« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年5月

2012年5月31日 (木)

神様のカルテ2

著  者:夏川草介
出版社:小学館
出版日:2010年10月3日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 著者のデビュー作にしてベストセラーの「神様のカルテ」の続編。前作は、昨年の8月に映画化されている。本の方は、映画公開の時点で「150万部突破」と言っているから、すごい売れ方だ。本書も2010年の発売後4か月で70万部というから、恐らく100万部オーバーなのだろう。

 主人公は、栗原一止(いちと)。松本市にある民間病院の内科のお医者さん。主な登場人物は、一止の妻のハルと、病院の医師や看護師らで、前作とほぼ同じ面々が顔を揃える中、病院に新しく医師の進藤辰也が赴任してきた。辰也は、なんと一止の医学部時代の(数少ない)友人の一人だった。

 一止が務める病院は、「24時間、365日対応」という理念を掲げる。だから昼夜なくものすごく忙しい。患者のために..という理想はあっても、医師も医師である前に人間。妻や子どもと、患者や理想との間で綱渡りを余儀なくされるし、何より自分自身の健康を損ねかねない。

 物語は、こうした医療の現場のテーマを、辰也を登場させて「(医師である前に)僕たちは人間なんだぞ」と言わせることで、改めて浮き上がらせてみせる。さらに、人の生死については、厳然とした限界があり、医師の「負け戦」もある。その「負け戦」の中で読者は、違った意味の「医師である前に人間」という声を再び聞くことになる。

 泣き所が随所にあるので、涙腺が弱い方は注意。そして、爆笑を誘うコメントやシーンも、全く前触れなしに潜んでいるので、人前で読むときにはそれも注意。

 最後に。前作のレビューにも書いたのだけれど、私は「死」を「感動」につなげることには否定的な意見を持っている。しかし、この物語については否定的なことを言うまいと思う。理由は上手く言えないけれど、医師でもある著者の「死」への想いが伝わって来るからかもしれない。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「神様のカルテ2」 固定URL | 2.小説 | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年5月26日 (土)

ポケット名言集「小さな人生論」

著  者:藤尾秀昭
出版社:致知出版社
出版日:2012年5月25日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社の致知出版社さまから献本いただきました。感謝。

 致知出版社は「人間学」をテーマとした「致知」という、今年創刊34周年を迎える月刊誌を発行している出版社。「致知」のインタビュー・対談記事を再掲した「人間学入門」という雑誌をいただいて、今年の新年早々に読んだことがある。

 本書について順を追って説明をする。「致知」は、各界各分野の先達を取材し、その体験談などを紹介している。著者は創刊以来この雑誌の編集に携わり、10年ほど前から特集テーマを概括する一文を書いてきた。その一文をまとめた書籍、「小さな人生論」は読者の支持を得てシリーズ5巻になる。本書は、そのシリーズ5巻から特に心に残る言葉を選び出したものだ。

 「名言」と聞くと、古今東西の先達たちの「キラリと光る」言葉、というイメージがある。その点、著者自身の文章の抜粋をまとめたものを、「名言集」としたことには違和感がある。しかし、30数年間も先達の言葉を聞き、その紹介をしてきた著者にとっては、自身が書いた文章であっても、それは「先達たちの言葉」を伝えたものなのだろう。

 「人間学入門」の記事にも書いたし、その後もたびたび同様のことを書いたが、ある言葉が心に響くのは、ちょうどその言葉を欲していた時だったからだ、とも言える。特に名言・金言はそうしたものだろう。そのタイミングはいつ来るか分からない。ポケットサイズに収められた本書は、手元に置いて読み返せるように、という配慮の表れなのだろう。

 私は、まだ一読したところだけれど、いくつかの言葉は心に残った。特に「松陰の気概」という項目の次の一文に深く自省した。「あなたはあなたのいる場を高めているだろうか。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「ポケット名言集「小さな人生論」」 固定URL | 9.その他 | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年5月23日 (水)

日本でいちばん大切にしたい会社

著  者:坂本光司
出版社:あさ出版
出版日:2008年4月1日 第1刷発行 2011年4月5日 第62刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 電子書籍の総合ストア「PuBooks」さまから、電子書籍で献本いただきました。感謝。

