トラックバック (0)

2013年2月14日 (木)

王狼たちの戦旗 氷と炎の歌2(上)(下)

著  者:ジョージ・R・R・マーティン 訳:岡部宏之
出版社:早川書房
出版日:2004年11月15日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「七王国の玉座」の続編で、「氷と炎の歌」シリーズの第2弾。このシリーズは中世の英国を思わせる、架空の王国での覇権争いを描いたファンタジー。前作と同じく、本書も約450ページの二段組みの上下巻。シリーズ全体では7部作になるという、長大な物語だ。(ちなみに現在、英語の原書は第5部まで、邦訳は第4部まで刊行されている)

 物語は前作から続いているので、舞台も登場人物もほぼ同じ。王国の最北の地域の領主であるスターク家の王妃ケイトリンとその4人の子どもたち、敵対するラニスター家のティリオン、以前の王家であるターガリエン家のデーナリスらの視点からの物語が順次語られる。

 前作で、王国を統治するロバート王が暗殺され、王の補佐役であったスターク家の当主、エダートも謀反の罪を被せられて処刑される。すぐにロバートの息子が王位を継承したが、ロバートの弟2人と、エダートの息子がそれぞれ王を名乗る。4人の王が並び立ち、王国の勢力図は一気に流動的になる、という状態で本書は始まる。

 この前提だけで十分にややこしいのだけれど、領主たちは婚姻や主従関係によって、複雑な同盟関係にあり、しかも陰謀や裏切りが日常茶飯事で、兄弟姉妹や幼馴染であっても油断はできない。また、ケイトリンの子どもたちはバラバラになり、それぞれの立場で窮地に陥っている。あぁ、こんな入り組んだストーリーを紹介するのは、とてもムリだ。

 こんな紹介では、複雑なことだけが伝わったかもしれない。しかし、複雑な長い物語であるにも関わらず、順番に時間をかけて読めば、作品世界がスッ頭の中に入ってくる。驚きを禁じ得ない。(情報によると次作「剣嵐の大地」は、上中下巻だそうだ。このシリーズとの付き合いは長くなりそうだ)

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「王狼たちの戦旗 氷と炎の歌2(上)(下)」 固定URL | 1.ファンタジー | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月10日 (日)

10分あれば書店に行きなさい

著  者:齋藤孝
出版社:メディアファクトリー
出版日:2012年10月31日 初版第1刷 11月28日 第2刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 テレビでもお馴染みの著者。大学の先生らしい理性的なものでありながら、なかなか気の利いたコメントをされるので、私はけっこう好きだ。さらに、ものすごい数の著書があって、新聞の書評欄や広告、書店でもよく目にするのだけれど、著書を読むのはこれが初めて。

 本書での著者の主張はたった一つ「1日最低10分、必ず書店へ行こう」ということだ。本のタイトルとは少しニュアンスが違う。しかし、本書の中で著者自身の言葉でこう書いてある。

 「それはちょっとムリだろう」と思った方は多いだろう。私もそう思った。しかし、本書の内容を読むと「1日最低10分、必ず」に拘らずとも、「今より頻繁に、できるだけ多く」ということで、大部分はOK。その意味で、本のタイトルの方がうまく表現できているかもしれない。

 その理由は、まず書店は古今東西の「知」の集積だということ。そこは良い刺激を受ける「知的トレーニングの場」になり、潜在能力を引き出す「パワースポット」になり、心を落ち着かせる「癒しの空間」になる。(しかも行くだけならタダ)だからせっせと書店に行きなさい、ということだ。

 内容は、書店に顔を出すメリット、コーナー別の利用法、書店利用の裏ワザ、といったことが、とても丁寧な文章で書かれている。また、随所に著者のおススメの読書法がちりばめられていて、「なるほど」と思うことも多かった。

 第2章「書店はアイデアの宝庫」に、「私たち凡人の抱える問題が、人類史上初の難問ということはまずあり得ない」というくだりある。古今東西の叡智が集積した書店にはその解決のヒントがある、ということなんだけれど、これをそっくりの話が「夢をかなえるゾウ2」に登場する。(齋藤先生がガネーシャだったのかも(笑))

 気になったことを1つ。著者の興味は実用書・時事問題と古典に集中していて、現代の小説には関心が薄いようだ。ベストセラーを読むと「世の中を知ることができる」「人と話を合わせやすい」という、好意的とは言えない微妙なメリットしか認めていない。

 それは著者が「情報を得るもの」としての本を重視しているからだ。「パラッと読むだけでほぼ一冊全体を把握」「一冊を10分から15分でさばく」なんて読み方は、そうでなくてはできない。いや「情報を得るもの」と割り切ったとしても、この読み方には賛否あると思う。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「10分あれば書店に行きなさい」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年2月 6日 (水)

