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2012年7月14日 (土)

木暮荘物語

著  者:三浦しをん
出版社:祥伝社
出版日:2010年11月10日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 祥伝社の「Feel Love」という小説季刊誌に掲載された連作短編7編を収録。ちなみに「Feel Love」のキャッチコピーは「100%恋愛小説誌」。

 著者の作品は最新刊の「舟を編む」をはじめとして、「風が強く吹いている」「神去なあなあ日常」「仏果を得ず」と、他人にもおススメできる爽やかな作品が沢山ある。しかし本書は、他人におススメするのは微妙な、なんとも評し難い作品だった。70歳を過ぎた男性がデリヘル嬢を呼ぶ物語を、どんな顔をして薦めればいいのだ?

 もちろんこの男性の話は7編あるうちの1編にすぎない。しかし他の短編も、柱に〇〇〇(←自粛)の形のものがはえてくるとか、階下の部屋を覗くとか、道を外れた感じの物語が並んでいる。そう言えば、「きみはポラリス」も「普通ではない」恋愛短編集だった。著者が描くと「恋愛」はこんなにバリエーション豊かになるのだ。

 舞台の中心は、小田急線世田谷代田駅近くにある、木造二階建ての古ぼけたアパート「木暮荘」。住人は、大家の木暮、花屋に勤める坂田、外食チェーンの社員の神崎、女子大生の光子の4人。彼らと彼らを取り巻く関係者が順番に物語の主人公になる。

 上に書いたことで何となく分かるかと思うが、語られているのは主人公たちの「性」にまつわる物語。それもちょっと変化球。部分的にはエロ小説かと思う場面もあるが、読み終わって振り返えると別の思いが残っている。東京の私鉄沿線の、真面目で(はないかもしれないけれど)善人の人々の暮らしが、切なく慎ましく微笑ましい。

※著者の最新作で本屋大賞受賞作品「舟を編む」の映画化が決まったそうです。
 主演は松田龍平さん、共演は宮崎あおいさん。宮崎あおいさんは、「天地明察(2010年大賞」「神様のカルテ(2010年2位)」に続いての本屋大賞作品でのヒロイン役。(ついでに「陰日向に咲く(2007年8位)も)本屋大賞女優と言って差し支えないでしょう。

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コメント

YO-SHIさん、はじめまして。大阪は高槻に住んでる田中かわずといいます。58才です。
それにしてもすごい読書量ですね。
その昔、あれこれ文章を書いていたときに、ある編集者に「物書きになるためには、より多く読むべきか、より多く書くべきか」尋ねたところ、即座に「より多く読むべし」との答えが返ってきたことがあります。
その言を守らなかった私は、今こうしてここに沈没。
ところで、確か、男と女を書かないで成功した日本人作家はただ一人。その名は城山三郎。と石原慎太郎がいってたような気がする。川端康成はあのギョロ目で、電車内で舐めるように女をみていたとも。
また、ところで、よしさんのカテゴリーにある作家の本で読んだことがあるのは、有川浩の「阪急電車」だけ。愕然としますね。
また、また、ところで、よしさんは時代小説はあんまり読まないんですか? 私は藤沢周平の市井物が好きでね。
最後にポチっと応援。
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また、遊びにきます。
では、また。

投稿: 田中かわず | 2012年7月15日 (日) 08時39分

田中かわずさん、コメントありがとうございます。

時代小説は読まない、ということはないのですが、確かに割合は少ないですね。
好きな作家さんの新刊と話題の本を読むことが多く「名作」に手が回らない、
ということが一因かもしれません。

投稿: YO-SHI | 2012年7月15日 (日) 23時12分

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「木暮荘物語」は東京の住宅地にある古い木造アパート、木暮荘に住む人々の物語。と、こうやって書くと、ハートフルでほっこりとした人情物っぽく思われますが、中身はまったく違います。三浦しをんさんの作品はタイトルのイメージと中身がまったく違っていてよく騙されます。 でもそういった作品ほど面白いんです。「こうきたか!」って感じで。どこにでもいるフツーの人々の、誰にも言えないフツーじゃない「裏側」。一歩間違うとドロドロになりそうな題材を、さらりとした筆致で描いていて、傍から見るとしょーもない性の悩みを抱く人々... [続きを読む]

受信: 2012年7月14日 (土) 22時28分

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