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2012年10月17日 (水)

左京区七夕通東入ル

著  者:瀧羽麻子
出版社:小学館
出版日:2012年4月11日 初版第1刷発行 7月10日 第3刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 京都の大学生の物語。娘から、この本を読んで「京都の大学に行きたい!」って思った友達がいる、という話を聞いて手に取ってみた。京都の大学生モノと言えば、森見登美彦さんの作品が思い浮かぶ。ただし、あちらは腐れ男子大学生で、こちらはおしゃれな女子大学生の物語だ。

 主人公は、文学部の4回生の花。試験の日の朝、朝食のヨーグルトに入れるブルーベリーをこぼして白いシャツを汚してしまう。他の服を探すもしっくりくる服が見つからない。「こういうけちの付いた日には、気分を変えてちゃんとおしゃれしたほうがいい」と、選んだのが花柄のワンピース。

 このワンピースのおかげで、花は理学部の龍彦と巡り合う。龍彦は数学科の学生で、数学の話をするとき以外は、愛想がない、というか数学の話題しか話せない。それに対して花は、それを「算数」と呼んでいたころから苦手。彼の何がいいのかさっぱりわからない。しかしドンドンと彼に魅かれていく。

 本書は、こんな感じで始まった花の「恋バナ」だ。花はおしゃれな女の子で、これまでにも何人かと付き合い、親切にしてくれる男友達もいる。そんな幸せなキャンパスライフを送る女子大生の、恋バナを読んで面白いのか?という疑問が湧くが、これがけっこう面白かった。

 まぁ花と龍彦だけでは「勝手にやってくれ」という感じになってしまうが、脇を固める龍彦や花の友だちがいい味をだしている。龍彦の友だちは、専門分野が大腸菌とか爆薬とか遺伝子とかで、偏見を承知で言えば龍彦の数学以上に全く女性の興味を引かない。その彼らが本当に愛すべきいいヤツなのだ。
 その意味では、冒頭に引き合いに出した森見作品と通じるものがある。本書は、森見作品と同じ世界を、女子大学生の視点から描いている(恋する乙女の視点なので、かなり浄化されて清潔に映っているが)と言えば分ってもらえるだろうか。

 最後に。本書を読んで思い出したことがある。ずいぶん以前に「卵のふわふわ」という本の記事に、「女性に都合のよい展開で、世の男性にとってはどうなのか?」というコメントをいただいた。本書もまさに、花にとって都合の良い展開と言える。
 そして、先ごろのコメントに対する私の答えは「器量のいい女性に都合が良い話は好きというか許せるんです。カッコいい男がモテたり都合よく成功する話よりはずっと。」だった。今も同じ気持ちだ。

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受信: 2012年12月19日 (水) 00時11分

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