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2012年1月

2012年1月29日 (日)

舟を編む

著  者:三浦しをん
出版社:光文社
出版日:2011年9月20日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 前回の「くちびるに歌を」に続いて、本書も今年の本屋大賞ノミネート作品。

 駅伝に林業に文楽と、誰もが知っているけれど、多くの人は良く知らない世界を活写してきた著者が、今回描いたのは「辞書」。日本人で一度も辞書のお世話になったことのない人はいないんじゃないかと思う。しかし、辞書がどう作られるのかを、知っている人は少ないだろう。

 舞台は、玄武書房という出版社の辞書編集部。「大渡海」という新しい辞書を作ろうとしている。何十万語(「大渡海」は23万語)もについて、正確かつ納得のいく説明と用例を、一つ一つ決めていくのだから、10年なんかではとても無理。しかも「言葉は生き物」だから、日々の生活の中での「用例採集」も欠かせない。辞書を新しく作る、ということは、生活や場合によっては半生を捧げるような一大事業なのだ。

 まぁそんな仕事だから「変わり者」にしか務まらないのかもしれない。登場人物の多くが「変わった人」だ。本書は章ごとに主人公が何人か入れ替わる。その主人公の一人の女性が、初対面の「感じのいいひと」と言葉を交わして、「ああ、このひとも変人なんだ。まことに残念だ」と思うところが印象的だった。

 取り分け変わっているのが馬締光也、四捨五入すれば30歳だ。古びた木造アパートで書物に埋もれて暮らし、「あがる」と「のぼる」の違いを考えるのに没頭して、目の前で今まで話していた人の存在を忘れてしまう。さらに言えば彼が忘れてしまったのは、なんと彼の意中の人で、彼女には「謹啓」から始まる便箋15枚ものラブレター(本人は「恋文」と呼ぶ)を書いた。

 馬締の言葉に対する熱意というか執着は、辞書の編集に向いていて、天職とも言える。しかし、入れ替わりで登場する章ごとの主人公たちが、必ずしも馬締のように辞書の編集に向いているわけではない(少なくとも本人はそう思っている)。しかしその全員が、いや他の登場人物も殆どが、名前が付いていないアルバイトでさえ、与えられた立場と役割を精一杯全うしようとする。その姿が本書に勢いと清々しさを与えている。

 ちなみに「舟を編む」というタイトルは辞書の名前の「大渡海」と同様に、「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」「もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために、ひとは辞書という舟に乗る」という思いから来ている。
 私もブログの記事を書くときに、必ずと言っていいほど辞書のお世話になっている(紙の辞書ではなくネット辞書だけれど)。思いを的確に表す言葉を探すために。それは見つかったり、結局見つけられなかったりするけれど。

(2012.7.14 追記)
本書の映画化が決まったそうです。主演は松田龍平さん、共演は宮崎あおいさん。宮崎あおいさんは、「天地明察(2010年大賞」「神様のカルテ(2010年2位)」に続いての本屋大賞作品でのヒロイン役。(ついでに「陰日向に咲く(2007年8位)も)本屋大賞女優と言って差し支えないでしょう。

 この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。

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2012年1月25日 (水)

くちびるに歌を

著  者:中田永一
出版社:小学館
出版日:2011年11月29日 初版第1刷発行 
評  価:☆☆☆(説明)

 前回の「さよならドビュッシー」に続いて、今回も音楽を軸にした作品。ちなみに、先日発表された今年の本屋大賞ノミネート10作品の1つ。

 舞台は長崎県五島列島のある中学校の合唱部。主人公はその部員の仲村ナズナと桑原サトルの2人で、それぞれの視点からの物語が交互に語られる。2人とも3年生。しかし、ナズナは同級生や後輩に慕われる合唱部の主要メンバーだけれど、サトルは人とのコミュニケーションが苦手で「自称(ひとり)ぼっちのプロ」。そんなサトルは、ひょんなことから3年生の春に合唱部に入部した。

