« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »

2011年10月

2011年10月30日 (日)

恋の六法全書 ガールズトークは”罪”ですか?

著  者:長嶺超輝
出版社:阪急コミュニケーションズ
出版日:2011年10月5日 初版発行
評  価:☆☆(説明)

 著者の長嶺超輝さまから献本いただきました。感謝。

 突然だけれど皆さんに質問。「居酒屋でお酒を飲んだので、自分の車は駐車場に置いて、自転車に乗って家に帰った」、これは何かの法律違反になるか?(お酒を飲んだのは48歳の私)
 答えは「法律違反になる」。道路交通法の第65条「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない 」の「車両等」には、軽車両として自転車が含まれることが、第2条で定義されている。だから、お酒を飲んで自転車を運転すれば、道路交通法違反になる。

 実際には自転車の飲酒運転は、事故を起こしたり悪質なものだったりでなければ、今のところはほとんど取り締まられることはないので、知らなくても大きな問題にならない。でも「話のネタ」にはなる。本書は、そんな「話のネタ」になる「法律雑学」の本だ。
 「自転車の飲酒運転」は本書からの引用ではない。タイトルで分かる通り、本書は恋愛絡みの「法律雑学」の本。「同棲していた恋人と別れる時、彼の家から持ち出しても法律的に大丈夫なものは?」とか、「彼のケータイのメールをこっそりのぞき見るのは犯罪か?」といった、恋人の間でのかなり実践的(笑)な事例が載っている。

 ただの事例の列挙では味気ないので、喫茶店での女性3人の「ガールズトーク」に事例を乗せる、という読みやすさの配慮もされているので、スラスラと読める。事例も意外性のあるものが選ばれていた。だから悪くはない。
 ただし、この本を誰に勧めればいいのか?と考えて困ってしまった。恋愛でありがちな事例なので、上では「実践的」と書いたのだけれど、「実用的」ではないのだ。メールをのぞかれたことを知った彼氏は、法律違反だから怒るのではないし、法律違反ではないなら怒らないというものでもない。だから、これを知ったところで使えない。

 「話のネタ」としては使えそうで、著者も「それで十分」とおっしゃっている。ただ、これも難しい。女性が「彼の家から何なら持ち出しても大丈夫だと思う?」なんて言い出したら、聞いている方が引いてしまうし、男性から「彼のメールを見るということは法律的には..」なんて話をされて楽しい人も稀だと思う。おススメできる相手が分からなかったので、申し訳ないけれど☆2つ。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「恋の六法全書 ガールズトークは”罪”ですか?」 固定URL | 9.その他 | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月26日 (水)

だからテレビに嫌われる

著  者:堀江貴文 上杉隆
出版社:大和書房
出版日:2011年9月25日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 証券取引法違反で2年6か月の実刑判決を受けて収監中の、ホリエモンこと堀江貴文氏と、「記者クラブ」を厳しく批判し報道のタブーにも切り込んできたフリージャーナリストの上杉隆氏の対談。帯によると「語り尽くした全11時間」だそうだ。堀江氏の収監や対談での話題から考えて、5月か6月に対談は行われたのだろう。

 自分たちに都合の悪い意見、方向性に合わないコメントを言う人を、「異質なもの」として排除するテレビ。自由な取材と報道を認めない「記者クラブ」。政治家の子弟を多く受け入れて、政治とグズグズの関係になってしまっているテレビ局。決して報道されない「放送利権」「電波利権」。政府が公開しない原発事故の実際。刺激的な話が次々と繰り出される。

 堀江氏はライブドアの社長であった頃から、挑戦的な物言いが目立っていたし、上杉氏は特に政治家を標的とした記事で、これまでに数多くの物議を醸している。だから、本書に書いてあることが全て「真実」だとは思わないし、それを公衆に明かしたので彼らを称えようとも思わない。
 そんなことは、恐らく彼らも望んではいないのだろう。大事なことは、本書の中で上杉氏が主張する「多様性のあるいろんな意見を許す社会」が望まれる、ということなのだ。「いろんな意見」には、自分に反対する意見も当然含まれる。

