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2013年1月23日 (水)

新しい国へ 美しい国へ完全版

著  者:安倍晋三
出版社:文藝春秋
出版日:2013年1月20日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 このブログでこれまでにも何度か言っているけれど、私はテレビなどを見て、その人の考えを知りたいと思ったら、その人が書いた本を読むようにしている。渡邉美樹さんの「もう、国には頼らない。」や、橋下徹さんの「体制維新」などがそう。そして本書の著者は、我が国の内閣総理大臣、安倍晋三さんだ。

 本書は2006年に刊行された「美しい国へ」を改訂し、この度再び政権につくに際して具体的な政策を加えたもの。改訂といっても、著者本人の「まえがき」で「一切手を加えておりません」と書いてあるので、前書のままなのだろう。加えた部分は20ページ足らずで、「具体的な政策」というには余りに分量が少ない。ただ、私は前書を読んでいないし、著者の考えを知るという目的には本書で不足はなかった。

 内容は、第一章が「わたしの原点」として、祖父の岸信介さんや父の安倍晋太郎さんの思い出を交えた、著者が政治家になるまで。第二章は「国家」、第三章は「ナショナリズム」、以下「日米同盟」「アジアと中国」「少子化」「教育」とテーマを据えて、様々な事例や著者の考えが述べられている。

 本書を読んで、憲法改正や自衛隊の国防軍への位置付け、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策、教育改革など、著者の考えのバックボーンがよく分かったように思う。「なるほどそういう経験が、憲法改正への意欲に繋がっているのか」と得心もした。その上で、(安倍さんへの批判ではなく)本書の内容について思ったことを述べようと思う。

 著者が目指す国家像は「自立自助を基本とした助け合い。道義を重んじ、真の豊かさを知る市場主義」ということのようで、これには異論はない。ただ、経済政策については「公共投資を増やす→名目GDPが大きくなる→税収が増える」と読めるのだけれど、これでは俗に言う「タコの足食い」。だからこそ「成長戦略」が必要なのだけれど、ここの部分や他の政策については、分量も少ないこともあって、結果に至る道筋がよく分からない。

 さらに、憲法改正への思いが強いためか、色々な問題が憲法と結び付けて考えられている。第一章では「家族の絆」「地域への愛着」「国に対する思い」が、最終章では「拉致問題」「領土問題」「日米関係」「TPPのような経済問題」が、憲法や集団的自衛権が「原因」や「根っこ」とされている。

 最後に。これは完全に「揚げ足とり」なんだけれど...安倍家のルーツの地には棚田があって、ひとつひとつの棚田に月が映り、息をのむほど美しいそうだ。いわゆる「田毎の月」。しかし、水面は全て水平なので月は1つしか映らない。多分、本当はご覧になったことがないのだろう。

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安倍晋三 『美しい国へ』(文春新書)、読了。 今更感満載でございますが(苦笑)、 まぁ、あまりにも現政権の評判が悪いので、 一昔前の政権のビジョンを覗いてみたくなりました。 現役政治家による...... [続きを読む]

受信: 2013年1月31日 (木) 00時12分

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