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2012年3月11日 (日)

仙台ぐらし

 

著  者:伊坂幸太郎
出版社:荒蝦夷
出版日:2012年2月18日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 今日は、あの震災からちょうど1年。昼間に行ったスーパーでは2時46分に黙とうした、新聞やテレビではたくさんの特集が組まれている。しばらくは、「あの日」を思い出す日になるのだろう。この本が「震災の本」としてひとくくりにされることを、著者は恐れていることを断った上で、敢えて紹介すると、本書では著者が、震災とその後についてその心の内を語っている。

 「仙台学」という雑誌に、2005年からおおむね半年に1度の割合で、2010年まで連載されたものを中心に15本のエッセイと、「ブックモビール」という書き下ろし短編を収録。著者は、仙台の街の喫茶店を転々と場所を変えて、その一隅で小説を書いている。つまり、行動範囲は広くないながらも、毎日のように街に出ているわけだ。

 エッセイの多くは、そうした時に街で出会った人や、その時感じたことを書いている。そこには、著者の観察眼の鋭さや優しさ、そして微笑ましいほど心配性で自省的な性格が表れている。「あの」と声をかけられると、「この人は本を読んでくれているんだな」と思ってしまい、そうでなかった時に赤面する著者が、私はとても好きだ。

 さて、震災について。著者は震災当日からの1カ月ぐらいの出来事や、感じたことを書いている。震災の後は多くの人が「自分には何ができるのだろう」と自問した。何らかの意見や態度を表明しなくてはいけないような気もした。作家という立場の著者は、そうした気持ちをより強く抱いたようだ。

 生活は落ち着きを取り戻しても、元通りになったわけではない。著者も「小説を書く」ということの意義や意味が分からないままらしい。意義や意味など分からなくても良い、著者が描く物語を読みたいと思う読者がいる、それで十分だ。著者もそれに気付いてはいるようで、安心した。

 Keep going, and keep doing what you're doing.....keep dancing. 著者の友人に海外から届いたメールにあった言葉だそうだ。「自分には何ができるのだろう」という自問への1つの答えが、ここに書いてある。

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地域誌『仙台学』の1号から10号まで(2005~2010年)の連載エッセイ(全面改稿)と、単発エッセイ1編に、震災後のエッセイ「いずれまた」「震災のあと」「震災のこと」、そして宮城県沿岸を舞台に...... [続きを読む]

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