 本書はいくつもの物語が縒り合さって、大きな物語が織り上げられている。恋、友情、家族、不安、衝突、命。言葉にすると陳腐に聞こえるけれど、それを中学生が語ると素直に受け入れられる。時折挿入される登場人物たちが書いた手紙の効果も大きい。
 この合唱部は、NHK学校音楽コンクール(通称Nコン)を目指して練習をしている。今年の課題曲は「手紙~拝啓 十五の君へ~」。説明は必要ないだろう、アンジェラ・アキさんの名曲だ。部員たちには、15年後の自分にあてた手紙を書く、という宿題が出ている。「提出の必要なし」とされたその宿題には、誰にも言わない秘めた想いが書かれていた。

 正直に言うと「子ども向けの本」という意識があったし、先生のくだけた口調が気になったり、「この話は余分なんじゃないの?」思ったりして、あまり入り込めなかった。ただ最後から10ページ余りのところで、その場面を思い浮かべて、不覚にも涙が出てきた。何にそんなに感動したのか自分でも不思議。人の声を合わせる「合唱」の力に呑まれた感じだ。

 この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。

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「くちびるに歌を」 固定URL | 2.小説 | コメント (0) | トラックバック (1)

2012年1月21日 (土)

さよならドビュッシー

著  者:中山七里
出版社:宝島社
出版日:2010年1月22日 第1刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」のメンバーさんが、2011年に読んだ本で1番に選んでいたので読んでみました。2009年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。

 主人公は香月遥、ピアニストを目指す少女。資産家の祖父を持ち、音楽科のある高校への進学が決まり、幸せな暮らしを送っていたが、火事に巻き込まれ全身に重い火傷を負う。一命を取り留めた主人公は、再びピアニストを目指して困難な道を歩む。その途上には、さらなる不幸と、資産家の財産を巡って黒い影が見え隠れする。

 本を読んでいると、文章から視覚や言語以外の感覚を、とてもリアルに呼び覚ます、「文章の力の可能性」を感じさせる作品にたまに出会う。三浦しをんさんの「風が強く吹いている」では走る息遣いを感じたし、森博嗣さんの「スカイ・クロラ」シリーズでは空を飛んでいる気がしたし、恩田陸さんの「チョコレートコスモス」では女優の演技が目の前に立ち現れた。

 本書もそんな作品の一つで、本書からは「音楽」が聞こえて来る。主人公や彼女を指導する先生、ライバルたちの演奏シーンは、リズミカルなピアノの音がしていた。私には音楽の才能も知識もないので、主人公が弾くドビュッシーの曲がどんな曲なのかも知らない。それでも、強弱を繰り返す音のうねりや、コロコロと転がるような音の連なりを感じた(ドビュッシーの曲がそういう曲なのかどうかはさておき)。

 本書はこのようにとても文章の力がある「音楽小説」であると同時にミステリー小説でもある。ミステリーとして、「犯人探し」に焦点を当ててしまうと、ちょっと不満が残るかもしれない。しかし、なかなか大掛かりな仕掛けで楽しませてくれた。(私は途中で仕掛けに気が付いてしまったのだけれど、それはそれでOK。充分に楽しめた。)

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「さよならドビュッシー」 固定URL | 3.ミステリー, 3F.中山七里 | コメント (2) | トラックバック (0)

2012年1月20日 (金)

「20代で~しておきたい」本について

 今日は、ちょっと長くなりますが、このごろ思ったことを書きます。

 最近「20代で~しておきたい」という本が、たくさん出版されていることに気が付いたんです。このブログでもこの半年で「20代で身につけたい質問力」「20代で読んでおきたい成功の教科書」、そして先日の「20代のいま知っておくべきお金の常識50」と、3冊紹介しています。

 調べてみると、昨年1年間に50冊以上もの「20代で~しておきたい」本が出版されていました。ちなみに同じ期間に30代、40代向けの本は、それぞれ10冊余りしか出ていないし、20代向けの本も2010年には10冊余り、2009年にはさらに少ないです。つまり、昨年は「20代で~しておきたい」本の、異常な出版ラッシュだったわけです。これはどうしたことなのでしょう?

 このブログで紹介した3冊は、すべて献本でいただいたものなのですが、本を送ってくださった方は、口を揃えて「若い人に元気になってもらいたいので」といった趣旨のことをおっしゃっています。裏を返せば、今の若者が元気がないように見える、ということなのでしょう。その思いは私にもあります。

 ただ、自分より下の世代を「元気がない」「頼りない」と感じるのは、今に始まったことではありません。昨年にこの手の本が集中したのには、別の要因があると思うのです。それは、政治経済社会のドン詰まり状態ではないでしょうか?前々からその兆候はありましたが、昨年はいよいよどうにもならなくなった感があります。 

 出版ラッシュは、このドン詰まり状態を見て、上の世代が悟った「諦め」と「懺悔」の気持ちの表れだと思うのです。「こんな日本にしてしまってごめんなさい。君たちには、生きづらく厳しい社会を引き渡すことになると思う」と。そして精一杯強がって「せめてそれに備えて欲しい」と、忠告するわけです。「まだ若い君たちよりは知恵がある」と思いたいのでしょう。

 しかし、例えて言うなら、「あれもこれも必要」とドンドンお金を使って、借金まみれになった父親(母親)が、「元気ないなぁ、もっと元気出せよ」と言って、あれこれ忠告しても、素直に聞く息子(娘)がいますかねぇ。「お父さんのようにならないために」って言えば、少しは説得力があるかもしれませんが。

 先日、新聞に20代の学生さんの投書が載っていました。「大人から度々「上昇志向がない」などとお叱りの言葉をちょうだいする。でも、もう大人は「経済成長!景気回復!」と疲れた顔でこれ以上叫ばないで欲しい。グローバリズム化を進め過ぎないでいてくれれば、あとは私たちが引き継ぐから」という趣旨でした。

 彼らには彼らの価値観があるのです。出版関係の方には悪いのですが、私は、上の世代がせっせと発信する、上の世代の価値観に基づく「20代で~しておけ」という忠告は、悲しいけれど彼らに受け止めてもらえていないんじゃないか?と思うのです。

 
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2012年1月18日 (水)

20代のいま知っておくべきお金の常識50

執  筆:有限会社verb
出版社:サンクチュアリ出版
出版日:2011年12月10日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 本書の編集の株式会社マルコ社様から献本いただきました。感謝。

 本書は、景気が悪く将来に不安がある今こそ知っておかなければならない「お金の常識」を、ファイナンシャル・プランナーなどの「お金のプロ」に取材してまとめたもの。税金や保険や年金といった「制度の常識」、貯金の仕方やおトクな預け先といった「貯め方の常識」、結婚や家の購入にかかる費用やローンの話といった「使い方の常識」などが網羅されている。

 タイトルによれば想定読者は20代の若者。運よく社会人としてのスタートが切れた人は、月々にまとまったお金が入る。入ったお金をパァっと使ってしまっていては将来は覚束ないし、だからと言って闇雲に節約して貯金すればいいというものでもない。そこで「お金のプロ」から、失敗しない使い方や貯め方を指南しようという訳だ。

 例を挙げるとこんなことが書いてある。給料から天引きされている社会保険料は、将来への保障費用で、会社も半額負担していること(自営業の人は全額自分で負担しなくてはならない)。貯蓄をするなら銀行の自動積立が便利なこと。結婚の挙式費用に平均で356万円(!!)もかかっていること。カードの支払いでリボルビング払いは厳禁であること...。

 良くも悪くも真面目に作った本だと思った。「良くも」の方は、お金に関する沢山のことを、広く万遍なく紹介したこと。テーマごとに全部で6人の「お金のプロ」の意見を聞き、20代の人に伝えたいことを、抜けがないように紙面が許す限りに詰め込んだ感じだ。

 「悪くも」の方は、上に書いたことの裏返しで、「常識」としては、こんなに多くのことは必要ではないだろうと思うことだ。また、本書の項目のほとんどは、「真面目」にルールに則ったことばかりだが、お金に関わるトラブルの多くは、ルールの外やグレーゾーンで起きている。投資やネットワークビジネスや資格講座の勧誘や詐欺など、社会に出るとたくさんの危険が待ち受けている。しかし、本書にはそういったことは触れられていないのが残念だ。

 最後に苦言を。全体的に校正が甘いようだ。誤字や「ら抜き」言葉や言い回しが変なところが散見された。表とそのタイトルが合っていないと思ったら、数ページ前の表のタイトルと同じだった、というのもある。校正をしっかりやれば防げたものだ。私も書類を作っていて同じような失敗を何度かしているが、それと出版物では求められる精度が違うはずだ。

 また、「お金の常識50」というタイトルだけれど、裏表紙に列挙されている「お金の常識」は21項目、本文の「お金の悩み」は39項目しかないし、本文の「常識」という吹き出しは、逆に100項目以上もある。「50」が何の数字なのか、私には分からなかった。

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2012年1月14日 (土)

予知夢

著  者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2003年8月10日 第1刷 2011年6月1日 第43刷
評  価:☆☆☆(説明)

 「ガリレオ」シリーズの第2弾、2000年刊行。第1弾の「探偵ガリレオ」と同じく、天才物理学者の湯川博士の推理が冴える連作短編ミステリー。「夢想る(ゆめみる)」「霊視る(みえる)」「騒霊ぐ(さわぐ)」「絞殺る(しめる)」「予知る(しる)」の5編を収録。

 多少強引な読み方をする三文字のタイトルは前作と同じ。「殺人の被害者が同時刻に別の場所で目撃される」「地震でもないのに、突然部屋全体が振動する」「自殺の現場を3日前に予知夢で見た少女」など、超常現象的な事件が起きることも同様だ。

 しかし前作と多少違って、事件の真相と物理学の知識の関わりが小さくなったように思う。真相部分に、レーザーや超音波などを駆使した前作と比べると、今回は犯人の手間ひまを感じる、いわゆる「トリック」を使ったものが多い。

 言い換えると、天才物理学者でなくても事件の謎を解ける。つまり私でも(この記事を読んでいるあなたでも)真相に近づける、というわけだ。「湯川博士の名推理」を楽しむだけでも十分なのだけれど、敢えて自分で謎解きに挑戦してみるのもいいかもしれない。

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2012年1月11日 (水)

ブリキの王女(上)(下)

著  者:フィリップ・プルマン 訳:山田順子
出版社:東京創元社
出版日:2011年11月30日初版
評  価:☆☆☆☆(説明)

 「マハラジャのルビー」から始まる「サリー・ロックハートの冒険」シリーズの外伝。シリーズは、「仮面の大富豪」「井戸の中の虎」と合わせて全4部作で完結している(今のところは?)。外伝なので、シリーズの主人公のサリーは、登場はするがストーリーの主要な部分には絡んでこない。

 時代は前作「井戸の中の虎」から約10か月経った1882年の夏。主人公はサリーの良き協力者であった作家兼探偵のジム。そして舞台は、これまでのロンドンではなく、ラツカヴィアという、オーストリア-ハンガリー帝国とドイツに挟まれた小さな王国。ジムはここの王位継承に絡んだ陰謀に巻き込まれる。

 面白かった。物語は、何度かの小さなヤマを繰り返して、終盤の大きなヤマへ収れんしていく。このシリーズでは、主人公は毎回絶体絶命のピンチに陥るのだけれど、今回もそれは踏襲された。王位継承や大国間の外交問題など、これまでにない複雑かつスケールの大きな話題が、ワクワク感を創出している。

 さらに、ストーリーに絡むので詳しくは言わないが、第1作「マハラジャのルビー」から再登場する人物がいる。「あの人はどうしたんだろう?」と、私も気になっていた人物で、ここで再会できてホッとしたというか、スッキリした。

 前作「井戸の中の虎」のレビューで、3作目のその本を起承転結の「転」と捉えて、「結」の「最終巻の次回作が楽しみだ。」と書いたのだけれど、最終巻が外伝だとは思ってなかった。サリーが主人公の最終巻を改めて読みたい、著者に是非書いて欲しい。

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「ブリキの王女(上)(下)」 固定URL | 3.ミステリー, 38.フィリップ・プルマン | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月 8日 (日)

絵で見る十字軍物語

著  者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2010年7月25日発行
評  価:☆☆☆(説明)

 著者による「十字軍物語」シリーズ4部作の第1弾。以前に紹介した「十字軍物語1」は、「1」とは付いているが、実は第2弾になる。第1弾の本書は、8次にわたる十字軍を俯瞰する画文集で、第1次十字軍から順に語る物語としての「十字軍物語」が3巻、その後に続く形になっている。

 本書は、19世紀の画家であるギュスターヴ・ドレが描いた、ペンの細密画を左ページに、右ページにその場面を示した地図と、著者による最大で半ページの解説、という見開きの99セットで構成されている。

