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2013年1月

2013年1月30日 (水)

新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている

著  者:荒濱一 高橋学
出版社:光文社
出版日:2013年1月20日
評  価:☆☆☆(説明)

 著者の荒濱さんと高橋さんからいただきました。感謝。

 ちょっとややこしいけれど、まず本書の位置付けから。2007年に「結局「仕組み」を作った人が勝っている」という、本書と同名の本が出ていて、私は、それに続く「やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている」をいただいて読んだことがある。それで本書は、第1弾の内容に、そこで紹介した事例の「5年後の今」を取材して加え、「新版」として文庫化したものだ。

 この本で言う「仕組み」とは、「いったん作ってしまえば、自分がさほど動かなくても自動的に収入を得られるシステム」と定義されている。「そんなうまい話があるわけがない」と思うのが、きっと真面目に働いている多くの人の感じ方だろう。しかし、本書には10人の事例が紹介されている。「誰でもできる」とは言わないけれど、そんな話は「ある」のだ。

 詳しいことは読んでもらうとして、いくつかの事例に共通するのは、「インターネット」「仲介」というキーワードだ。例えば空港周辺の駐車場と利用者を仲介する予約サイト。例えば事業者とビジネスパートナーや投資家を結ぶマッチングサイト。例えば企業に米国の翻訳サービス会社を紹介する仲介ビジネス。
 「インターネット」は、ビジネス立ち上げから維持管理まで、何かとコストを抑えることができる。「仲介」は、自分の時間や能力という制限の撤廃、という重要な要素がある。例えば翻訳の仕事を自分がやれば、仕事量は自ずと限界がある。病気にでもなれば収入はゼロになってしまう。しかし「仲介」なら、提携先と顧客を理屈の上では無制限に増やせる。

 ここまでは、2007年の第1弾でも言えることだ。本書の本当の意味は、新たに加えられた「5年後の今」にある。考えてみれば、これはなかなか勇気がいる企画だ。「5年経ったらみんなダメになってました」では、悪い冗談にもならない。
 ところが「仕組み」が止まってしまったのは1件だけだった(まぁ、だから本書が出版できたのだろうけれど)。それでサブタイトルは「驚異の自動収入システムは今も回り続けていた!」というわけだ。

 読むと自分でも何かやりたくなる。そんな本だ。

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2013年1月27日 (日)

ジョーカー・ゲーム

著  者:柳広司
出版社:角川書店
出版日:2011年6月25日 初版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本書は、2009年に吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞、本屋大賞第3位になった、スパイ・ミステリーだ。

 日中戦争が勃発した昭和12年に、大日本帝国陸軍にスパイ養成学校、通称「D機関」が設立された。そこを統括する結城中佐は、かつてはスパイとして敵国に長年潜伏し、捕縛され拷問を受けるも脱走に成功した経歴を持つ。
 本書は、D機関出身のスパイらを描く短編集。表題作「ジョーカー・ゲーム」の他、「幽霊(ゴースト)」「ロビンソン」「魔都」「XX(ダブルエックス)」の全部で5編を収録。

 「ジョーカー・ゲーム」とは、D機関の学生たちが興じていたゲームのこと。早く言えばルール無用の騙しあいゲーム。例えばポーカーで、第三者の協力者を使って、他のプレイヤーのカードを盗み見てもいい。ただその協力者が、本当に自分に協力しているのかどうかは分からない..まぁ、スパイ活動のシミュレーションなわけだ。

 5編の作品は少しつづ傾向が違ってどれも面白かったが、やはり「ジョーカー・ゲーム」が良かった。「ジョーカー・ゲーム」では、D機関が憲兵隊に偽装して親日家の外国人の家を捜索する。単純な出来事のようで、実は幾重にも陰謀やウソが塗り重ねられた、陸軍参謀本部とD機関がせめぎ合う事件だった、という物語。

 他の作品についても簡単に紹介する。「幽霊」は、外国の総領事への潜入捜査。結末は少しユーモアもある。「ロビンソン」は敵地からの脱出劇。結城中佐の深謀が光る。「魔都」は内通者を探る極秘任務。混乱した上海の街が悲しい。「XX(ダブルエックス)」は二重スパイの捜査。スパイも孤独ではなかった。

 実は作品を読み進めて行くと、結城中佐の人間性に新たな面が見えたり、D機関の学生の面々の心の内が少しわかったりする。なかなかニクイ構成になっている。

※2014.3.6追記
「ジョーカー・ゲーム」が亀梨和也さん主演で映画化され、2015年公開予定です。
映画「ジョーカー・ゲーム」公式サイト

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2013年1月23日 (水)