 著者は、法政大学の先生で中小企業経営論や地域経済論を専門としている。フィールドワークを重視する研究者のようで、これまでに優に6000社を超える企業を訪問している。本書は、その6000余社の中から、著者が「日本でいちばん大切にしたい」と思う、日本理化学工業、伊那食品工業、中村ブレイス、柳月、杉山フルーツの5社と、その他に参考となる9社を紹介した本。

 紹介されている企業は、いずれもこの不景気にあって増収や増益を続けている。そういった企業には「成功の秘訣」があって、それを経営者に取材して「企業経営成功のポイント」的にまとめた本や雑誌の記事は数多くある。(私もその手の仕事に携わっていたことがある)。しかし本書は、それらとは一線を画する。「大切にしたい」という気持ちは「成功」だけに向けられるものではないからだ。

 著者が「大切にしたい」と思う企業とはどんな会社なのか?それは読み始めてすぐの「会社経営とは「五人に対する使命と責任」を果たすための活動」という節を読むと分かる。「五人」とは、「社員とその家族」「外注先(下請企業)」「顧客」「地域社会」「株主、出資者」のこと。優先順位もこの順。こういう経営をして成功している会社を「大切にしたい」と言っているのだ。

 著者が考えるあるべき会社経営は、「お客様第一」という日本の伝統的経営感とも、「企業は株主のもの」という欧米の価値観とも違う。だから新鮮であると同時に違和感を感じる人もいるだろう。私のように経営を少し聞きかじった者は特にそうだ。しかし本書を読めば「なるほどその通りだ」と思う。

 日本を代表する大企業の幾つかは、下請けを締め付け、派遣切りを行い、しわ寄せを社員が被る、という犠牲の上で業績を回復させている。それに比べて本書に紹介されている企業は、社員に愛され、外注先や顧客に感謝され、地域の人々が誇りに思っている。どちらが本当の成功で、どちらを大切にしたいかは明白だ。

 最後に。成功事例を読むと「そんなにうまく行きっこないよ」という思いが顔を出すことがある。うまく行かなかった経験があれば、なおさらそう思ってしまう。でも、その思いは乗り越えないと、得られるものも得られなくなってしまう。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「日本でいちばん大切にしたい会社」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月19日 (土)

課長のスマホ術

著  者:武井一巳
出版社:実務教育出版
出版日:2012年5月5日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 「いまや、スマートフォンを仕事に使いこなせない課長は、ビジネス現場の苛烈な競争にも生き残れない」これは本書の「はじめに」の冒頭の一文だ。なんとも大変な時代になったものだ。この本を読んで何とか世の中に追いつこうとする、課長さんたちが目に浮かんで気の毒に思えてきた。

 「スマホでこのアプリを使えばこんなことができる(それでライバルに差をつけよう)」という項目が全部で100個。よくまぁこれだけ揃えたものだと思う。この本の執筆のために著者は、2500本以上のアプリを試してみたそうだ。

 たとえば「できる課長はGmailアプリを使いこなす」とういう項目。会社のメールをGmailに送ってスマホで受け取れば、いつでもどこでもメールの送受信ができる。会社ではデスクの上のパソコン、出先や家ではスマホという使い分けも可能。24時間臨戦態勢、というわけだ。

 本書の「スマホ術」を大きく分けると2つになる。一つは、地図や路線や天気予報をはじめとした「情報の入手」。もう一つは、GoogleやEvernoteなどのクラウドサービスを利用した「情報を保存・共有」。共通するキーワードは「いつでもどこでも」だ。

 実は私は本書を、新幹線の自由席車両の通路に立って読んだ。結構ハデめの表紙が目を引くのか、チラチラとこちらを見る人がいる。そこでハタと気が付いた。私は「課長」ではないけれど、ちょうどそのぐらいの世代だ。痛々しく気の毒に見えたかもしれない。(その後、そっとカバーを外しました。)

 この後は書評ではなく、この本を読んで思ったことを書いています。お付き合いいただける方はどうぞ

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

続きを読む "課長のスマホ術"

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「課長のスマホ術」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月16日 (水)

謎手本忠臣蔵(上)(下)