 著者2人については、ちょっとトンガリすぎている感じがして、私には受け入れ難いのだけれど、この「いろんな意見を許す社会」の主張には100%賛成だ。第2章「実は「言論の自由」がないテレビ局」に詳しいが、今のテレビは随分と狭量に感じる。テレビだけでなく、報道全体がそうで、それに引きずられて世の中が余裕を失っているように思う。
 失言とも思えない失言で閣僚を次々と辞任させて、何か不始末があった人を寄ってたかって叩く。こんなことが私たちにとっていいはずがない。本書が「テレビの意見なんか信用できない、これからは自分で判断する」と思うきっかけになるなら、おススメしたい。「ホリエモンが嫌い」な人にも「上杉は胡散臭い」と思う人にも。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「だからテレビに嫌われる」 固定URL | 7.オピニオン | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月22日 (土)

あやつられ文楽鑑賞

著  者:三浦しをん
出版社:双葉社
出版日:2011年9月18日 発行 
評  価:☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」のお友達の日記で知った本。
 著者はその作品「仏果を得ず」で、文楽の奥深い世界を、若手の大夫(文楽で情景やセリフを語る役)の目を通して、小説の形で垣間見せてくれた。本書では、同じことを文楽の劇場の楽屋への「突撃レポート」風のエッセイの形でやってくれた。「仏果を得ず」と合わせて読むといいと思う。

 著者はまず、三味線の鶴澤燕二郎(2006年に鶴澤燕三を襲名)さんの楽屋に行って、かなり面白い(どうでもいいような)質問をしている。「みなさんで飲みに出かけたりはするんですか?」とか。「楽屋の部屋割りはどうやって決めるんですか?」とか。しかし、その(どうでもいいような)質問が、思いがけず文楽の伝統を感じさせる答えを引き出す。

 そんな感じで、次の回は人形遣いの桐竹勘十郎さんのところへ行って、何と人形を持たせてもらっている。著者曰く「美少女との初デートで、思いがけずはじめての接吻までこぎつけた」ようなものだ。そしてまた、燕二郎さんのところへ、勘十郎さんのところへと、行き来して、後半では大夫の豊竹咲大夫さんにもお話を聞いている。皆さんご協力ありがとうございます。(と私までお礼を言いたいぐらい、文楽の演者の皆さんは協力的だった)

 そんな「突撃レポート」を挟むように、文楽の主な演目の解説がある。著者独自の視点から、登場人物にツッコミを入れながらのユニークなものだ。特に「仮名手本忠臣蔵」の章は、量的にも質的にも圧巻だった。これを読んで「仮名手本忠臣蔵」を観に行けば、何倍も楽しめることだろう。

 文楽に限らず「楽屋」というのは興味深いものだ。舞台の裏側を覗いてみたいということもあるが、演じている「人」のことを知りたい、というのも大きい。本書はその両方を満足させてくれた。「人」に興味があるのは著者も同じらしく、江戸時代の文楽の作者の人となりにまで想いを馳せている。それがまた思いがけず慧眼であったことが、巻末の「解説」に記されている。

 冒頭の(どうでもいいような)質問といい、この文楽作者の人となりといい、「思いがけず」良い結果を生んでいるんだけれど、これはもしかして著者には、ものすごい才能があるということなんじゃないだろうか?

 にほんブログ村「三浦しをん」ブログコミュニティへ
 (三浦しをんさんについてのブログ記事が集まっています。)

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「あやつられ文楽鑑賞」 固定URL | 27.三浦しをん, 4.エッセイ | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月20日 (木)

これはどうしようもないのでしょうか?その後

 9月19日に、「これはどうしようもないのでしょうか?」という記事で、私のブログの記事を盗用したブログ記事が多数見つかったことを書きました。1カ月経ちましたので、今回はその経過報告です。

 9月21日に、それぞれのブログサービスのプロバイダー(Seesaa、livedoor、ココログ、YAHOO!、BIGLOBE)に、記事が盗用されていることを告げて、削除依頼をしました。各社とも「著作権侵害の申し立て」のためのページがあり、こうしたことに対する窓口は整っていました。