新しい国へ 美しい国へ完全版

著  者:安倍晋三
出版社:文藝春秋
出版日:2013年1月20日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 このブログでこれまでにも何度か言っているけれど、私はテレビなどを見て、その人の考えを知りたいと思ったら、その人が書いた本を読むようにしている。渡邉美樹さんの「もう、国には頼らない。」や、橋下徹さんの「体制維新」などがそう。そして本書の著者は、我が国の内閣総理大臣、安倍晋三さんだ。

 本書は2006年に刊行された「美しい国へ」を改訂し、この度再び政権につくに際して具体的な政策を加えたもの。改訂といっても、著者本人の「まえがき」で「一切手を加えておりません」と書いてあるので、前書のままなのだろう。加えた部分は20ページ足らずで、「具体的な政策」というには余りに分量が少ない。ただ、私は前書を読んでいないし、著者の考えを知るという目的には本書で不足はなかった。

 内容は、第一章が「わたしの原点」として、祖父の岸信介さんや父の安倍晋太郎さんの思い出を交えた、著者が政治家になるまで。第二章は「国家」、第三章は「ナショナリズム」、以下「日米同盟」「アジアと中国」「少子化」「教育」とテーマを据えて、様々な事例や著者の考えが述べられている。

 本書を読んで、憲法改正や自衛隊の国防軍への位置付け、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策、教育改革など、著者の考えのバックボーンがよく分かったように思う。「なるほどそういう経験が、憲法改正への意欲に繋がっているのか」と得心もした。その上で、(安倍さんへの批判ではなく)本書の内容について思ったことを述べようと思う。

 著者が目指す国家像は「自立自助を基本とした助け合い。道義を重んじ、真の豊かさを知る市場主義」ということのようで、これには異論はない。ただ、経済政策については「公共投資を増やす→名目GDPが大きくなる→税収が増える」と読めるのだけれど、これでは俗に言う「タコの足食い」。だからこそ「成長戦略」が必要なのだけれど、ここの部分や他の政策については、分量も少ないこともあって、結果に至る道筋がよく分からない。

 さらに、憲法改正への思いが強いためか、色々な問題が憲法と結び付けて考えられている。第一章では「家族の絆」「地域への愛着」「国に対する思い」が、最終章では「拉致問題」「領土問題」「日米関係」「TPPのような経済問題」が、憲法や集団的自衛権が「原因」や「根っこ」とされている。

 最後に。これは完全に「揚げ足とり」なんだけれど...安倍家のルーツの地には棚田があって、ひとつひとつの棚田に月が映り、息をのむほど美しいそうだ。いわゆる「田毎の月」。しかし、水面は全て水平なので月は1つしか映らない。多分、本当はご覧になったことがないのだろう。

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2013年1月19日 (土)

おやすみラフマニノフ

著  者:中山七里
出版社:宝島社
出版日:2011年9月20日 第1刷 2013年1月2日 第6刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 2009年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作の「さよならドビュッシー」の続編。(ちなみに「さよならドビュッシー」は、橋本愛さん主演で映画化、1月26日(つまり来週)公開される:映画の「公式サイト」

 続編と言っても、主人公を始めとする登場人物のほとんどが変わる。共通する登場人物はピアニストの岬洋介(実は他にも何人かこっそりと潜んでいる)。このシリーズは、主人公が巻き込まれる事件を、脇役の岬が探偵役として解決するミステリー。だから、主人公も変わるし舞台も変わる。

 今回の舞台は、愛知音大という音楽大学。主人公は4年生でバイオリニストを目指す城戸晶。岬は大学の臨時講師という設定。冒頭の「プレリュード」で、いきなり時価2億円のチェロのストラディバリウスが盗まれる。それも24時間体制で警備・監視されている楽器保管室、つまり完全な「密室」から。

 この衝撃的な「プレリュード」の後、少し時間を遡って、しばらく晶らの学園生活が綴られる。ライバルとの才能の差に打ちひしがれ、就職の悩みに半ば押しつぶされ、それでも音楽を奏でることに一番の喜びを感じる。晶も学費の納入に苦心しながらも練習に励み、定期演奏会のメンバーに選ばれる。そこで冒頭の事件となる。

 ミステリーだから「謎解き」が1つの焦点ではあるのだけれど、本書の場合は「音楽小説」としての魅力の方が大きい。前作のレビューでも書いたけれど、本書からは「音楽」が聞こえて来る。「ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番」と聞いて、何のメロディも思い浮かばない私にも、音楽に身を任せているような感覚が湧く。「言葉」というものの可能性を強く感じる。