著  者:加藤廣
出版社:新潮社
出版日:2008年10月30日
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「信長の棺」でデビューした著者の4作目。「信長の棺」では、「こうだったかも知れない」という信長の死の真相を描いてみせてくれた。本書でも「忠臣蔵」として知られる、赤穂浪士討ち入り事件の(こうだったかも知れない)真相を、史料の検証と仮説を基に描き出している。

 「忠臣蔵」と言えば、かつてはテレビドラマの鉄板と言われていて、年末にはどこかの局で必ずやっていた。それぞれの番組オリジナルの趣向はあるのだけれど、大筋は同じ。松の廊下の刃傷事件から、討ち入り・本懐に至るストーリーは、すでに頭に入ってる。正直言って「今さら感」はある。著者の作品でなかったら手に取ったかどうか分からない。

 物語は、将軍綱吉の御側用人筆頭の柳沢保明(後の吉保)と、浅野家国家老の大石内蔵助の2人を主人公として、事件を2つの方向から描く。敢えて言えば、内蔵助を主人公にした章の「正統派の物語」を、保明を主人公にした章が「新たな光」で照らす、と言った趣向になっている。

 「新たな光」がどんなものなのかは、本書の肝になるので読んでもらうしかない。本書には他にも魅力がある。それは、多彩な登場人物と物語の細やかな描写だ。主人公2人の他に、将軍綱吉、赤穂の浪士たち、保明が放つ忍び、等々の個性がくっきりと描かれている(「天使明察」の主人公の渋川春海も登場する)

 また「大筋は同じ」なら細部で違いが出る。浪士たちは浪々の身で討ち入りの装束をどうやって調達したのか?討ち入りの後、浪士たちは本所の吉良邸から泉岳寺まで江戸の街を横断しているけれど、犯罪者の身でどうしてそんなことができたのか?こんな細部に目が行き届いている。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「謎手本忠臣蔵(上)(下)」 固定URL | 2.小説 | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年5月15日 (火)

一番好きな〇〇さんの作品は?

 人気ブログランキングの「投票」機能を使って、2年ほど前に何人かの作家さんの作品の人気投票を作りました。作ったあとしばらくは、ときどき結果を覗いていたんですが、その後は放置状態でした。(投票してくださった方、本当に申し訳ありません)

 それで、先日久しぶりに確認してみると、けっこうたくさんの投票をいただいているではありませんか。例えば、右の「一番好きな森見登美彦さんの作品は?」は、この記事を書いた時点で、138人も投票いただいてました。とても申し訳なく、もったいないことをしているように思ったので、ご紹介することにしました。

 そして(これもこの記事を書いた時点では)、第1位は「夜は短し歩けよ乙女」(45票)、第2位は「四畳半神話大系」(31票)です。(「結果を見る」をクリックしていただければ、現在の投票結果が分かります)

 投票を一度作ると、選択肢を追加・変更できないので、新しい作品が入れられないことが、少し残念です。 
 

<その他の投票(第1位はこの記事を書いた時点の結果です)>

 「一番好きな万城目学さんの作品は?」 ← 第1位は「鴨川ホルモー
 「一番好きな上橋菜穂子さんの作品は?」 ← 第1位は「獣の奏者
 「一番好きな伊坂作品は?(2008年~)」 ← 第1位は「オー! ファーザー
 「一番好きな伊坂作品は?(~2007年)」 ← 第1位は「ゴールデンスランバー
 

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「一番好きな〇〇さんの作品は?」 固定URL | | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月13日 (日)

デイルマーク王国史3 呪文の織り手

著  者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:三辺律子
出版社:東京創元社
出版日:2004年11月26日 初版
評  価:☆☆☆(説明)

 「詩人たちの旅」「聖なる島々へ」に続く、デイルマーク王国史4部作の第3作。これまでの2作とちがって、本書はデイルマーク王国が誕生する前の物語。いわば「デイルマーク王国前史」だ。

 主人公はタナクィという名の少女。デイルマークが「川の国」と呼ばれていたころの、シェリングという村に住む5人兄弟の四番目。機織りが得意で、織物の中に言葉を織り込むことができる。本書は、タナクィがローブに織り込んだ物語、という設定。

