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2012年5月13日 (日)

デイルマーク王国史3 呪文の織り手

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:三辺律子
出版社:東京創元社
出版日:2004年11月26日 初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「詩人たちの旅」「聖なる島々へ」に続く、デイルマーク王国史4部作の第3作。これまでの2作とちがって、本書はデイルマーク王国が誕生する前の物語。いわば「デイルマーク王国前史」だ。

 主人公はタナクィという名の少女。デイルマークが「川の国」と呼ばれていたころの、シェリングという村に住む5人兄弟の四番目。機織りが得意で、織物の中に言葉を織り込むことができる。本書は、タナクィがローブに織り込んだ物語、という設定。

 異教徒のヒーザンとの戦いに、シェリングの男たちも、国王の求めに(自分たちが「国」に属しているという意識もあまりなかったが)応じる。その戦争で、タナクィの父は亡くなり、長兄のガルは精神を病んで戻ってくる。
 悲しい出来事はそれで終わりではなく、5兄弟はシェリングの人々から迫害を受ける。それは彼らがシェリングの他の人々とは違った容姿をしていたからだ。なんと、彼らはヒーザンの者たちとそっくりだった。

 物語はこの後、シェリングを脱出した5兄弟の苦難の旅を綴る。基本的には助け合いながらも、始終反発と喧嘩が絶えない。無理もない。長姉のロビンがまだ未婚なのだから、タナクィたちはまだほんの子どもなのに、不自由な逃亡生活を強いられているのだから。

 旅の中で、自分たちの由来と使命、信仰する「不死なる者」の本当の意味などに、ひとつひとつ扉を開けるように気付いていく。そして最後に決戦の時を迎える。

 デイルマーク王国史のこれまでの2作とも、著者の他の作品とも違った雰囲気の作品だった。人間の生死や、人間と自然と神々などの境界が混沌とした世界。「川」は、自然でもあり神でもあり誰かでもあるのだ。

 巻末に「デイルマーク用語集」が付いている。読み飛ばしてしまわず、目を通そう。この物語の位置付けが少し明瞭になる。さらに「解説」によると「さりげなく最終巻の予告編」になっているそうだ。

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