 しかし私の申し立てから1カ月経っても、盗用した記事が削除されたのはlivedoorブログの記事だけでした。ココログからは「ブログの所有者に連絡した」という旨のメールが届きました。ただし「解決は当事者間で」ということでした。その他のプロバイダーからは何のアクションも返ってきませんでした。

 確かに「著作権侵害の申し立て」のページには、「以後は当事者間で」とか「何らかの処置を講じることを保証するものではありません」とか書いてあります。しかし「書いてあるからいい」というものでもないと思うんです。
 「当事者間で」としながら、相手の連絡先は伝えてきません。自分で探し出して自分でコンタクトをとれ、ってことなんでしょうか?こちらの連絡先は本名も含めて先方に伝える、というところもありました。権利を侵害された方が、こんなふうに苦労や心配をしなければいけない現状はおかしいと思います。

 プロバイダーにしてみれば、権利侵害だと申し立てられたからと言って、簡単には削除できないのでしょう。権利侵害の有無を判断できないし、削除したことでそのユーザーからクレームがつくことだって有りえます。そういうことかもしれません。
 しかし、「プロバイダー責任制限法」には、権利侵害を申し立てられた場合の免責が規定されているのです。それによると、そのユーザーに記事の削除(送信防止措置)を照会して、7日経っても同意しない申出がなければ、ブロバイダーは記事を削除したことによる損害賠償の責任を負わなくて良い、と定められています(第三条2項)。livedoorでは、この法律に則った手続きが行われて、盗用ブログの記事が削除されたわけです。他のプロバイダーで同じことができない理由が分かりません。

 3年前に同様のことがあった時には、速やかに処理されたので、今回もすぐに片付くだろうと思っていました。残念ながらそうならず、解決のメドさえ立っていません。切ないです。

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「これはどうしようもないのでしょうか?その後」 固定URL | | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年10月19日 (水)

自分たちの力でできる「まちおこし」

著  者:木村俊昭
出版社:実務教育出版
出版日:2011年9月30日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。

 タイトルにある通り、本書は「まちおこし」をテーマとした本だ。例として冒頭に「人口5万人の地方都市・A市」のことが紹介されている。A市ではまず、「商店街活性化委員会」を、市長、市議会、会議所や近隣の大学などをメンバーにして立ち上げて、検討した政策を実行することで、中心部の商店街に人が戻るようになった。次いで、「企業誘致推進委員会」によって企業誘致にも成功、「温泉地域活性化委員会」では観光客の増加を果たした。

 一見して見事な成功例だ。しかし著者はこれを「失敗例」として挙げている。著者は、元市役所職員で、今は「地域活性化伝道師」として地方を飛び回っているらしく、さすがに地方の「実情」を一段深いところまで心得ていらっしゃる。実はA市のやり方はたくさんの地方都市で(私が住む街でも)行われているのだ。それでいて地方が(私が住む街も)一向に元気にならない。つまり著者の言うとおり、このやり方は「失敗」なのだ。

 著者の意見では、このやり方は「部分最適化」の方法で、街全体が活性化する「全体最適化」ではない、というところが問題なのだ。確かに中心部の商店街に人が集まっても、その商店街の人以外の大多数の住民には、特に良いことはない。商店街以外の場所で店を営む人にとっては、「害」しかない。市の貴重な財源をつぎ込むのなら、全体を見て「害より利の多い」施策が必要だ。

 本書には、こうした著者の考えを踏まえた「成功例」が18事例紹介されている。皮肉な話だけれど、読み終えて感じるのは「まちおこし」の難しさだ。著者が「成功例」として挙げた事例でさえ、「全体最適化」を自治体単位で実現している例はいくつもない。
 これは本書の問題点だと思うが、同時に大事なことを表していると思う。それは「「まちおこし」は小さな単位でやるべし」ということだ。本書の事例の中でも「全体最適化」と言えるのは、人口320人の集落や、多くても5千人弱の村や町だ。

