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2012年9月 8日 (土)

空飛ぶ広報室

著  者:有川浩
出版社:幻冬舎
出版日:2012年7月25日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者の最新刊。著者は、デビュー作「塩の街」を含む初期作品「自衛隊三部作」以来、「自衛隊・ミリタリー+恋愛」を描いた作品を多く世に出している。本書は2008年の「ラブコメ今昔」以来、久々にその系譜に連なる作品。

 舞台は航空自衛隊の広報室(正確には「航空自衛隊航空幕僚監部広報室」)。主人公は空井大祐、29歳、元戦闘機パイロット。「元」と付いているのは、今は違うからだ。子どもの頃からブルーインパルスのパイロットになりたかった。そして、その夢の入り口である戦闘機パイロットにたどり着いたその時、交通事故に遭い夢への道を閉ざされたのだ。

 上に書いた主人公の紹介は、本書冒頭、第1章に入る前に明らかにされている。事実だけをあっさりと記してあるだけだけれど、彼が心に抱えた物(あるいは失った物)は大きいことが想像される。物語の滑り出しの頃の彼の朗らかさも、却ってそれを感じさせる。彼の心の再生はどうしたら成るのか?それが、本書の1つ目のテーマだ。

 「1つ目のテーマ」があるのだから、2つ目3つ目もある。もちろんラブロマンスはある。主人公ともう1組のカップルの、例によって素直じゃない恋愛。その他には、先輩後輩と階級が入り組んだ複雑な想い、極端な男性社会の中での女性自衛官、自衛隊とその広報活動の有りよう。そしてマスコミや世間の「悪意」を刺すことも忘れていない。

 「あとがき」によると、本書は航空自衛隊からの働きかけが企画の発端だそうだ。本書舞台である広報室の働きを地で行く展開となったわけだ。著者は多くの人の話を聞いて、多くのドラマと着想を得た。それを460ページの大部の物語として結実させた。

 有川ファンにはもちろん、そうでなくてもエンタテイメント作品としてとても面白い。本書を読めば自衛隊の見方も変わるだろう。本書にも登場する「自衛隊への嫌悪」に凝り固まった人には、違った感じ方があるだろうけれど、これは、航空自衛隊広報部の大ファインプレイだと思う。

(2013.4.10 追記)
新垣結衣さん主演でテレビドラマ化されるそうです。4月14日(日)から夜9時、TBS「日曜劇場」
日曜劇場「空飛ぶ広報室」公式サイト

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受信: 2013年1月22日 (火) 07時40分

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