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2012年4月14日 (土)

小太郎の左腕

著  者:和田竜
出版社:小学館
出版日:2009年11月2日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「のぼうの城」「忍びの国」に続く、著者のデビュー3作目。「のぼうの城」は、ベストセラーになって映画化され、東日本大震災による曲折を経て今秋に公開予定、と評判が高い。第2作の「忍びの国」は、それよりもさらに楽しめたので、第3作の本書は期待が大きかった。

 時代は戦国期、1556年。桶狭間の戦いの4年前、織田信長がまだ尾張国も統一していない頃で、各地で国人領主らが盟主を立てて、小競り合いを繰り広げていた時代。主人公は、そんな盟主の1つ戸沢家の重臣、林半右衛門。六尺を超す身の丈に丸太のような腕と脚、という大男。戦場では「万夫不当の勇士」と恐れられていた。

 戸沢家と敵対する児玉家にも、花房喜兵衛という豪勇の重臣がいる。半右衛門と喜兵衛は、互いを認め合いながらも、合戦、一騎打ち、籠城戦、謀略と、様々な形で激突する。そこに、小太郎という名の少年や、半右衛門の過去などが絡んでくる。

 正直に言って、物語に乗りきれなかった。功名と名誉を何より重んじ、勇猛と潔さを敬い卑怯を嫌う、命のやり取りさえカラリとやってのける。著者が「この時代の男たちは...」と言って、しつこいぐらいに繰り返す「男の美学」。本書は言わばその美学を、半右衛門と喜兵衛が体現する物語だ。

 私としては、それを貫いてくれれば良かった。その美学を危うくする事態の出来によって、物語に起伏が生まれ、登場人物の描写にも深みが増したのは分かる。こうしたことを高く評価する向きもあるだろう。ただ私はそうして欲しくなかった。

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