 5万人や10万人、20万人といった地方都市では「全体最適化」はとても難しい。その場合はもっと小さな自治会などの単位で考えないとダメだろう。そのためには、そこに住んでいる人自身が中心になる必要がある。ここにタイトルの「自分たちの力でできる」という言葉が生きてくる。
 これは「自分たちの力でしかできない」ということでもあり、さらに換言すれば「自分たちがやらなければ誰もやってくれない」ということだ。紹介された成功事例よりも、このことの方が私には重要に思えた。

 この後は、書評ではなく、本書を読んで思い付いたことを書いています。取りとめもありませんがお付き合いいただける方はどうぞ

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

続きを読む "自分たちの力でできる「まちおこし」"

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「自分たちの力でできる「まちおこし」」 固定URL | 9.その他 | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月15日 (土)

下町ロケット

著  者:池井戸潤
出版社:小学館
出版日:2010年11月29日 初版第1刷発行
評  価:☆☆☆☆☆(説明)

 2011年上半期の直木賞受賞作品。今年の8月に早速WOWOWで三上博史さん主演でドラマになっている。

 主人公は佃航平、43歳。7年前に父親の死に伴って、家業の精密部品の工場「佃製作所」を継いだ。それ以前には、佃は宇宙科学開発機構で、ロケットエンジン開発の研究者をしていた。本書の冒頭は、佃が開発したエンジンを積んだロケットの打ち上げシーンだ。

 佃が社長を継いでから佃製作所は大きく成長した。売上百億円に少し欠けると言うから、並みの中小企業ではない。しかし、部品製造業の経営は取引先に大きく左右される。佃製作所も主要な納入先の方針変更によって、「わかってくれよ、佃ちゃん」と言われて、十億円を超える取引を停止されてしまう。
 その後も佃の受難は続く、銀行の融資を打ち切られたり、ライバル社から特許侵害で訴えられたり。足元の社員や家族も盤石とは言えない。一つ乗り越えたら次の問題が持ち上がる。それでも佃には寄って立つものがあった。それは「技術」と「夢」だ。

 「並みの中小企業ではない」のは、百億円近い売上だけではない。佃が寄って立つものの一つである「技術」がある。佃製作所は、水素エンジンのバルブシステムの特許を持っている。帝国重工という巨大企業が、巨額を投じて開発したシステムに先んじる最先端技術で、この技術がなければ帝国重工のロケットは飛ばない。起死回生の願ってもない話のようにも聞こえるが...ビジネスの世界は怖い。

 佃が寄って立つもののもう一つの「夢」は、彼を支えるが、同時に彼を苦しめ、彼に決断を迫る。面白かった。ちょっと甘めだけれど☆5つ。

 このあとは書評ではなく、ちょっと思ったことを書いています。お付き合いいただける方はどうぞ

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

続きを読む "下町ロケット"

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「下町ロケット」 固定URL | 2.小説, 2H.池井戸潤 | コメント (4) | トラックバック (0)

2011年10月13日 (木)

謎解きはディナーのあとで

著  者:東川篤哉
出版社:小学館
出版日:2010年9月7日 初版第1刷発行 2011年9月10日 第21刷発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 2011年の本屋大賞の大賞受賞作品。帯には「145万部突破!」の字が躍っている。そして10月18日からフジテレビ系列でテレビドラマ化されて放映される。主人公の麗子を北川景子さん、その執事の影山を嵐の櫻井翔さんが演じる。

 「お嬢様の目は節穴でございますか

 乱暴に言えば、広告のコピーに使われるこの一言が、本書を本屋大賞に、145万部の大ベストセラーに押し上げた、と言える。「お嬢様」に向けて放った言葉とはとても思えない、このギャップが気になって、そこに何か楽しいことを期待して、本書を読んだ人が多いだろう。かく言う私もその一人。