 ミステリーファンには物足りないかもしれないけれど、音大生たちの恋愛と友情、悩みと葛藤、反発と承認、青春群像劇の要素もあって良し。

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2013年1月16日 (水)

月に100万稼げる「Amazon輸出」入門

著  者:山村敦
出版社:日本実業出版社
出版日:2013年1月1日 初版発行
評  価:☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 やけに景気のいい、すごいタイトルの本だ。「うまい話がそうそうあるはずがない」という「良心の声」の諫言も虚しく、月に100万稼げる方法があるのなら、是非とも知りたいと思うのが人情というものだ。

 本書の内容の前に、「Amazon輸出」ついて説明する。Amazon輸出とは、同じ商品の日本のAmazonと海外(例えば米国)のAmazonとの価格差を利用した商法だ。価格差の大きい商品を日本のAmazonで購入して、海外のAmazonに出品。それが売れたら商品を梱包して購入者に発送する。価格差が大きいから、送料や手数料のことを差し引いても結構な儲けが出る。

 具体的にはアニメ、フィギュア系が狙い目だという。著者によると、例えば「未来少年コナン」のDVD BOX。日本では1万7140円で、米国では439.98ドル(1ドル88円とすると3万8720円)。著者の純利益は1万2779円になったそうだ。それに、日本のアニメは海外で評判なので「直輸入」の付加価値もあるらしい。

 さて、ここまで聞いて皆さんはどう思っただろう。「面倒くさそうだなぁ」と思った方には、この本は何の役にも立たない。「100万稼げる」とは言っても、「楽して稼げる」とは言ってない。それ相応の面倒なことはあるのだ。「これは面白そうだ」と思った方には、本書は何かしらの有意義な情報となるだろう。

 実は「Amazon輸出」には、さらに面倒なことがある。例えば、海外のAmazonに出品者として登録するだけでも、現地の銀行口座や法人設立やらが必要で、その後も税務申告などが必要になる。しかし、この面倒さにこそ本書の価値がある。本書には、こうした面倒をできるだけ回避する、著者が自ら蓄えたノウハウが満載されている。

 「月100万」は遠くにも見えないとしても、本書は「Amazon輸出」を始める人には、値千金の情報だと思う。(私は早々に「面倒くさそうだなぁ」と思ってしまったけれど)

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2013年1月12日 (土)

禁断の魔術 ガリレオ8

著  者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2012年10月15日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者の人気シリーズ「ガリレオ」シリーズの最新刊。シリーズ5作目の短編集で、「透視す(みとおす)」「曲球る(まがる)」「念波る(おくる)」「猛射つ(うつ)」の4つの短編が収められている。今回は初の全作品書き下ろし。

 「封筒の中の名刺を透視する」「双子の間に通じるテレパシー」「弾丸などの痕跡を残さずに遠くから壁に穴を開ける」などの、超常現象が物語の俎上に上がる。それを天才物理学者の湯川が、科学者としての知識と観察力で解き明かす、というお馴染みの展開。

 ただし、「曲球る」だけは少し趣向が違って、戦力外通告をされたベテランピッチャーを、色々な意味で湯川の知識が救うことになる。その知識が科学の知識だけではないところがにくい。他の作品も含めて、湯川の人間の心の機微を感じ取る感性が、物語に人情味を与えている。

 上に「4つの短編」と書いたが、3編は確かに数十ページ短編だけれど、「猛射つ」は150ページもあって正確には中編。ある事件に湯川が指導した母校の後輩が関わる。息詰まるような緊張感が漂う作品で、本のタイトル「禁断の魔術」もこの作品の中の言葉であるし、まぁ本書のメイン作品と言える。

 科学の研究目的に使えば「実験装置」でも、殺人や破壊に使えば「武器」。科学は容易に「禁断の魔術」になってしまう。それに図らずも関わってしまった湯川は、科学者として重大な決断をすることになる。

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2013年1月 9日 (水)

夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神

著  者:水野敬也
出版社:飛鳥新社
出版日:2012年12月13日第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 2007年に出版された「夢をかなえるゾウ」の続編。本書の帯によると、前書は200万部を超える大ヒットになったそうだ。とにかく面白い本で、私は2008年の「今年読んだ本ランキング」で、「ビジネス・ノンフィクション部門」の1位にしている。

 5年余りして出版された続編の本書は、前書とほぼ同じ趣向。つまり、ゾウの顔をしたヒンドゥー教の神のガネーシャが、芽が出ないでウツウツとしている若者を、成功へと導く。その方法が、ほとんど悪ふざけとしか思えないのだけれど、よくよく考えれば「真理」が隠されていることに気が付く。