 異教徒のヒーザンとの戦いに、シェリングの男たちも、国王の求めに(自分たちが「国」に属しているという意識もあまりなかったが)応じる。その戦争で、タナクィの父は亡くなり、長兄のガルは精神を病んで戻ってくる。
 悲しい出来事はそれで終わりではなく、5兄弟はシェリングの人々から迫害を受ける。それは彼らがシェリングの他の人々とは違った容姿をしていたからだ。なんと、彼らはヒーザンの者たちとそっくりだった。

 物語はこの後、シェリングを脱出した5兄弟の苦難の旅を綴る。基本的には助け合いながらも、始終反発と喧嘩が絶えない。無理もない。長姉のロビンがまだ未婚なのだから、タナクィたちはまだほんの子どもなのに、不自由な逃亡生活を強いられているのだから。

 旅の中で、自分たちの由来と使命、信仰する「不死なる者」の本当の意味などに、ひとつひとつ扉を開けるように気付いていく。そして最後に決戦の時を迎える。

 デイルマーク王国史のこれまでの2作とも、著者の他の作品とも違った雰囲気の作品だった。人間の生死や、人間と自然と神々などの境界が混沌とした世界。「川」は、自然でもあり神でもあり誰かでもあるのだ。

 巻末に「デイルマーク用語集」が付いている。読み飛ばしてしまわず、目を通そう。この物語の位置付けが少し明瞭になる。さらに「解説」によると「さりげなく最終巻の予告編」になっているそうだ。

 にほんブログ村「ファンタジー」ブログコミュニティへ
 (ファンタジー小説についてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「デイルマーク王国史3 呪文の織り手」 固定URL | 1.ファンタジー, 14.ダイアナ・ウィン・ジョーンズ | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 9日 (水)

PK

著  者:伊坂幸太郎
出版社:講談社
出版日:2012年3月7日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

  「伊坂さん、ありがとう」 この本は、私が「読みたい」と常々思っていたタイプの「伊坂作品」だった。著者が「ゴールデンスランバー」以降、それまでの「伊坂幸太郎らしさ」を、敢えて崩していることは周知のことだ。ただ、例えば「マリアビートル」のように、時々「らしい作品」を発表してくれる。本書もそんな作品。

 「PK」「超人」「密使」のそれぞれ70ページほどの3つの中編が収録されている。それぞれ独立した物語なのだけれど、登場人物やエピソードに共通のものがあり、緩やかにつながっている。「目に見えない巨大な力にひとりの人間が試される」というテーマも共通している。

 表題作のタイトルの「PK」は、サッカーの「ペナルティーキック」のこと。ワールドカップ予選で、日本のエースが蹴ったPKにまつわる謎。その謎に関係する幾つかの物語が、入れ替わり立ち替わりしながら進む。そして明らかになる驚きの事実、技ありの結末。

 巧みな伏線が著者の作品の人気の理由の1つだと私は思う。それに対して、著者は「文藝別冊[総特集]伊坂幸太郎」で、「物語の風呂敷を敢えて畳まないことにチャレンジしている」とおっしゃっている。その結果が、この記事の冒頭に書いた「伊坂幸太郎らしさを敢えて崩す」ことになっているのだけれど、本書は結構きっちりと風呂敷が畳まれている。

 また「サンデー毎日(2012.4.15)」に著者のインタビュー記事が載っていた。表紙に描かれたドミノの絵について、本書は「うまく倒れないドミノを描いてみたつもりです」と答えている。なるほど。

 コンプリート継続中!(単行本として出版されたアンソロジー以外の作品)
 「伊坂幸太郎」カテゴリー

 人気ブログランキング投票「一番好きな伊坂作品は?(~2007年)」
 人気ブログランキング投票「一番好きな伊坂作品は?(2008年~)」
 (あなたの好きな伊坂作品の投票をお待ちしています。)
 にほんブログ村「伊坂幸太郎が好き!」ブログコミュニティへ
 (伊坂幸太郎さんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「PK」 固定URL | 3.ミステリー, 31.伊坂幸太郎 | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 5日 (土)

動きたくて眠れなくなる

著  者:池田貴将
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2012年4月15日 初版発行
評  価:☆☆☆(説明)