人生が変わる2枚目の名刺

著  者:柳内啓司
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版日:2013年1月11日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 出版社のクロスメディア・パブリッシングさまから献本いただいました。感謝。

 前回の「一流役員が実践している仕事の哲学」の記事で予告した通り、今回紹介する本書は前回の「一流役員が~」と同じ出版社さんからいただいた本で、私はこの2冊の方向性が対照的だと思う。

 本書の著者はTBSテレビの社員で、今は放送局のIT戦略全般に取り組んでいるそうだ。しかし本書は、放送業界ともIT戦略とも、ほぼ関係ない。本書は、著者が実践する「2枚目の名刺を持つ働き方(パラレルキャリア)」の魅力を伝える本なのだ。

 2枚目の名刺、パラレルキャリアとは何か?本業以外に「自分がやりたい活動」をすることだ。例えば著者は、テレビ局の社員である傍ら、合計で年間1000人以上を動員する、ビジネス勉強会や交流会の主催をしている。その他には、広告会社に勤めながらマジシャン、銀行に勤めながらWebアプリケーション開発者、投資ファンドに勤めながら途上国の貧困問題に取り組むNPO法人理事長、といった人たちが紹介されている。

 このように本業とは別の活動をすることで、「収入や生きがいを本業一本に頼るリスクを軽減する」「たくさんの縁が生まれる」「人脈や経験が本業に生かせる」といったメリットがある。本書はこのメリットと、成功のためのヒントなどを、分かりやすい文章で解説する。

 どうだろう?前回の「一流役員が~」の「仕事以外何もできない自分を選ぶ覚悟を持つ」とは、好対照ではないだろうか?「リスク軽減」の一点を考えても、本書の方が時代に合っていると思う。とは言え本書は、「本業で他の人以上に成果を出す」ことを繰り返し強調する。甘くはないのだ。

 私は、「本業以外のキャリア」とは多少違うけれど、仕事以外も充実した暮らしをしたいと思っていた。だからせっかく入った大企業だったけれど、その会社は10年務めて転職した。「役員になる/ならない」とは関係なく、暮らしの多くの時間を仕事に割かれ、その会社では自分の思う暮らしができないと思ったからだ。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「人生が変わる2枚目の名刺」 固定URL | 6.経済・実用書, 7.オピニオン | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年2月 3日 (日)

一流役員が実践している仕事の哲学

著  者:安田正
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版日:2013年1月11日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社のクロスメディア・パブリッシングさまから献本いただいました。感謝。

 今回は同じ日に発行された本を2冊いただいた。どちらも若いビジネスパーソンに向けて書かれた、いわば生き方の指南書。出版社さんがそう意識されたのかどうか分からないけれど、その方向性が対照的なので今回と次回で続けて2冊を紹介したい。

 まず1冊目の本書は、コンサルタントである著者が、これまでに5万人の一般社員と1000人以上の役職者に出会って発見した、数々の法則が披露されている。例えば「接待の翌日、平社員は90%がメールすらしない、部長でも80%の人がお礼を言わない、しかし役員は100%朝7時にお礼メールが来る」といったもの。

 こんな感じで、「平社員は〜、部長は〜、役員は〜」「三流は〜、二流は〜、一流は〜」という項目が、全部で36個並ぶ。お笑いの三段落ちのようなもので、テンポも良くて3つめの「役員」や「一流」では、「なるほど」ときれいにまとまっている。まぁ3つに分けるのに無理を感じるものもないではないけれど、そこは拘るべきではないだろう。

 しかし、最初は面白く読んでいたのだけれど、途中から強い違和感を感じた。その違和感の原因は本書にある次の言葉に端的に現れている「仕事以外何もできない自分を選ぶ覚悟を持つ」。つまり、役員になるためには、休みも夜もなく、生活のすべてを仕事のために(もっと意地悪く言うと「役員になるために」)使うべし、そんな考え方が見えてくる。

 そんな時代遅れな...と思った人もいるだろう。私もそう思う。ただ、ところどころ違和感を感じつつも、個々の「三段落ち」にはコンサルタントとしての著者の観察眼の鋭さを感じるものが多い。書店などで見かけたら手にとってパラパラ見てみるといいだろう。

 最後に。本書を読んで思い出したことがある。今から20年ぐらい前、私が若いビジネスパーソンだった頃。どこかのカリスマ社長が出会った人に必ず礼状を出す、という話を聞いて、私もマネをしたことがある(上の「お礼メール」の話と似ているでしょう?)。何万人も社員がいる大企業の一員だった私は、おぼろげながらも「役員になりたい」と、あの頃は確かに思っていた。

 この話の続きともう1冊の話は次回に... 

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「一流役員が実践している仕事の哲学」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »