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2012年7月11日 (水)

十字軍物語2

著  者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2011年3月25日発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「絵で見る十字軍物語」「十字軍物語1」に続く、「十字軍物語」シリーズ4部作の第3弾。物語は、前作で1099年にイェルサレムの「解放」に成功した、第一次十字軍の立役者たちが世を去って、十字軍第二世代とも言えるボードワン2世がイェルサレム王に即位した、1118年から始まる。

 歴史年表を追うとこの後、1144年:イスラム世界の巻き返しによってエデッサ陥落、1146年:エデッサ陥落に危機感を強めたキリスト教世界が第二次十字軍を結成、1148年:第二次十字軍ダマスカス攻略に失敗、1174年:サラディンがスルタンに、1187年:イェルサレム陥落、となる。

 つまり本書は、1118年から1187年の約70年間の、中東の十字軍国家の歴史を物語る。普通に考えれば、出来事を1つ1つ綴っていけば「十字軍物語」にはなる。しかし、著者はそうしない。著者の関心は、歴史年表の出来事と出来事の間にまで及ぶ。

 例えば、1099年の第一次十字軍のイェルサレム解放から、1144年のエデッサの陥落まではどうだったのか、という観点だ。第一次十字軍はイェルサレム解放という「成功」によって解散、多くの将兵はヨーロッパに帰還してしまっている。つまり十字軍国家は、地中海にへばりついてイスラム世界に囲まれて、圧倒的な寡兵でこの40数年を過ごしている。なぜこんなことが可能だったのか?気になりませんか?というわけだ。

 歴史の勉強はどうしても出来事に注目してしまう。間が30年空いていようと40年空いていようと、そんなことを気にしてはいられない(むしろラッキーだ(笑))。でも、当たり前のことだけれどその間も人々は暮らしている。その暮らしを、宗教の対立、経済活動、築城技術、女性の政治介入、など様々な方向から光を当てて描く。著者にしか書けない「十字軍物語」だと思う。

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