 麗子は東京多摩地区の国立署に所属する刑事。彼女は若くて綺麗なだけではなく、とんでもない金持ちなのだ。彼女は、金融、エレクトロニクス、医薬品などの巨大企業グループ「宝生グループ」の総帥の一人娘だ。そう、例の一言の「お嬢様」とは麗子のこと。
 若くて綺麗で大金持ちでも、刑事という仕事には特に役に立たない。彼女の上司の警部が(彼も社長の御曹司で、麗子には大きく劣るが金持ちなのだ)、刑事としては役立たずであることもあって、事件の解決が一向に捗らない。
 それで、家で夕食後にくつろいでいる時に、特に当てがあるわけではなく、執事の影山に事件のことを話した。思ったことをなんでもどうぞ、と麗子に促された影山が口にした言葉が、....。

 本書は、このような形で麗子が抱える事件を影山が推理する、というミステリー短編が6編収録されている短編集。それでそれぞれの事件の推理を披露する前に、影山が「節穴」だの何だのと、麗子に言うわけだ。当然麗子は怒りまくる。これが面白い。

 ただし「節穴でございますか」は第1編ではなく、後の短編で登場する。正直に言って、145万部に見合うほど面白いか、というと少し疑問。しかし、「節穴」を予想して第1編を読んでいたら、影山からはさらにギャップとインパクトが強いセリフが放たれて、不意打ちをくらった。その破壊力は抜群だった。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「謎解きはディナーのあとで」 固定URL | 3.ミステリー | コメント (2) | トラックバック (2)

2011年10月 8日 (土)

教えるな! できる子に育てる5つの極意

著  者:戸田忠雄
出版社:NHK出版
出版日:2011年6月10日 第1刷発行
評  価:☆☆☆(説明)

 いくつもの理由で、本書に興味があって手に取ってみた。仕事で小中学校の先生や子どもたちと関係があること。自分に中高生の娘が2人いること。だから、教育の問題は身近な興味の対象であること。著者が、以前にわが街の教育を考える審議会の委員をされていたこと。もっと以前には私の家族が著者の教え子であったこと。こうしたことから、著者がどんな考えの方なのか読んでみようと思った次第だ。

 「教えるな!」というタイトルを見て分かる通り、「常識の逆」を言うことで、著者のオリジナリティを発揮している。本書中にはその他にも、「立派な教師にならなくてもいい」「先生は聖職者ではない」「デモ・シカ教師もダメではない」「愛だの情熱だのと言う先生は適格性を欠く」といった、読む者を挑発するような意見が多く披露されている。
 確かに奇をてらう部分はあるが、それだけではない。例えば「教えるな」の裏には、「「学びたい」という飢餓感があって、はじめて教える効果が上がる」という考えがある。著者は「自ら学び、自ら考える」ように導くのが教育、と考えていて、「教えすぎ」はそれを阻害する元凶なのだ。

 読んでいて著者の考えには2つの核があると感じた。1つは、「子どもには自ら学びたい気持ちが元来備わっている」という前提の楽観主義。「子どもの自主性を信じて待てば良い」とも受け取れるこの考えは、時に楽観的に過ぎると感じた。
 もう1つは、「現在あるものは、あるものとして受け入れる」という現実主義。受験と合格をゴールとした「知識偏重」の教育のあり方は、著者の考えと相いれないはずだ。それなのに、随所で「それでは、難関大学突破など夢のまた夢です」といった、学歴礼賛的な言葉が顔を出す。「なんだ結局そうなのかよ」とダメ出しの一つもしたいところだが、「学歴主義が現実に存在する以上、それを活用する以外に道はありません」という著者の言葉も、また然りなのだ。

 そうそう、本書によると著者は現役の教師のころ、「自ら学び、自ら考える」ように導くために、書いてることに敢えて疑問を呈するなど、教科書を重要視しなかったそうだ。それで「どんな先生だった?」と、著者の教え子である私の家族に聞くと、「「戸田先生の授業は受験の役に立たない」と言われていた」という返事が返ってきた。...なるほど。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「教えるな! できる子に育てる5つの極意」 固定URL | 7.オピニオン | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 6日 (木)

宇宙でいちばんあかるい屋根

著  者:野中ともそ
出版社:ポプラ社
出版日:2003年11月20日 第1刷発行 2004年2月1日 第3刷
評  価:☆☆☆(説明)