 まず、ドレの絵の美しさに驚く。モノクロの写実的な絵で、明暗と奥行きや立体感が写真以上にある。この絵によるビジュアル化の効果は絶大で、まるで写真つきの「現地レポート」を読んでいるかのように、十字軍が真に迫って感じられる。(よく見ると、非常に細かい線で描かれていることが分かる。要らぬ心配だけれど、印刷業者はとても苦労させられたのではないかと思う。)

 著者の文章も良い。簡にして要を得たもので、「見開き」という制約の中で、絵の場面とその背景となる出来事まで、説明が行き届いている。本書1冊を読めば、十字軍について少し語れるようになりそうだ。

 ただ、「ビジュアル化とは簡略化のことでもある」と、著者がまえがきにあたる「読者へ、塩野七生から」で言うように、本書で語られなかった物語はあまりに多い。著者は、このシリーズをイタリア・オペラに例えて、本書を「序曲」とし、続く3作を「第一幕」「第二幕」「第三幕」と考えているそうだ。当然「序曲」が終われば「第一幕」の幕が上がり、これまで語られなかった物語が語られる。続きを読もうと思う。

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2012年1月 4日 (水)

人間学入門

監修者:藤尾秀昭
出版社:致知出版社
出版日:2011年12月1日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 本書の出版社の広報をされている株式会社TMオフィス様から献本いただきました。感謝。

 新年最初の一冊には、この1年とその後の自分の有り方を、考えさせられた本を選んだ。本書は「致知」という月刊誌の出版社が、「先達に学び人間力を高める」ことをテーマに、発刊後33年間に蓄積したインタビュー・対談記事の中から、選りすぐりの8本を再掲したもの。
 全部で10人の方の含蓄のあるお話を伺うことができる。私が名前だけにしても知っていたのは、稲森和夫さん、渡部昇一さん、三浦綾子さん、小野田寛郎さんの4人。他には、森信三さん、坂村真民さん、樋口武男さん、大塚初重さん、新井正明さん、豊田良平さん。

 どの方も、困難を克服し道を究めた方ばかりだ。哲学者として、詩人として、作家として、経営者として、人の有りようや心の持ち方のあるべき姿を、実体験を基にして話されている。それは長い経験の中で獲得したものであり、その方法で今日に至ったわけだから、言葉に自信が漲っている。

 正直に言うと、この漲る自信を私は持て余してしまった。「(ある真言に)感動しない人は、本当に生きてこなかったから、それが、ぐぅっと体に響いてこないんですよ」と言われて、「なんて傲慢な」と反発してみたり、「どうせ私にはその真言を受ける資格がない」と拗ねてみたり。
 ただし、そう感じるのには私自身によるところが大きい。本書のインタビュー・対談記事の合間に紹介されている、多くの方の「金言・名言」の中に「批判の目があったら学べません。(後略)」という言葉があった。これまでにも何度も思ったことだけれど、聞いた話が役に立つかどうかは、聞く側によるところが大きいのだ。

 「聞く側によるところ」には「タイミング」も含まれる。ある言葉が心に響くのは、ちょうどその言葉を欲していた時だったからだ、とも言えると思う。その「タイミング」を図るのは難しいのかもしれない。でも、何かに迷っている時、悩んでいる時に、本書のような先達の言葉をひもとけば、得られるものは大きいはずだ。
 本書を持て余し気味の私でさえ、渡部昇一さん、三浦綾子さん、小野田寛郎さん、新井正明さん、豊田良平さんの言葉の中に、気付くものがあった。

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2012年1月 1日 (日)

あけましておめでとうございます。

 皆さん、あけましておめでとうございます。

 昨年は、3月の天災によって世の中全体が落ち着きを失い、それを取り戻せないまま暮れてしまいました。そのような中で「いつもどおり」であることを心がけ、また感謝しながら本を読んでいました。

 このブログでは、一昨年、昨年と2年続けて100作品以上の本を、紹介することができました。また昨年7月には、レビュー記事が500本になり、ひとつの節目を迎えました。さらに、文章修業のつもりで応募している、感想文コンクールのうちの2つで賞をいただき、大変励みになりました。

 今年9月には、記事を書き始めてから10年になります。こちらも大きな節目を迎えることになり、そうなれば、続けていることは自慢してもいいかな?と思っています。

 それでは、今年が、皆さんにとって良い年でありますように。

 
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