 出版社のサンクチュアリ出版さまから献本いただきました。感謝。

 著者のプロフィールの初めの段落に「アンソニー・ロビンズ直伝トレーナー」とある。アンソニー・ロビンズは、米国を始め各国の首脳らを含む世界のセレブを顧客に持つ、世界No.1コーチと呼ばれているコンサルタント。その人から直接指導を受けた、ということが大きな意味を持つようだ。

 自分の行動は自分の考えで決めている。でも実際に行動するかどうかも、うまくいくかどうかさえ、結局そのときの「感情」次第。ならばその「感情」をコントロールすることで、自分が望む方向へ自分自身を動かしていこう、というのが本書の基礎となる考えだ。

 「意味づけを変える」「感情は質問で変わる」「思い込みに気づく」など、全部で29個の項目について、如何に自分(相手)の感情を、よりよい方向に持って行くかが解説されている。著者が「実生活に使えそうなものだけを選りすぐった」というだけあって、即実行できそうなものが並ぶ。「あれもこれも」感があるが、それは仕方ないだろう。

 私が「なるほど」と思った項目を1つだけ。それは「ちゃんと言葉にする」。「もっと売上をあげたい」ではなく「あと10万円売上をあげたい」。「早く終わらせたい」ではなく「予定より5分早く終わらせたい」。明確な言葉にすることで、その実現に必要な知識や情報を引き寄せることができる、というものだ。
 確かに目標が明確でないと、実現方法も考えづらい。それに「早く終わらせたい」などは目標というより「悩み」や「不満」といった後ろ向きな感情を感じるけれど、「5分早く~」としただけで前向きになれる。

 まぁ乱暴に言ってしまえば、本書は「考え方次第であなたは変われる」という、ポジティブシンキング本だ。その手の本は沢山ある。「取り立てて目新しいことはなかった」という感想で済ましてしまうこともできる。でも、それではもったいない。
 こうしたものは、その言葉を必要としている人にしか届かない。逆に言えば、必要としている人には宝にさえなる。師匠ほどではないとしても、著者のセミナーにも多くの人が集まるのはそのためだ。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「動きたくて眠れなくなる」 固定URL | 6.経済・実用書 | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月 2日 (水)

機関車先生

著  者:伊集院静
出版社:講談社
出版日:1994年6月28日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」の読書会の4月の指定図書。

 物語の時代は「敗戦後十数年」とあるから昭和30年代半ばだろう、舞台は瀬戸内海の西端にある「葉名島」という小島。主人公は吉岡誠吾、30歳。誠吾は、葉名島に1つしかない全生徒7人の小学校に、代用教員として赴任してきた。生徒たちが付けたあだ名が、本のタイトルの「機関車先生」

 誠吾は、子どものころの病気が原因で話すことができない。「口をきかん」の「キカン」と、大きな身体で力持ちなところからの連想で「機関車先生」。話すことができないで、どうやって子どもたちに勉強を教えるのか?という疑問は、すぐに払しょくされる。一部の大人は少し頑なだったが、子どもたちは誠吾をすぐに受け入れた。いや、実のところ誠吾は素晴らしい先生だった。

 物語は、誠吾と子どもたちや島の人々との触れ合いを中心にして進む。誠吾にも背負った葛藤がある。子どもたち一人ひとりにも、島の大人たちにも様々な事情があり、それらをひとつずつ丁寧に描く。未だ戦争の傷が癒えていない島の暮らし。男たちのほとんどは漁師で、海と対峙した厳しい暮らしをしている。海は生活の糧を与えてくれるが、すべてを奪ってしまうこともある。

 主人公のセリフが極端に少ない。誠吾が話すことができないから、話言葉としてのセリフは1つもない。「○○と思った」というようなト書きもほとんどない。大きくうなずいた、目を丸くした、首を横に振った。書かれたしぐさで気持ちがセリフ以上に伝わる。これはすごい。

 厳しくも心温まる物語だった。春から夏にかけての物語だったこともあり、瀬戸内の明るい陽射しが感じられた。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「機関車先生」 固定URL | 2.小説 | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年4月 | トップページ | 2012年6月 »