 今回の主人公、つまりウツウツとしている若者は、34歳で芸歴8年の売れないピン芸人の勤太郎。サラリーマンを辞して芸人の世界に飛び込んだが、8年経っても「新人発掘ライブ」にしか出られない。年下の先輩芸人からは「サラリーマンに戻った方がいいんじゃねぇの?」と言われる始末。
 そんな勤太郎の前にガネーシャが現れ、なんとコンビを組んで、日本最大のお笑いの祭典「ゴッド・オブ・コント」で優勝を目指すと言う。と言っても、ガネーシャのやることは無責任でいい加減、勤太郎がひとり苦労する。そこに、実は8年前から勤太郎の部屋にいたという貧乏神の幸子さんや、ガネーシャの友だちの釈迦らが絡んで、勤太郎の生活はさらに混乱...

 上に書いたように、前書とほぼ同じ趣向だ。ガネーシャのいい加減さも、それに翻弄される主人公の混乱も、全体のハチャメチャ具合も良く似ている。しかし、前書のようには支持されないだろう。前書にあって本書にないものがあって、それが多分決定的な違いになっていると感じる。

 それは「ガネーシャの課題」だ。前書には全部で30近くある章ごとに「靴をみがく」「コンビニでお釣りを募金する」といった課題があって、それがなかなか的を射た「成功の秘訣」になっていた。実践すれば自分も成功(成長)できるのでは?と思えたのが、大ヒットの理由だと思う。
 本書にはそういったものはない(物語の中から読み取ればないことはないのだけれど)。「自分の役に立ちそう」という気持ちにならない。「面白くてちょっとホロッとさせる話」ではあるけれど、それ以上のものがないのが残念だ。

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2013年1月 5日 (土)

デイルマーク王国史4 時の彼方の王冠

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:三辺律子
出版社:東京創元社
出版日:2005年3月25日 初版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「詩人たちの旅」「聖なる島々へ」「呪文の織り手」に続く、デイルマーク王国史4部作の第4作、つまり本書にてシリーズは完結。

 第1作2作は、王が不在となって領主たちが南北に分かれて争う同じ時代の物語で、第3作はずっと時代を遡ってデイルマーク王国が誕生する前、言わば神話の時代の物語だった。そして本書は再び第1作2作の時代へと戻る。

 主人公はメイウェン。13歳の女の子。何と200年後の「現代」から、物語の時代へ送り込まれる。そこで「唯一の者」の娘で、王国を再統一すると言われている少女、ノレスの身代わりとして、正統を示す王冠を求める旅をすることになる。
 その旅に同行するのが、メイウェンを過去に送った張本人のウェンドと、第1作に登場する詩人のヘステファンとモリル、第2作に登場するネイヴィスとミット、の5人。さらに、第3作に登場したタナクィらが姿と名前を変えて現れる。

 メイウェンを除く登場人物にはそれぞれ、これまでの物語に加えて、その後の経緯によって背負うことになった背景と思惑がある。その思惑の違いが旅の雰囲気に微妙な緊張感を生む。さらに、第3作の登場人物たちの「不死なる者」としての意思が絡んでくる。
 また、メイウェンが知る歴史では、この後はアミルという大王が登場して国を興すことになっている。その王はどこで登場するのか?そしてノレスという名は歴史に残っていないけれど、彼女は(つまりメイウェンは)どうなってしまったのか?目が離せない。

 読み終わって、これまでの3作は本書のためにあったと分かる。逆に、本書によってこれまでの3作が生きる。「現代」「物語の時代」「神話の時代」、これまでに描いてきた物語の、悠久の時間の流れを1か所に注ぎ込んだ、正に掉尾を飾る作品だった。

 シリーズ名の「デイルマーク王国史」の英語の原題は、Dalemark Quartet(デイルマーク四重奏)。つまり、この4作品は互いに響きあう関係になっている。前3作と本書には、実に細かい繋がりがいくつもある。それなしでも充分に面白いのだけれど、もしその繋がりを楽しみたければ、間をおかずに4作を読んだ方がいいと思う。

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2013年1月 1日 (火)

あけましておめでとうございます。

 皆さん、あけましておめでとうございます。

 昨年は、このブログを始めてから10年の節目を迎えることができました。また、3年連続で1年に100作品以上の紹介をすることができました。細々とはいろいろなことがありましたが、基本的には暮らしが安定していたからこそ続けて来れたわけで、そのことは本当にありがたく思っています。

 これからも1週間、1カ月、1年を積み重ねてできるだけ長く続けて行きたいと思っています。次なる目標は1000作品紹介(現在652作品)、それを目指して精進して行きます。

 それでは、今年が、皆さんにとって良い年でありますように。

 
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