 本好きのためのSNS「本カフェ」の読書会の9月の指定図書。

 主人公は14歳の少女、つばめ。つばめが小さい頃に両親が離婚した。原因は母親が別の人に「恋をした」ので出て行ってしまったかららしい。しかし、つばめを引き取った父親はすぐに再婚。新しい母親とも、つばめはうまく行っている。まぁ、幸せな家族だ。
 でも、なぜか長い間一緒にいると居心地が悪くなってしまう。気づかい、いたわりあいながら「家族」というタペストリーを織っている感じ。時々、それに疲れてしまう。14歳の少女にも、いや14歳の少女だからこそ「一人の時間」を必要としているのだろう。

 物語は、つばめが「一人の時間」を過ごすビルの屋上をポイントとして展開する。そこはつばめが通う書道教室があるビルで、つばめは教室の後にしばらくその屋上で過ごす。ある日、そこで派手な出で立ちのばあさんと出会う。つばめが名付けて「星ばぁ」
 星ばぁは、下品で自分勝手で意地悪でがめつくてウソつきだ。中学生のつばめにお菓子やら弁当やらをせびる。「空が飛べる」と言い張る。でも星ばぁがつばめに向かって吐く言葉は、辛辣ではあるが飾りがないだけに、ウソがない。ウソつきの言葉に「ウソがない」なんて変だけれど。

 家族、隣人、学校、家から駅までの町。中学生のつばめにとっての「社会」の隅々までを、心くばりが行き届いた筆使いで描く。クラスメイトとの距離感や、三軒先の大学生の亨くんへの想いなど、14歳の少女の少し背伸びした心持ちが伝わってくる。

 そうそう、星ばぁのために、つばめは行ったことのない街に出かけていく。これは、つばめの世界の拡がり、つまり成長を象徴しているように感じた。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「宇宙でいちばんあかるい屋根」 固定URL | 2.小説 | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 3日 (月)

ビブリア古書堂の事件手帖

著  者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2011年3月25日 初版発行 9月6日9版発行
評  価:☆☆☆☆(説明)

 有川浩さんの「シアター!」と同じ「メディアワークス文庫」というレーベルの1冊。著者が電撃文庫出身というところも有川さんと同じ。そして本書は発行後5か月で20万部突破のベストセラー。「シアター!」が、発行後9カ月のプレスリリースで「20万部突破」とあったので、それを上回る出だしだ。メディアワークス文庫としては、有川作品に続く目玉シリーズにしたいところだろう。

 主人公は五浦大輔。大学を卒業したものの就職が決まらず、母親からは「プー輔」と呼ばれている。彼は、5歳のころの経験が(おそらく)もとで、本が読めない体質。長時間字を追っていると、鼓動が高鳴り、手のひらに汗をかき、気分が悪くなってしまう。本が嫌いなのではなく、読みたいけれど読めない。
 そんな大輔が、祖母の形見の「漱石全集」の査定のために、訪れたのがビブリア古書堂。そこの店長の栞子は、極度の引っ込み思案で、本の話以外は他人とまともなコミュニケーションができない。
 かくして、本のことは聞くことしかできない大輔と、本のことしか話せない栞子の、絶妙かつ奇妙なかみ合わせの2人が、物語を転がして行く。

 本書は、古書店に持ち込まれる本にまつわる謎を、栞子が解くミステリーだ。実は栞子は入院中で、この物語は、いわゆるベッド・ディテクティヴ ミステリーの部類に入る。ただし、本書の魅力はミステリーとしての出来より、「本」というものの捉え方によるところが大きい。
 本には物語がある。小説などなら当たり前だ。しかし、古書店で高値で取引される本には、出版の経緯や著者自身のエピソードなどにも物語がある。さらに、人の手を経て来た本には、持ち主にも物語がある。本書は、それらが渾然一体となって、本好きを惹き付けるオーラのようなものを発している。続編希望。....と思ったら、10月25日に続編が出るらしい。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

 
Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加 Evernoteにクリップ

「ビブリア古書堂の事件手帖」 固定URL | 3.ミステリー, 3A.三上延(ビブリア古書堂) | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »